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財部 彩愛4

「ただいま!田辺さん行くよ!」


 玄関先に何か不快なものがいたけど私は無視してあげてすぐに出迎えてくれた田辺さんがお帰りというより早く出掛けようと告げた。


「…少し落ち着かれたらいかがですか?」

「無理!早く!」


 田辺さんは呆れてるみたいだけどワー君とこんなに長い時間連絡を取ってないなんてことなかったんだよ?そろそろ私壊れそう…


「…すでに大分お壊れになってる気が…」

「?何か言った?」

「いえ。車の準備を致しますね。その間にお嬢様は出かける準備を。」


 田辺さん確かに何か言ったのになぁ…よく聞こえなかったけど何かに呆れてる感じがしたよ?…まぁいいや。ワー君ワー君待っててね。


「…車の準備が出来ました。」


 そうしていると田辺さんが戻って来た。すぐに出掛けよう!


 そして外に出るとまだいた・・・・


「こんにちは。」


(声かけて来たよ…うぁっ…どうすればいいんだろ…流石に埋めちゃいけないよね…一応返事だけはしておこう…折角ワー君の事を探しに行くんだしなるべく怒らない感じで…)


「…折角見なかったことにしてワー君の手掛かりを探すところなのに…態々何の用ですか?」


(うぁうぅ~っ駄目…ワー君にあんなことした奴相手に怒らないって無理だよ~…殺してやりたいもん…いっそ本当に…)


 そう思っていると田辺さんが私を制して来た。


「…お嬢様。お嬢様が相手をするまでもないことだと…」

「…でもワー君を虐めてたんだよこの女!昔からワー君の悪口言ってくるし!」


 思い出してきた…ワー君に対する数々の暴言…ワー君が苦笑いしてるから冗談と思って不快でも何事もなかったかのように済ませて来たけど…

 身代わり加奈子人形(外国にあったゾンビの人形。気持ち悪い)にやったことを全部本人に…ってあ!逃げる!これだけは言っとかないと!また来られても迷惑だし!


「ワー君の母親だったから何も言わなかったけど個人的にあなた大っ嫌いです!」


 …行ったけど…聞こえてたかな?ほんっとワー君の母親じゃなかったら八つ裂きにしても足りない…


「…お嬢様…行きましょう。」


 はっ!そう言えばそうだった!目先の嫌悪にとらわれてワー君の手掛かりを手に入れるのを遅らせる羽目になってた!


「よし!田辺さん早く行こう!」


 どことなく引き攣った顔をしている田辺さんが車のドアを開けてエスコートしてくれる前に車に乗り込んで目的地へと急いだ。



















「…ここか…」

「そうですね。」


 目的地の墓地に着くと日が沈み始める時間になっていた。


「お寺の方にいったほうがいいよね?」

「…おそらくは。」


 田辺さんの賛同も得られたし早速行ってみるといかにもお寺の住職さんと言った風貌のおじさんがいた。


「ん?…何か御用で…?」

「はい!ワー君を知りませんか?」

「ワー君?…えぇとそれは…」


 む?知らないのかな?


「…お嬢様…それでは通じませんよ…」


 田辺さんが呆れて片手を額に当ててる…あ!ワー君じゃ通じないか。


「須藤 亘君を知りませんか?」


 その名前を口にした瞬間住職さんから威圧感が出て来たので田辺さんが私と住職さんの間に割って入った。


「…亘に用か…エライ可愛い子でメイド付き…お前財部だな?」

「はい!ワー君はどこですか!?」

「…教えることは何もない。帰りな。」

「嫌です!ワー君はどこですか!?」

「お嬢様…」


 住職さんも呆れてるけど田辺さんはもっと呆れてる…まぁどうでもいいね!


「…はぁお前。あいつに嫌われてるの知ってるだろ?」

「え…」


 私はそこで止まった。住職さんは固まった私を見て更に呆れた。


「気付いてなかったのかよ…逆に驚くわ。大体亘に嫌がらせしまくってる時点で嫌われないと思ってる方が凄ぇわ。」

「嫌がらせ?」

「…成程ね。こっちは自覚なしか…ん?じゃあもしかして…亘のこと純粋に好きなのか?」


 住職さんは何か考えてるけど私がワー君のことを好きなのは激しい運動をすると疲れるぐらい当たり前だよ?

 そう言う意味を込めて頷くと住職さんは田辺さん越しに私の目をじっと見て来た。


「…嘘を言ってる目じゃないな…これで嘘なら一級もんの詐欺師だ。」

「…ところで何でワー君が私のことをき…きら…」


 駄目だ…嫌われてるかもしれないと思ったら泣きそうになって来た…


「す…好きじゃない。…って…」

「…まぁ…この分ならあいつの勘違いだろうな…」


 …つまり…私と城崎…いや私とワー君の仲を引き裂こうとしたゴミの所為で裏切られたと思ってるんだ…すぐに誤解を解かないと…


「ワー君は…どこですか…?」

「あ~…でも…」


 住職さんは夕焼けの光を反射している頭を撫でて苦い顔をした。


「…江口ちゃんが言わないってことは言わない方がいいんだろうな。」

「江口ちゃん?」


 何それ。ワー君の居場所を知ってるオンナ?ちゃんだし女だよね?おかしいなぁ…私のワー君に私の知らない女が…オカシイナァ…フフ…フフフフフフ…


「誰ですかそれ。」

「お…おう。今は…亘の担任してるって言ってたな。」


 何か住職さん引き気味だけど何か怖い事でもあったのかな?さて…江口とか言う泥棒…とりあえず会わないとね…


「住職さんありがとうございました。田辺さんもう帰りましょう?」

「は…はい…」


 あれ?なんか田辺さんも引き気味だなぁ…ここ墓地だしお化けでも出たのかな?どうでもいいね。今はワー君を唆したかもしれない江口って人の事の方が大事だよね。

 早歩きで車に戻るとその後は明日に備えての準備の事で頭がいっぱいになった。


 さて…明日の学校は…久し振りに有意義なものになりそうだなぁフフフフフ…

 




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