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神様の好奇心は人をも殺す  作者: all
靴下を履けない本編
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おやすみ前の睡眠講座

睡眠・夢


 夢は経験という記憶を、明日の私へ引き継ぐ儀式のようなものだと今の私は考える。


 その過程は記憶の解凍からその整理、そして映像化での確認が結果と残る。


 過去を振り返り、自分という下地を、精神の芯を少しずつ作り強固なものにしていく。


 自分という生き方が、自分という人間が、自分という基準が作り上げられていく。


 なればこそ、今日の私にできなかった新たな創造が、明日の私には出来るのである。


 発明の母たるものは失敗だが、その子供を育てるために知識豊かな環境が必要で、


 発想をモノにするための下地(わたし)は、経験と睡眠によって形成されるのだ。


 そして徹夜をするということは、過去を忘れると同時に自分という世界を壊すこと。


 夢をロマンティックに纏めると、こうなるだろう。


 だからもう一つ。


 今日の私と明日の私は、別人と言って差し支えない。









 ある日。

「始めて補習をうけちゃったじゃないのぉ!」

 私が知ったことかぁ!

「勝者! エリック・シルフィールド」


 またある日。

「なんであんたが補習基準なのよぉ!」

 校長に言えぇ!

「勝者! エリック・シルフィールド」


 またまたある日。

「せめて、せめて決闘だけは勝たせてもら――うぼぁ」

 慈悲はない。

「勝者! エリック・シルフィールド」





「今日も今日とてお疲れ様でしたよ、私」


 今日の決闘(ノルマ)が終わり、白湯を飲みながらリラックス、自分自身をねぎらう。

 こういう一時の休憩なくては、精神以前に身体が持たない。

 一番の回復方法はやっぱり睡眠で、その時間(ながさ)も大切だが、睡眠前の感情(テンション)もこれまた大切なのだ。


 本当の八歳だったら精神的に潰れてる。断言しましょう。本気の感情で対峙されれば、こちらも向き合った時点から疲労していくのですから。



 しかし少し考えると、ここの校長は意地悪い性格をしている、ということがわかる。


 私という基準(フィルター)を矢面に立たせ、基準を()めた自分に批評がこないよう、私で(さえぎ)った。

 決闘という体の良い発散の場も設けられて、校長の予定通りと気付くものは少ない。


 したたかな強さと言えばいいのだろうか、敵にすると疲れそうである。


 だけど、それだけじゃなかった。流石最高責任者、隙を生じぬ二段構えか。


 校長の思惑に気づいてなお、私で鬱憤を晴らそうとする人ばかりなのである。

 校長の思惑に気づいた人たちでも、なお全力で私に目線を向けてくるのである。

 面倒度は二倍どころじゃなく二乗である。そういう人たちは考えるお馬鹿なので、

対処が非常(ひっじょー)に面倒なのだ。戦い方(スタイル)に一癖二癖当たり前のように盛り込んでくる。

 たちが悪い人達、と言い換えてもいいかもしれない。


 ノリがいい? そんなノリは要らない。


 そんな良い意味でも悪い意味でも鼻高々な人たちは決闘直前、もしくは決闘中などに 聞かせつけてくれるので、つい文字通り雷落(イラッ)としちゃうんだ。仕方ないね。


 校長が生徒の細かい傾向をよく知っている、というのは良いことだと確かに思う。

 ……思うけども、思うんだけども。たぶん、あの人は学校風習的なイベントでそういう教育をしたんだろうなぁ。

 相手の思惑を知ってなお、気に入ったならそれに乗っかりなさい、みたいにね。


 ……正直、その考えに染まりたくはない。




 だいぶ温くなってきたお湯を喉に流しこんで一息つく。因みに今の天候は雨。耳を音に傾ければ、雨が木の屋根や壁にはじかれる音が響いてくる。

 激しくない雨粒が出す雨音はどちらかと言えば好き。だけど、天候としては嫌いだ。


 うん……うん。この世界に四季があるのかなんて考えもしなかった。

 今までここで生きたずっと疑問に思わなかった。この世界に季節があるのか、なんて。それほどまで一年を通しての気候が安定しているのだろうか。

 五年間は引きこもりだったけども。因みに、冬の代名詞、雪なるものはまだ見たことはない。


 少し肌寒さを覚えて飲み始めた白湯。室内温度も軽く熱風魔法を用いて暖かめに。

 かさばるエアコン、ポット・ガスコンロいらずのどこでもスイッチ、魔法バンザイ。アースより娯楽が少ないのはいや仕方なし。


 ……もうそろそろウトウトと、まだまだ小さな身体は夢に入る時間が早いのです。

 

『おやすみなさい』


 日本語でそう唱えたら、暗闇の世界へ下るように落ちていったのでした。











 ……zzz。

 四季折々のお話。

 もし、完全に星の地軸がまっすぐだったら、な世界ですね。あってもおかしくない。

 詳しくは知りませんが、地軸の傾きと公転により四季が出来るらしいので、そういうことだと思います。

 私はある理由から春と秋が好きで、またとある理由から春と秋が嫌いです。

 夏? 嫌いですよ熱いもん。冬? 嫌いですよ寒いもん。


 今回校長さんは嫌われ役でございます。物語からしてみたら、締結者みたいなものでしょう。校長さんはどの物語でも、たいていそんな立場にいるんじゃないでしょうか。

 年長者は辛いね。


 それではまた次話で。


 持ち駒一つ目終了(ドボン)。就活はこころ抉られますなぁ……。

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