6.寵愛を受けます。
まどかは今日も可愛い。
ほんのりと顔を赤らめてはにかむまどかはすこぶる可愛い。可愛すぎて色々イケない何かが出そうだ。
「優」
可愛い。
可愛すぎる。
なんで俺の神様は愛らしすぎるんだ。
「ん」
抱っこをせがむポーズがまたイイ。
今日は巫女服を着てる。
美しい濡れ羽色の御髪もうなじの辺りで白い紐で綺麗に纏められていて、顔と雰囲気もあって可憐で清楚な完璧な巫女さん。
もう神に仕えるだかなんだかの服だったんじゃとか考えてはいけない。まどかに似合わないはずがないし、神様が着たって何の問題もない。
似合うから。
可愛いまどかは何しても許される。
「優、優」
痺れをきらしたまどかが名前を呼んで催促する。ぴょんぴょんと飛ぶ姿も可愛い。
身体を寄せてそっとテーブルの上で抱っこを待つまどかを引き寄せて胸元に抱える。右手を足場にして左手で背中を支える。
満足げにピタリと御神体を寄せてくる。相変わらずの可愛さに血が上る。
もう天罰が下らないのが不思議なくらいな不敬な行いだ。
「まどか、可愛い」
まどか以上に可愛い生き物はいない。
最強に可愛い。
「優、好き」
幸せだ。
まどかへの信仰心に揺らぎはない。
「俺も好きだ」
可愛すぎるまどかを独り占めしてなにが悪い。まどかだって俺を好いてくれている。
俺一人だけでいい。
「愛してる、優」
幸せなのだ。
この上なく幸せだ。
神の声で御告げを聴けるだけで感極まる。
それはいくら馬鹿だろうと理解できることだ。
人の身では持て余すほど、とても幸福だとわかっている。
「俺も愛してるよ、まどか」
にじにじと上に登ろうとするまどかを支えながら見守っていれば、俺の鼻先の近くに寄ってくるとちょこんと手のひらに座り込んでじりじりと近付いてきた。
チュッと小さなリップ音。
柔らかな感触。
「優、大好き」
うん、まどかは可愛い。
もう目に入れても痛くないほどに可愛い。
本当に可愛い人だ。
重なる唇に狂いそうだ。
錯覚を抱きそうだ。
「優、愛してる」
まどかが好きだ。
愛してる。
まどかに在って俺は変わった。
欲深く、より醜く、傲慢になった。
無い物ねだりをするように、無謀なことを願い乞う。
土下座をしてでも、金を積んででも、他人を犠牲にしてでも、コいたい。
「ああ、愛してる、まどか」
神様に恋することを許して欲しい。
貴方を愛することを許して欲しい。
まどかへの想いを秘められないことを許してください。
神様。