第6章 オペラナイトよろしくお願いします
在りし日の回想に耽溺する私を、現実は嘲笑うかのようだ
明日になれば何か良い事があるだろうな、少なくとも状況は変わるかもな、かつてはそう思っていた私も、今や昨日と同じ今日、今日と同じ明日を受け入れてしまった敗者だ
ポケットから取り出したカード明細を、私は額面も確認することなく破り捨てた
ここまで来たか…
西条大学の校舎内に飛び込んだ
雨をしのぐことができる
それだけでも今の私には大きな救いの手が差し伸べられたようなものだ
警備員に見つかったらどう答えたものか・・・
まぁいい深くは考えまい
何も考えずただぼーっと降り注ぐ雨をひたすら眺める
まるで雨に祈る崇高な宗教のようなものだ
ただ雨を眺める
これは以前の私には到底できなかった行為である
いや、このような行為は無駄であると信じていた
あの頃の私は少なくともそういう人間であった
五派四の変死体を見つけてからの私は必死で現場の状況把握、分析、捜査に没頭しかけた
悪い癖だ
そしてポリスに連絡しようとした酸蛇ー村をバカ呼ばわりし (実はしていないのだが)、徹底的に懲らしめ、侮辱し、誹謗し、自己満足の世界に浸っていた
親友が死んだというのにだ
結局、酸蛇ー村が呼んだ警察により私たちは事情聴取という最悪の拘束を受けることになった
事情聴取中は酸陀ー損がまともにしゃべっていてくれたのが救いだった
翌日の夕方になり解放された私たちのもとにパーティー参加(予定だった)メンバーが集っていた
差異、出湯法度などの華やかな面々はもちろんのこと、陶淵明氏や円李家、情事、玲名安登なども集まった
そして私たちは一致団結した
五派四事件の捜査を独自で行うことで