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空と電話  作者: ぷよ夫
15/17

01-8 帰還____________________________

「みんな、びっくりするだろうね!」

「うん。お土産はないけどね」

 僕とトルサは、新しい飛行機に乗って村に向かっていた。

 形は前と変わらないけど、新品さ。

「あーあー、ヌン、聞こえる?」

 村が見えてきたところで、トルサがラジオで話しかけてみた。

『お、おおっ、無事に帰ってきたか! 探してた人に、会えたか!?』

 よかった。ヌンはちゃんと待っていてくれた。

「うん、会えたよ! 一緒に村に向かってる」


 雲溜まりで流され拾われた後、僕らは食事をして、すぐに眠ってしまった。

 それから、目を覚ましてみると、最初の一晩を過ごした村から近い湖のほとりにいた。

 一瞬、夢かと思ったけど、水面には新しい飛行機があり、さらにうし生物が僕らが起きるのを待っていた。

「やあ、お二人さん」

 喋った。牛生物は、やっぱりセーン、じゃないヒカルだ。

「見てのとおり、君たちの村から少しはなれたところの湖じゃよ」

「うん、よく分かる」

 トルサが見回しながら言った。

「わしは、ここでお別れだ。ずっとじゃないがね」

「僕らとお別れ? さびしいよ」

「何を言うとる。わしらが声を掛け合ってたのは、ほんの短い間でないか」

「そう、だけどさ」

 なんだか、ずっと友達だったような、そんな気がする。

 やっぱりさびしい。

「ほれ、な。ずっとお別れと言っておるわけじゃない。何年かたったら、また会いに来るから」

「また? でも、なんねんって、何?」

「おー、ここは常夏か」

 セーンはそう言うと、僕らに「暦」をくれた。くるくる回る数字が二つ。

「知っているかね?」

「知ってた」

 十二ヶ月、三十日くらいずつ。一回りしたら一年だ。

 下の村で、教わってる。

「それじゃあ、行きなさい。さようなら」

 と、セーン。

「さようなら」

 と、トルサ。

「また、ね」

 と、僕。

 そして、飛び立った。


 そんなことがあって、飛行機は作り立てと見た目は変わらない。

 村人から見たら、ただ一回りして帰ってきただけに見えると思う。

「もう少しだよ。でもちょっとだけ、右に舵を切って」

 トルサが一度下を見て、修正を指示してくれた。

 彼女が書いてくれた地図は残ってないけど、何度も飛んだからこのあたりは覚えてる。

「あ、見えた見えた。村まで、このまま真っ直ぐ!」

 前方に、僕が下の村から出てきた塔が見えた。

 その近くには湖があり、もちろん村も見えた。

 さっきのヌンと話したせいか、村人たちが外に出て空を見上げてる。

 僕はちょっとだけコースを外れて、村の真上を通過しながらみんなに手を振った。

 みんなも、僕らに手を振ってくれてる。

「ねえ、トンフア。見たことない花が咲いてるよ」

「大きな花だね」

 畑の真ん中に、とても背が高くて大きな、黄色い花が咲いていた。

「僕の種からできた花、だね!」

「うわあ、ほんとに大きい!」

 

 その日――

 僕らはみんなに盛大に迎えられ、そしてヌンにおこられた。

 どれだけ心配かけるんだと。

 さっぱり、ヌンあてにラジオで話すのを忘れてたから。 

 それから、咲いていた大きな花は「ひまわり」って名前だと、うしが教えてくれた。


 後で分かったんだけど、その花からは沢山の種が取れて、食べることができるんだ。

 こんどセーンに会えたら、いっぱい食べさせてあげよう。

 お土産に持って帰れるくらい、たくさん作ってあげるんだ。

 とっても美味しい、僕の花からとれた、ひまわりの種を!

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