01-3 空へ____________________________
僕は、いや僕たちは毎日畑仕事をする。
食べるためだから、当たり前さ。
晴れる日も、雨の降る日もあるけど、暖かいか暑い日々が続いてるから順調に野菜は育つし、トリはタマゴを生んでくれる。
ときどき、湖で魚をとって食べれば満足さ。
それだけじゃなくて、僕のうしは毎日何個かの“部品”を出してくれる。
はじめは黒い板ばかりだったけど、棒に薄い紙みたいのが貼ってあるものや、指先くらいの丸いものが入った袋、それに何かの道具みたいのも。
僕は適当に小屋を建てて、そんな部品をしまっていたが、だんだん山積みになってきた。
「ねえ、あとどのくらい出てくるんだい?」
ある日、僕はうしに聞いてみた。
「あと、五日。出終わったら、組み立てる」
「うしが?」
「トンフア、が。やり方は、おしえてあげる」
うしは、そういうと林の中にとことこと歩いていった。
「どこに行くのさ」
「うしは、食べに行く」
「なにを?」
「材料をたべる。そして、トンフアの願いをかなえる」
とことこと。そして、もぐもぐ、ばりばりばり。
どうやって食べてるのか、草や土どころか、硬そうな石まで食べている。
「動かなくならないでくれよ」
「大丈夫。うしは、ゆっくりやってる。まだまだ、ずっとトンフアといっしょ」
「そう。安心したよ」
それから十日後、うしは「コレ、最後」と紙の束を出してくれた。
「つくりかた。トンフアは読めるはず」
紙の束には、絵と文字がとてもたくさん書いてあった。
誰に教わったでもなかったが、僕はそれを見ながら、部品を組み合わせて「飛んで行ける機械」こと「飛行機」を作れそうな気がした。
「わからないことは、うしが教える。道具も出したから、飛行機、作れる」
やっぱりそうだ。
でも、一人じゃ大変そうだなあ。
「なに突っ立ってるんだい?」
僕が紙を持ってぽかんと立っていると、ヌンが声をかけてきた。
「うしが、僕の願いをかなえる用意をしてくれたんだけど、ここからは自分でやらないといけないんだ」
「ふーん。で、何になるんだい?」
「『飛行機』だよ。空を飛べるようになるはず」
「それは凄いね。大きな人間が、虫みたいに飛べるんだ」
ここで飛んでるものと言えば、虫と、風で飛ばされた葉っぱくらいだ。トリも、ちょっとは飛べるけど、すぐ落ちちゃう。
「畑仕事の合間に、のんびり作ろうと思います」
「出来るのが楽しみだね。ま、誰かに手伝ってもらうといいよ」
ヌンはそういって、畑に向かった。もちろん、飛行機を手伝ってくれる気なんてないみたい。
僕も、今日も日が暮れるまでは畑仕事さ。
村のみんなで、食べるものを作らないと食べていけない。
昼は暑くて、夜は涼しい。だから、昼間に働く。それに、夜は暗いから、見えないしね。
あ、でも最近は、夜でもみんなが住んでる小屋のところは明るいんだ。
トルサが、僕のうしが出した部品を見て、自分のうしに聞いたら同じような物を出してくれたらしい。
黒い板に、細長い線、ちょっと重たい箱、丸くて透明な球とか色々……ずっと小さな部品ばかりだったけど、うしの説明どおりに組み立てたら「明かり」が点いた。光るのは、透明な球。
僕のうしが言うには、飛行機の部品が全部出来たら、「あかり」も作るつもりだった。でも、トルサのうしはまだまだ余裕があって、ついでに「お願い」されたから作っちゃったってさ。
「って、うしは願いを二つかなえることが出来るの?」
作っちゃった、といわれて僕はけっこう驚いた。
「トルサの願いをかなえるのに、意味がある。だから、二つ目じゃない」
僕のうしが、少し首をかしげて答えた。
「意味?」
「トルサは、“見えないくらい遠くの人と、お話したい”と願った。だから、二つ目じゃない」
「わかんないよ」
「うしには、わかる。だから、あかりができた。あかりは、トンフアの願いをかなえるのにも意味がある。だから、作った」
ううん、よく分からない。
でも、作ってくれたんだから、いいか。
「じゃ、うしさん。僕が組み立てるのは、今夜からだね」
「うしは、待ってる」
さあ、畑に行かなくちゃ。みんなが待ってる。うしは、夜まで待ってくれる。
「おっ、トンフア。これを見なよ」
ひげのお兄さん、マッスが畑で手を振っている。
「おおっ、出てきたね」
早くも、なのかこんなものなのかよく分からないけど、この前まいた僕の種がちょこっと芽を出していた。
「どんなものになるかな」
と、マッスが笑う。
「見たことないの?」
「ああ。下の村から来た人は、みんな自分の種を持ってきたんだぜ。どいつもこいつも育ててみるまで正体がわからなくてな」
「へえ。マッスの種は、何になったの?」
「ほら、あれさ」
畑の真ん中を占領するようにくみ上げられたやぐらに、ぐしゃまらっと豆のツタが絡まっている。
「マッスの豆の木?」
「木? まあ、木だわな。おおっと、今日はこの芽に水をやったら、豆の収穫だ」
「今夜は豆スープに決まりだね」
「穫れてたては旨いぞぉ」
日が暮れて、みんなでメシをたべ……旨いスープだった……片付いたところで、僕は飛行機の材料が積んである小屋のすぐ外で、作業を始めた。
天気は良くて月明かりもあるけど、作業をするにはちょっと暗すぎる。
星だって、落ちてきそうなくらい光ってるけど、星が見えるって事は暗いって事さ。
でも、建物から明かりはここまで十分届いていて、そんなに困らない。
ええと、黒い板をつなぎ合わせて、ネジでとめて、それで――
「トンフア、何やってるのさ?」
「うわっ、ああ、トルサか」
ひょっこりと、現れて、ちょっとびっくりした。
「わたしにも、手伝わせてよ」
「え、いいのかい?」
「だって、面白そう!」
なるほど、それならどんどん頼んじゃえ。
「じゃあ、そこにうしがくれた図面があるから、五番目からやってみて」
「よーし!」
トルサは足元の紙をおもむろに掴み取ると、てんこ盛りの部品の山から、一つ一つ必要なものを集め始めた。
「でさ」
トルサが何個目かの部品をつかみながら言った。
「なにさ?」
「完成したら、一緒に飛ばせてくれる?」
「どうだろ」
「えー、手伝ってるのにさ」
「違うんだ」
だってさ。
「二人で飛べるか、分からないんだ」
「それ? 行けそうだよ、ほら」
ひらりとトルサが開いた図面のページには、完成した姿が載っていた。
両手を広げるように薄い板が横に伸び、縦方向には筒状の胴体が描かれてる。
胴体の前のほうに人の形が横並びに二つ、並んでいる。
「乗り物、だね」
僕の口から、ふと言葉が出た。
乗り物ってなんだろう。でも、知ってる。
「うん、乗り物だね。これならいい、二人乗れるよ!」
トルサも、乗り物って言った。乗る、物、なのはなんとなく分かるけど。
「でもさ、乗るのは良いけど、それからどうするんだろう」
「はじめは、うしがお隣。飛び方をおしえる」
いつのまにか、うしが近くで草をたべていた。
「よろしくたのむよ」
「できたら、うしはたのまれる」
「よし、早く作らなきゃ!」
その夜から、僕とトルサ、それに気が向いた村人たちで飛行機の組み立てが続けられた。
組み立ては、毎晩少しずつ進められた。
途中、雨が降ってきて全然出来ない日もあったけど、五日か六日で形になった。
ある夜、トルサがこんなことを言った。
「ねえ、トンフア。これで、星まで行けると思う?」
「星って、あの空で光ってる?」
「うん。屋根に上っても、木に登っても全然届かないけど、これならさ」
「ははっ、完成したら、やってみよう」
飛んでみたら、木と同じ高さかもしれないけどさ。そのときは、とにかく笑っちゃおう。
「むり」
そんな気持ちを、横で草を食べていたうしが蹴落とした。
「な、なんでさっ!」
トルサが心底残念そうに言った。
「夜は飛べない。だから、無理」
無表情で――うしに表情があればだけど――答えるうしに「うーん、残念」と、トルサが口を尖らせる。
何で夜は飛べないのかな、とも思うけど、やっぱり寝てしまうのかな。
「あーあ、星を掴んでみたかったよ。月なら、行けるかなあ」
「なんで?」
「昼間でも、見えることがあるから」
「な、なるほど」
行けるかな?
行って見たら、ものすごく小さかったりしたらどうしよう、とは思わなかった。
たどり着くのが難しくて、上を歩けるくらい大きいようなイメージしかない。
それが本当かどうかは、完成すれば分かるさ。
七日後の朝、原っぱに飛行機を引っ張り出してみんなで眺めてみた。
「でっかいなあ」
完成品を見上げて、ヌンが驚いた。
僕だって驚きさ。
上から見ると、人が立って両手を広げたみたいな姿をしてる。
人の腕にあたる薄い板が翼で、胴体がそのまんま胴体だ。
翼の上には、あの黒い板が敷き詰められていて真っ黒。
胴体部分の足元には、二本のソリがあって転がらないように支えていた。
あと、天辺に丸くてちょっと重たいモーターていう部品がついてて、その後ろに細長いヘラみたいのが四本付いてる。図面にはプロペラって書いてあった。
びっくりするくらい大きくて、六人か七人もが両手を広げて並んだくらいもあるけど、僕ひとりで運べるくらいに軽い。
「飛行機は軽くないと、人が乗れない。うしも乗れない」
完成品の横でうしが言った。
「横に張った板が翼。乗るところがあるのが胴体。完成したので、トンフアは右に、うしは左の席に座る。さあ、乗って」
うしは、僕と飛行機を見上げて言った。
図面と一緒で、飛行機の前のほうに人がはまり込む穴と座席がある。でも、地上から見たら人の背丈くらいのところにある。
「ところで、うしはどうやって乗るんだい?」
だいいち、うしはでっかくて席にどうやったって収まらない。
「うしは……」
うしは、しばらく黙っていたかと思うと、胴体を開いてぐしゃっとまとまった球のような物を出した。
と、思ったら、その球はほぐれるように広がって行き、小さな、骨組みだけのうしのようなものに化けた。
その骨うしは、身軽にぽんと飛び上がり、席に収まってしまった。
「トンフア、も」
「お、おおっ」
なんと、このチビうしもしゃべった。
少し高くて細い声だけど、いつものうしの口調と変わらない。
「ちいさなうしの、うし。うしだと思っていい。いっておいで」
「うん、わかった」
僕も飛び上がって、は無理で、よじ登って座席に収まった。
座席には、カラダを固定するベルトと、両脇に動かせる棒が付いてる。
「はじめは、うしのうしが飛ばす。ベルト締めて」
「ベルト? これだね」
がちゃん。
ベルトを締めると、頭の上後方でヘラ、じゃないプロペラがひゅんひゅんと回り始めた。
「おお、なにこれ?」
プロペラの回転は目が追いつかなくなるくらい早くなり、ものすごい風が頭の上を抜けていくのが分かった。
「プロペラは、風を起こして、飛ぶ」
自分で起こした風で、飛行機はずるずると前進を始めた。
「どこに向かってるのさ」
「湖。水面から、飛ぶ」
チビうしが操作しているのか、飛行機はそのまま湖のほとりまで進んでいくと、どぼんと水面に飛び込み、漣を立てて浮かんだ。
「これから、飛ぶ。目を閉じないで、前を見る」
チビうしが両脇の棒を前足で掴んで、こっちを見て、前を見た。
直後、今までなんて問題じゃないほどものすごい勢いでプロペラが回りだし、吸い込まれるんじゃないかってくらいの風がおき始めた。
なんて思っているうちに、飛行機は加速してものすごい勢いで水をはじく音がして、ごうごうと風が顔に当たってきた。
思わず目をつぶろうとすると、チビうしに「目を閉じない」とおこられた。
そして、ふわり。
風に乗った枯葉みたいに、飛行機は浮き上がった。
木よりも高く、あの塔よりも高く。
「みぎまわり、ひだりまわり。棒を倒す」
声を聞き、横を見るとチビうしが右手の棒を右に左に倒してる。
「のぼる、くだる」
こんどは棒を引いたり押したり。
「はやく、おそく」
もう左手の棒を押したり引いたり。
「その二つだけで動かしてるの?」
「だいたい、そう。足も使う」
こんどは、飛行機がゆるゆると向きを変え始めた。見ると、両足のところに踏み板がついている。
「最後に降りる。いちばん難しい」
飛行機は大きく湖の反対側に回りこみ、とてもなだらかな坂を下りていくようにゆっくりと水面に近づいていくと、最後にばしゃんと大波をたてて水面に降りた。
「これで、使い方の説明はおしまい。あとは慣れるだけ」
「簡単だね」
「簡単にできるようにした。トンフアもやってみる」
「うん、やってみる」
二つの棒は僕の席にもついてる。踏み板もだ。
「左手の棒はスロットル。それを押し込むと、進む。いっぱい押し込むと速くなる。飛び始めは、目いっぱい」
僕はチビうしに言われるとおり操作し、飛行機を湖面で走り出した。
「右手の棒は操縦かん。引っ張ると、上がる。ゆっくり、やる」
「引っ張る、だね」
少しだけ引っ張ると、飛行機は少しだけ上を向いて湖から再び飛び立った。
それから、右に左に、上に下に。あまり高いところに行くなと注意されながら飛び回った。
遠くに見たことがないような景色が見えるが、眺めてる余裕はない。けっこうふらふら飛んでるし、流されないように気をつけながらさ。
「いくつか、注意」
「なんだい?」
「真ん中の赤い光がついたら、それ以上高く飛ばない。日が暮れる前に、必ず下りる」
「どうして?」
「危ない。まだある……雲に入らない。曇ってたら飛ばない。雨のときはぜったい飛ばない」
「うんわかった。全部危ないから?」
「そう」
うしのいうことは、きっと正しい。守らなきゃ。
「トンフア。あとは、降りる。ゆっくり、ゆっくり」
言われたとおりゆっくりと、チビうしがやってみせたよりも、もっと慎重に水面へ。
ばしゃん、ばしゃん。
数回バウンドして、なんとか止まることに成功した。
「どうだい?」
「上手。もう、うしが居なくても問題ない」
「そ、そうかな? 降り方なんてすごくブサイクだったけど」
「問題は、ない。簡単に飛べるよう、作った」
「本当は、もっと難しい?」
「難しい」
「ふーん」
チビうしと話しながら、僕はごく自然な感じで湖のほとりにある村の船着場まで飛行機を移動させた。
「あ、どうしよう」
そこで、気がついた。
「陸に戻せないじゃないか」
「杭を立てて、縄でつなげばいい」
てくてくと、下で待っていた僕のうしが近づいてきて、言った。
「沈んだり、流されたりしない?」
「しない。そう作った」
うしは、言い切った。
でも、うしの言うことはいつも正しいから、信じよう。
そのために、日が暮れる前に杭と縄を用意しなきゃ。
「トンフア、覚えておくこと」
飛行機から降りようとしていると、後ろからチビうしが声をかけてきた。
「お日様が見えるときしか、飛べない。暗いと、プロペラ回らない」
「へえ、そうなんだ」
たぶん、この飛行機も夜は眠るのだろう。
人もうしも、トリも飛行機も、みんな同じだな。
「もうひとつ。あまり、遠くに行っちゃダメ」
「上手じゃないから?」
「畑仕事、できなくなる」
たしかに、僕だけサボるわけにはいかないさ。
「今日はラジオを持って行ってよ」
僕は次の日も、畑仕事をやった後に飛ぼうとしていた。
縄を解いて乗り込もうとしていたところで、トルサが僕のラジオを持ってきてくれた。
「飛んでる間、話せるかな」
「話してよ、高いところから見える景色をね」
「そうだね。昨日は景色を見てる余裕がなかったけど、こんどは見ながら」
座席によじ登って、手を振る。
「きょうも、飛ぶ?」
そして、飛行機をうごかそうとしたところで、チビうしに声をかけられた。
「いつのまに?」
「ずっと乗ってただけ。ひとりだと、バランス悪い。それと」
「他に?」
「起動のしかた、おしえてない。このつまみを回す」
チビうしの言うとおり、見落としそうなところにあるつまみを回すと、きゅるきゅるとプロペラが回りだした。
「あとは、うし、ただの、重し」
「じゃ、好きにするよ」
湖から飛びあがり、ゆっくりと飛行機を旋回させる。
とても簡単。今日は天気もいいし、遠くの景色が良く見える。
「んー? なんだろう」
ふと手元に視線を戻すと、四つの記号のようなものに気が付いた。
いや、気が付いてはいたけれど、昨日はそれどころじゃなかったんだけど。
「ねえ、これは?」
うしに訊いてみる。
「一つ一つに意味がある。左から……」
一つ目は、木がたくさん生えているところ。
二つ目は、ある作物を作るために水を張った畑。
三つ目は、稲光。
四つ目は、風のもとになるもの。
――らしい。
まとめると別の意味になるらしいけど、僕には意味が分からなかった。
なにかを創るための集まりみたいだったけど、古代語らしくてどうにも。
「トンフア、この言葉は覚えておくといい。いずれ必要になる」
ウシはそういうと、最後に発音し難い読み方を教えてくれた。
『おーい、トンフア。聞こえる?』
何度か言葉を練習してたら、下のトルサがラジオで話しかけてきた。
「聞こえたよ!」
『景色はどう? 変わったものが見えない?』
「見えるよ! 何から話そうかな」
山があって、木が生えていて、湖も所々に。
細長く流れる水の流れ、川っていうのも見える。
東を見ると、ずっと遠くにとんでもなく大きな湖みたいのが見えて、そのさらに向こうに……
「なんだ、あれ?」
世界の果てがあった。
どれだけ遠くなのか見当がつかないけど、ものすごい壁があるように見えた。
「ねえ、うしはあの壁を知ってる?」
「うしは、トンフアが言う壁が何かわからない」
「そうなんだ」
うしが知らないこともあるんだ、といまさら思った。
知らないなら、見に行けばいいさ。飛行機で飛んでいけばいい。
それよりも、何をはなそうか考えるだけで一日かかりそうだ。
だったら……
「今日は降りるから、明日一緒に飛ぼうよ」
一緒に見たほうが、絶対に良いさ。
と、思ってると――
『**おーい!***』
いきなり男の声がした。
聴き取りにくいし、ヌンがラジオのスイッチでも入れてるのかな。
『やった! 船着き場でまってるよ』
ラジオの向こうで、トルサが喜んでる。
「もう、一人で飛べるよね?」
一応、うしに訊いてみる。
「だめ、ふたりでとぶ」
「まだまだ、ヘタかな」
「ちがう。片方に重しの人を乗せる。だれでもいい」
「そういうこと?」
なんだ、びっくりした。
よし、こんどはトルサと飛ぶぞ!