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空と電話  作者: ぷよ夫
10/17

____________________02-5 声をかけ

「どうしたもなにも、ぼさっとしてたら、吸い込まれるぞ!」

 わしゃ、思わず叫んでいた。

 どうもこうもない。

 雲溜まりに風と雲が寄っていくのは、そこにでっかい風穴があいてるからだ。

 むかしむかし、その昔、われらがスポンサーたちがあけたから、あいてるのだ。

 そんなでっかい壁みたいのがあったら邪魔だから、あけたと聞いてる。

 理由は風通しが悪いから。そのまんまだ。

 当然、風通しのためにあけたわけだから、風が通る。通してる。

 で、自転など諸々の理由により、いつも概ね西風だ。ということは、こっちから見て吸い込まれるほうに吹いてる。

 そりゃあ、海のほうから来る風を高いところで吸い込めば、上昇気流がおきて雲が出来て雨も降るわい。

 近くを飛んだら、そりゃ吸い込まれるわい。

「参りましたね」

「ああ、参っとる」

 あと二日、いや一日早く追いついていればと悔やまれる。

「でも先生、吸い込まれたら、どうなるんでしょう。反対側から出てくるんじゃ?」

「それも一理あるんだが、はたしてあの飛行機がそれまでもつじゃろか」

「我らがスポンサーの製品なら、どうってことないですよ」

「我らがスポンサーが、いつ作った製品かによるわい」

「つい最近じゃないっすかね」

「そ、そりゃそうかもしれんが」

 作られたのは、まあ、最近じゃろ。だが、アレだ。

「ちゃんとした工場で作られたわけじゃあるまい。少なくとも、あの大きさとなると、うしが作り出せるのはパーツだけで、組み立ては彼らがやったと言うことになる」

 うしのことだから、ちゃんと組み立ての面倒を見たとは思うが。

『ヒカル、やっぱり前に進めてないよ!』

 おおっと。こちらでぐだぐだ話しているうちに、あっちは問題が悪いほうに進んでいたようだ。

 助けてやりたいところだが、まだ距離はあるし、雲溜まりの雲の中がどうなってるかなんて、わしらとてよく分からん。出来ることなんて少ししかないではないか。

「おお、無理するな。とにかく、降りれるところに降りてしまうんだ。その通信機だけは、絶対手放すなよ!」

『うん、わかった。がんばってどこかに降りてみる!』

「おりたら、話しかけておくれ」 

『がんばるよ!』

「おう!」

 通信がいったん途切れる。

 がんばって欲しい。

 通信担当と、飛行担当。

 ぜひとも彼らの顔を見て、名前を聞いてみたい。

 彼らを確実に助ける方法はあるにはある。

「あ、先生。悪いこと考えてるでしょ」

「んー? 悪いことは、考えてはおらん」

 危ないことなら、考えてなくはないが……。

 


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