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「よし、お前ら座れー」
ワイワイ、ガヤガヤ……
「もう知ってると思うがな、今日はこのクラスに転校生が来る日だ」
ワーワー……センセー、テンコーセーッテジョシデスカー!?
「喜べ都島、女子だ」
ヨッシャー!! デカシタセンセー、オテガラダゼ!!
「ハハ、落ち着けお前ら、女子が居たたまれない顔をしてるじゃないか」
ダレガイタタマレナイカオヨ! ……ソンナコトヨリセンセー、ハヤクヨンデクレヨ!
「あー……そのことなんだがな、」
……ソワソワ……ザワザワ
「転校生は来てないそうだ」
……エッ!?
「転校生、河内枝折、」
「遅刻だ」
______________その頃
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい--
「--ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいって!!」
転校初日から遅刻はマジでヤバい!
目標としている建物まで、およそ100メートル。時計を確認するとちょうど9時30分を指していた。
一時間目を完全に逃したーー!
「…………」
これは仕方ないと観念し、歩きながら息と思考を整える。あと髪も。
「いやー、まさか同じ名前の駅が二つもあるなんて……」
駅員に訊いたところ、JRかそうじゃない駅かで場所は全然違うらしい。私の田舎にはそんなの無かった。
ふと辺りを見渡すと、コンビニが一軒。私の田舎にはそんなの無かった。
「でもこれは逆にチャンスかもしれない……?」
初日から遅刻する転校生なんて、ある意味珍しいもんね。あっという間に話題になったりして。
「……ここか」
目的の建物--不壊金剛高校の前にたどり着いた。
通称フエ高。広い敷地に自由な校風、質の高い授業内容が有名で、地元の子たちはもちろん、市外から通う生徒もいるらしい。私もその中の一人だ。
「まずは職員室に行って挨拶。その後に遅刻を詫びよう。クラスの子には笑顔で接する。質問にはユーモアを含ませて答えて……」
何はともあれ、これから私の新しい学校生活が始まるのだ。
このフエ高での、生活が--