ゲームファンタジーと現実の幻想
二次元の物語と三次元の空想。
この物語でも面倒な部分は省いてます。
お花摘みに行くシーンやこの時代のその構造とかは、私が書きたくないので申し訳ありませんがご了承を。
中級魔法
初級との明確な線引は無く、詠唱の小節量から決めている節もあり、曖昧。
一番最初の小節文は初級魔法と同じであり、変わらない。
中級魔法の特筆すべきは、やはりその効力。
風はナマクラから刃となり、水は荒れ狂う滝となる。
地は動くのではなく蠢き、火は炎となり爆風となる。
魔力消費量が多くなり、多大な集中力を要するのは当たり前ではあるが、それでもその多大な効力は人を引きつけて止まない。
いつしかそれを足掛かりに、山の高みを目指すように上級に登る。
私は、初級という装備にまだまだ時間をかける。
「ん〜! 楽しっい〜!」
日は過ぎ、時は変わり、場所も変わって、そこにあるのは蹂躙の足跡。
敵は敵にあらずと思っているかのように、傲岸不遜な態度で進む四人とプラスアルファ集団。
……はい、正直ついていけません。
ゲームのように魔物の死体が消えるわけもなく、広がるのは惨殺・火葬空間、残るのは切り裂かれた死体と体液。
同時に聞こえるのは、生きるという本能から出る叫び声とうめき声、その後に森の匂いに混ざってくる深い異臭。
実力差がありすぎるせいか、前衛さえも返り血を浴びてないものの、こんな環境で恍惚に浸り口角が上がりに上がっている人達にはちょ〜っとついていけません。
否定はしませんよ? それはこの世界で育ち得た、素晴らしい価値観と個性だと思いますからね。
……ただ、共感できないだけで。
ということで、
「気高き強固な地の意思よ その身の上にあるものを飲み込み 平坦と化せ」
埋めます。
……この世界に生まれ、この世界を知ったその時から、多少のグロ耐性は必要だと思っておりましたとも。
「なんだか悪いね、後片付けのようなことさせちゃって」
「いえ、これくらい構いません」
私の精神衛生上の問題です。
私のストレス発散という名目はどこかに行っちゃったね、たぶん。
でも滞在期間が伸びたのはやっぱり私が原因で、あの皮が丸々手に入るんだから、多少の事では文句を言うまい。
私がやっているこの処理は、放っておいても別の生きてる魔物が言葉に起こし難いそういう事をやってくれるので、問題はない。
だけど、逆に言えば魔物が嗅ぎつけて寄ってくる。
だから本当に不必要な行動だったりするかもだけど、私にとっての建前は距離感と魔法発動の良い練習場ということで。
それにしても……一向に狩りをやめようとしてくれません。
いや、別にいいんですけどね?
だた、流石にちょ〜っとこの作業に飽きが来ただけですよ、えぇ。
「エリック、戦闘態勢!!」
クランさんの怒号が飛んだ。
それを皮切りに小さく地面が響き、森に住んでいたであろう小鳥たちが逃げていく。
よく見れば一部分の木々が左右に揺れていて、よく聞けばミシミシと嫌な音も聞こえてくる。
面前に見え、何時の間にかクランさんと剣を交わしたのは、小さな丘が動いているかのような錯覚を覚えさせるヒビ割れた岩。
「ラングロック! だけどおおき過ぎない!?」
「昔倒したのはまだ子供だったでしょ、大人でもコレは大きい方だけど!」
もはや自重で潰れていないのが可怪しいくらい、生物としては歪に見えるその魔物。
だからこそ、地面を揺るがすその重さからくる攻撃は計り知れない。
「接近戦は無謀! クランは避けに徹しながら出来るだけ押さえつけて。
後退しながら魔法主体でいくよ!」
「「応!」」
やっぱり魔法主体で、火や土、風などの詠唱が始まり、軽く短縮詠唱を用いた魔法が複数放たれる。
浅い切り傷、薄めの焦げ、それらの軽い衝撃は粉末を飛び散らせるも、どれも致命傷には至らない。
「やっぱり硬いわねぇ!」
「たくさん詠唱しましょう〜!!」
と愚痴をこぼしながらも、
見た目から分かる範囲の長さと、見た目に反する俊敏さで繰り出される横殴り。
受けきる事なんて出来ず、受け流すのも無謀に近い攻撃。
そんな攻撃は命令通り、風圧でバランスを崩されながらも、しっかりと避けに徹し、躱し続ける前衛。
さて……私は何をするべきか。
連戦で厳しいかな? と思った前衛の体力回復のため、治癒魔法の詠唱を始めながら考える。
私に期待されていることは、前衛の動きを損なわせないこと。
唯一私だけがチーム内で回復方法を持っていて、そのための治癒魔法で、基本はそれでいいはず。
移動しながらの詠唱なんて、難易度跳ね上がりますけどね!
「羽衣になりて抱擁せよ」
「……我の意の下 意の侭にその身を変化させよ」
同時。
クラリィさんの計九小節詠唱地属性魔法の発動。
ラングロック足元の地面が蠢めいて、片足が地中に埋まっていき呆気無くバランスを崩す。
「いいわクラリィ! さぁ、一気にいくわよ!」
中級魔法の詠唱が始められる。
それぞれの得意分野か、風、土、火と属性は変わらず。
詠唱は重く、遅く、隙が大きい。
魔力消費量も多いだろう。
初級魔法のように移動しながらの詠唱なんて、出来ないと思わせるような表情が伺える。
それでも、その威力はそれを強く上回る。
幾重もの刃は岩の身を抉り落とし、一本の重厚な槍は天からその胸を縫いつけ、爆発はひび割れた諸共を木っ端微塵に吹き飛ばした。
調度良く、いや計算されたのか、頭部だけがキャロラインさんの足元に落ちる。
それを拾い上げて……彼女はこう言うのだ。
「さて、帰ろっか!」
と。
この世界の女性は……怖いなぁ。
岩も石なわけです。
はい、隔週ペースに落ち込みました作者です。
大学生は暇が多いっていってたじゃないですか。やだ~!
就職活動前のためか、非常に忙しいです。
もう隔週でもキツイぐらい。
だけども、更新ペースが落ち込もうとも投稿は出来るだけ続けます。
それと、次回から文章がかなりはっちゃけるかもしれません。
いや、プロットも書いてないいきあたりばったりですけれども。
多分授業ストレス発散の相手がこの小説になると思うので、そういう忠告をばと。
心情状態は文章にダイレクトに響きますからね。
それでは、また次話で。
FFCCRoFの22.汚れた森が最近のお気に入り音楽です。
訂正:()の恥ずかしい文を削除。これはひどい。
訂正:作者の勘違いが原因。最新話に話を合わせるため、日数が進んでいるような文面にした。