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7.ペットの躾は厳しくしましょう。

 可愛い。

 可愛いが、やはり厳しく躾をする必要があるようだとこの現状を見て再確認出来た。


 甘くしていては駄目だ。

 鬼のように厳しく躾をしないといけない。


 可哀想だがこれも本人のためだ。


「まどか、おいで」


 しょんぼりと落ち込んでいるまどかは可愛い。やはり可愛い。

 顔がにやける。


「ちゃんと躾しないとな」


 パシャッと写真に収める。今日のまどかは可愛らしいゴシックロリータ。ゴスロリだ。


 可愛くてしょうがない。

 本当に何でも許しちゃう。


 だが、こればかりは強く言わないと駄目だ、俺のためにも。


「けだまとけがわにちゃんと怒って褒めて、賢くしないとな」

「ひゃい」


 か、可愛いっ。

 噛んだ。


 回しておけば良かった。

 この時に回さずいつ回すんだ!


 真っ赤に染め上がりもじもじとしてこちらを窺ってくるまどかの上目遣い具合も最高だ。文句なしに額縁入りだ。


「けだま、けがわ…め、だよ」


 子猫だ。

 散歩中に捨てられた猫を拾ったんだ。別々の場所で拾った子猫は二匹。一匹は健康な黒猫オスの《けがわ》、もう一匹は衰弱気味だった白猫メスの《けだま》だ。


 名付け親はまどかだ。

 本当にそれでいいのかと念を押して聞いたが頷くばかりだった。名前図鑑でも読み聞かせるべきか悩んだが、可愛いから良しとした。


 というか、そんな怒り方なら俺もしかってほしい。まどかにそんな風に言われたい。


 ああ、どこまで俺のまどかを奪うつもりだ。本当に毛皮と毛玉にするぞ。


「これ、優の棚。引っかいちゃ、め」


 やんちゃになり始めた子猫もまどかには逆らえないのか背筋を伸ばすかのようにびっしりと座っている。


 可愛らしい説明を聞きながらこちらをチラチラと見て偉い偉いと窺ってくるまどかが可愛い。そのつどに微笑む。


 終わったら崇拝はぐしよう。もちろん、まどかの気が済むまで。


 カチカチとしたぎこちないロボットのようについて回る子猫。いつものしなやかな動きが欠片も見られない。


 この家での最高権力者は何気にまどかだ。

 まどかは俺の言うことを守る本当に良い神様だが、俺はまどかの機嫌を損ねたらどうしようもない。


 腑抜けだし、まどかが一番だ。


「優」


 躾が終わったのかまどかは両手を広げて抱っこをせがむ。

 子猫のけがわとけだまは自分達の寝床でプルプルと震えていた。


「まどかは偉いな、ちゃんと躾できたか」


 ついでにトラウマも植え付けたんじゃ。やっぱり、人間おれにはわからない何かがあったのか。


 獣は敏感に感じ取るのか。


「でも、後で褒めてやんないとな」


 ギュッとまどかを抱きながら、正しい躾はどんなやり方なのだろうかと思った。

 まさか、まどかのように教えれば素直に聞き入れるのだろうか。



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