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彩愛・泉 1

 バスを見つけたは初日で行けた。その上、元々人が少ない地方で平日二人しか乗っていなかったことで捜索は一気に進んだ…そこまではかなり順調だった。…が、その後が問題だった。


 下りた先は田舎。いきなり余所の土地から来た私たちが人の事を尋ねても明らかに警戒して中々情報が入らないのだ。初回の捜索は徹夜で2日行ったが断念して帰ることになった。


 二回目も駄目だった。


 三回目も駄目だった。


 四回目、五回目…私たちは焦り始めた。だが、見つからない。平日の授業何て全て無視してここで捜索したいが、それは流石に許して貰えなかった。

 許可なく行ったりもしたが、それはすぐにバレて監視体制が敷かれた。


 そして、ついに私たちはついに登校か下校途中の写真の子供を見つけた。


「い…た…」


 そのかすれた声はどちらのものだったのだろうか。


「そこの人?ちょっといい?」

「へ?…はい…」


 彼女は突然私たちが声を掛けたので驚いて止まった。一緒にいた子供たちは怪訝な顔をしつつ写真の子に先に帰ってるように言われると後ろ髪を引かれる思いでいなくなっていった。


「何ですか…?」

「この人、知ってますよね?」

「っ!」


 私が出したのはお兄様の写真。目の前の子どもが息を吞んだのが分かった。


「えっと…」

須藤・・ 亘。知ってますよね?」

「須藤…?瀬川じゃ…」


 泉はその苗字を聞いて一瞬だけ強張った。代わりに彩愛が出る。


「瀬川は亘君の前の名字。そして私は亘君の幼馴染で財部 彩愛、こちらの子が、妹。」

「…須藤泉です。」


 その言葉に亜美は目を見開いた。


「亘さんのお知り合いの方ですか!それで何の用ですか?」

「会いに来たんだけど…道が分からなくてね。それであなたを探してたの…」


 そこはかとなく怪しい雰囲気が出て来た彩愛だったが、亜美は気付かない。


「あ~いいですよ。今私の家にいると思いますから案内します!」


(こんな素敵な人たちが来るって亘さんいったい何者なんだろ?)


 何処からどう見ても可愛い人と美人さん。亜美はいつも世話になっている兄のような存在である亘への恩返しのつもりで二人を案内する。


「…そう言えば、お兄様、私たちの事について何か言ってましたか?」


 道中何も話をしないという事は避けたかったし、情報が何よりも欲しかった泉はそう話を切り出して亜美と会話を始めた。


「ん~…亘さんそう言うの全く話さないからなぁ…そう言えば何で亘さんはこっちに来たんですか?」

「…お兄様の実の母親が酷くて…」


 ここに至るまでの話を亜美に話す二人。亜美は途中まで真面目な顔をして相槌などを打っていたが、途中から感情を欠落させた顔になる。


「…どうしたの…?」


 その様子が気になった彩愛が訊くと何でもないとだけ答えてその後は黙って歩を進めた。


 しばらく歩くと一軒家が見つかり、その前に良平が出て来た。


「おう、帰った…誰だそいつらは…」


 良平は亜美を見た後、すぐに後ろの二人を見て眼を鋭いモノに変える。二人は自己紹介をしたが、良平の顔は変わらなかった。


「…帰りな。あいつに会うにはまだ早い。」


 その言葉を聞いて二人の顔が歪んだ。それを見て身構える良平。だが、亜美はそんな場をすべて冷静に見ていた。


「早い?これ以上離れてたら私たち狂うんですが…」

「あいつが壊れるんだよ。そっとしておいてやれ。」

「あなたは一体誰なんですか?何を知っていてそんなことを…」


 そこまで言って車から誰かが下りてきた。それは二人もよく知る人物だった。


「…まさかここまで来るとはな…」


 呆れ顔で出て来たのは亘の担任。江口だった。


「やっぱり知ってたんですね…」

「それはもういいんですが…退いてくれません?早くお兄様に会いたいんで。」

「…あいつの優しさに付け込んだガキどもが…一度冷静になって貰おうか。」


 一触即発の雰囲気。それを前に亜美は溜息をついた。


「ふぅ…皆自分の価値観を押し付けすぎですよ…」


 誰にも聞こえないようにそう呟いて、亜美は誰にも気づかれないようにこっそり家の中に帰って行った。




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