そして…
その後彼女たちは今まで何があったのか田所家で語り合った。そして話題はこれからの話に移る。
「誤解も解けたし…ワー君も帰って来るし…よかったぁ…」
「一人で暴走してごめんなさい…」
因みに話し合いの最中亘は両手に花状態だった。財部と泉は心から安心しきった表情で亘に寄り添っていたが次の言葉で表情が凍りつく。
「…え?俺…まだ帰る気は…」
瞬間。花に火が点いた。暗黒の気を纏って亘の腕を絞る。
「…ワー君?そこの女に誑かされた…?」
「…また新しい女を引っかけるんですの…?お兄様…」
「痛い痛い!新しい女とかそんなんじゃないが!俺はまだ契約が…」
両手の花火はその場で何とも言えない顔をしている大人二人を睨む。
「…お兄様がここに来た理由となる障害は消えましたからもう帰られてもいいですよね?」
「違約金などがありましたらどうぞ私の家の方まで。」
敵意丸出しの二人に良平と江口は苦笑する。
「あー…違約金なんてもんはないさ。亘が帰るというのならば止めない。」
「まぁ…私も本人がいいというなら止める理由はないな…」
二人の意見を聞いて泉と財部は亘に向き直る。
「「ですって!」」
「いや…そう言う問題じゃない…え~と、良平さん。亜美ちゃんは大丈夫ですかぁねぇ…」
腕を取られて締め付けられることで苦悶の表情を浮かべる亘。それでも言い切った。
「ん~…私は亘さんが帰りたいって言うなら仕方ないと思うけど?」
「ご安心ください。そこの方には私の家から家庭教師を送ります。」
「…それはちょっと違うんじゃないか…?俺はたから…」
「たから…?」
一瞬重苦しい気と共に腕のホールドが強まった。
「彩愛の家に頼る気は…」
亘のその発言を聞いて彩愛が首を振った。
「何言ってるの?妻の財産は夫のものでもあるのよ?私の家じゃなくてワー君の家でもあるんだから…」
「お前こそ何言ってんの?」
「…出ました。田所良平さん。あなた有名な教育者じゃないですか。大学の数学教授になれるほどの。そして、そこの新しい泥棒は模試を受けてますけど、この時点で第一志望A判定。弱めの所は数学。但し、解くことが出来ている問題は満点…これお兄様が教える必要ないですよ?」
「またハッキングとかして…それで昔、痛い目見ただろ?覚えてないのか?」
呆れ顔の亘。泉は勝手に流出していただけと言い張った。
「それにお兄様が輝いておられたことを私が忘れるわけないじゃないですか。」
「…はいはい。」
「…信じてないですね?…本当はもっと良い環境でしたかったんですが…この際仕方ないですね。えい。」
空気が…止まった。泉が亘に口付けをしたのだ。
「フフ…ご馳走様でした。」
「む!ワー君こっち向いて!」
「……え?あ、む。」
機械の様に言われるがままに顔をそちらに向けると財部の顔が迫って来ていた。そして唇が重なり…今度はそこで終わらなかった。
口の中を蹂躪され、征服され、貪りつくされた。
口から銀の糸を引きながら遠ざかる財部…
「上書き。あ、それとこれ…」
財部はここに持って来ていた荷物を漁ると一枚の書類を亘に手渡した。亘は茹だってほとんどの機能を停止させている頭でそれを見る。
「遅くなったけど…誕生日プレゼント!」
「…あ、え?」
何かいきなり凄いことになっており思考が追い付かない亘。目を白黒させている間に泉の蹂躪が行われる。
それは恥らって目を伏せている財部には見えておらず、両手を取られている亘は動くことも出来ずに蹂躪を受け入れた。
「プレゼントは…私です。もう私のお父さんとお母さんは説得してるし、後はワー君の自筆での署名で完了だから…」
「あ、お兄様。私の方からも帰ってから渡すものがありますので、これの不受理は早いこと済ませてください。」
亘は気付いた。自分が思っているよりこの二人は大分自分の事が好きなようだ…ということに。今更ながら気付いた。考えていたのとレベルが違うことに。
「りょ…良平さん!俺!まだ契約完了してませんよね!」
「まぁな…別にいい…」
「俺ここで契約が終わるまで色々やることがありますよね!」
良平の言葉を最後まで待たずに亘は続けた。
「…おい。須藤。学校の休校に関しては…」
「俺ここでやることがあるんで!」
「ん~?私が亘さんの家に行ってもいいよ?それなら帰っても契約は…」
「亜美ちゃん!?」
まさかの提案に須藤兄妹、財部が固まる。
「おぅ。行って来い。」
良平は軽かった。
「フム…そうなれば…須藤。住むところはどうするつもりなんだ?妹の病院か?それとも…」
更に争いの種になるようなことを放り込む江口。
そして…亘は。
「少し色々考えさせてくれぇっ!」
逃げ出した。
ここまでありがとうございます。
これで本編は完結です。時間かけてすみません…でもこの後に何か…もっと不定期に何かしら書くかもしれません。糖度が高いものだったり…修羅場だったり…
蛇足かもしれませんが…個人的に城崎を虐めたい気分もあるので…書くかもしれません。
それではここまでどうもありがとうございました!




