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財部 彩愛2

 よし!見つけた!ワー君待っててね!


 私はうちの力をフルに活用してワー君の携帯のGPSの反応からワー君がいる場所をを突き止めた。その場所はうちの学校の生徒の家で、二年生の杉崎雄二郎って人の家だったんだけど…何で男?もしかしてワー君の魅力が男の子まで狂わせちゃったのかな…?


 そんなことを思いながらその人の家を訪ねてみる。日曜日の朝だけど人の迷惑なんて気にしてたらワー君が危ないからね!


 インターフォンを押すとすぐに男の子が出て、私の顔を見て慌てて出て来た。


「た…財部先輩っ!?どうしてうちに…?」

「ワー君の事で訊きたいことがあるの。」

「ワー君…?」

「須藤亘。知ってるでしょ?」


 私がそう言うと顔を青くしたよ?…やっぱり怪しい!この家にいる!


「中に入れてくれる?」

「お…俺は何にもやってないっす!苛めてたのは先輩で…」


 苛めてた?何それ…話が変わってない?それとも…そういう事を…?はっ!それどころじゃない!


「…とりあえず。中に入れてくれる?」


 私がそう言うと杉崎君は諦めて中に入れてくれた。












「で、聞かせて?」

「お…俺は先輩から聞いた話しか…」


 何か怯えてる。そんなことよりワー君と会った時なんて言おう。いきなり婚姻届渡すのもなんか違う…


「えっと…でも俺から聞いたって言わないでくださいよ?…どこから話せばいいんすか?」

「全部。初めから。」


 じゃないと次からの対策出来ないからね。


「…わかりました。でも俺が1年の頃からしか知らないっすよ?あと…ここまで来たってことは…やっぱり全部知ってるんですよね…?」

「うん。」


 ここにワー君がいることはお見通しっ!


「だったら…今すぐ城崎先輩と別れた方がいいっすよ?全部あの人の企みっすから…」

「は?」


 何で私が城崎くんと付き合ってることになってるの…?


「あ、その顔はもう別れた後ってことっすか?そこまで知ってたら今更俺が言うことも…」


 混乱している私の状態を勝手に解釈する杉崎後輩。そんなとき急にドアが開いた。


「雄二郎!あんたまたバッグの中に携帯入れてたわよ!まったく…危うく洗濯するところじゃない…って」

「母さん!今ちょっと黙っててくれよ!…ってん?これ俺のじゃない…」


 あのストラップ!去年の誕生日プレゼントにお揃いで渡した…


「ワー君の…!」

「へ?須藤先輩の…?何でここに…?」


 間抜け面してる…さっきはワー君の事で頭回ってなかったから気付かなかったけどよく考えたら話噛み合ってないし…もしかして違う?でも…


「それをこっちに渡して詳しい話聞かせてくれる?」


 ワー君が苛められてたって話と私が城崎くんと付き合っているって話は聞かせてもらわないとね…

 杉崎ママが立ち去った後、私は杉崎後輩から話を聞いた。まとめると、杉崎後輩がサッカー部に入ってからずっとワー君はサッカー部の上級生(私から見たら同級生)から苛められていたらしい。理由は…信じたくないけど私。私とワー君が仲良くしてるのが気に入らなかったのが大きな理由。

 そして、その火種は城崎くんが起こしたらしい。そして、こう言って虐めを止めた。


『これ以上俺の・・彼女の幼馴染に手を出す奴は許さない』


 これを聞いてその場にいた人たちはみんな手を出すのをやめた。その場では杉崎後輩もその言葉を信じたし、城崎くんのことを凄いと思ったが、その後杉崎後輩の母親が仕事で夕飯がなく仕方なくファミレスに行くと城崎くんが同級生に奢りで作戦成功パーティーをしているのを見たらしい。




 …何これ?訳わかんない。ワー君の居場所も分かんないし…ワカラナイ。私はとりあえず杉崎後輩に礼を言って携帯を貰い家に帰ると混乱する頭で考えた。


(携帯があるってことは家にいない…?いや…カモフラージュ…?他の足取りも辿らないと…どこにいるのワー君…まさか城崎が言ったこと信じてないよね…?)


 私は眠れない夜を過ごす。






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