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空と電話  作者: ぷよ夫
12/17

____________________02-6 ハイリスク

 とにかく、彼らを助けたい。

 わしは、一つ決断をした。

「チューバを呼び寄せる」

「せ、先生? 見られたら、今までのことが、全ておじゃんですよ!」

「わし一人で責任を取る。あとは、頼んだ」

「頼んだ、じゃないっす!」

 カズがなんとか撤回させようと、わしに掴みかかってきた。

「えい、はなさんか」

「いいえ、だめっす! 今まで溜め込んだ研究成果はどうするんですか!?」

「溜め込んだのは、とっくに持ち出してあるワイ。今後は、あるモンだけで何とかする」

「それどころか、とんでもない違約金が!」

「かまわぬ! カズは何も知らない、それでよいのだ。むぐっ!」

 わしは身をかがめると、自慢の大口でカズの首根っこを咥えた。

「ちょっと、先生?」

 ぽいっ!

 と、フルートの隅っこにある小部屋にカズを放り込み、ツノを使って鍵を閉めた。

 たいした部屋じゃないが、中から開けるのは難しい。

「先生! 出してください!」

 でもまあ、カズが必死で体当たりしたら開いてしまうから、鼻を使ってスイッチを押し、緊急用の催眠ガスを部屋にまいてやった。

 ま、すぐに静かになったわけだ。

 まったくもって、人間は頭が固いというかなんというか。

 物理的にはわしらの頭のほうが数段固いとは思うが、頭脳は負けないぞ。

 頭のサイズはずっとでかいからな。

「チューバ、召還」

 とりあえず、フルートのメインコンソールに向かって言葉をかける。

 手打ちでもできるのだが、まるっきり人間向けの設計で、わしには使いにくい。

 わしにゃ、手なんてないからな。

 さて。

 もうじきチューバが来るだろう。

 取り急ぎデータを取りながら、先回りだ。

 吸い込まれちまった以上は、居る場所はあっちかこっち。

 じゃなきゃ、間で引っかかってるかだ。

 雲の外に居ないことは、電波通信機の位置からして確実なのだから。

「おや、もう来たか」

 あたりが少し暗くなり、フルートがふわりと浮き上がった。 


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