抱えて背負って進むのもいいじゃない、人間だもの
みつお
属性による魔力消費量の差
同じ魔力量を消費して、属性魔法を発動。
その魔法行使によっての効果の威力、範囲大きさには違いが出る。
それは勿論、有用性の方向性が全く違うのだから、厳密に比べられるものではない。
地属性と光属性の魔法を比べたとして、魔力量に対して効果範囲が違うなど、そんなものは当たり前である。
それでも魔力に対して効果が大きい順位、つまり対魔力効果が高いとされている順位があり。
それは、地、火、水、風、治癒、光、雷、闇、重力とまぁこのような並びである。
私的な見解としては前後範囲で誤差があるものの、そこまで間違っているわけでは無いと考えている。
「いや〜お前らが来てくれて助かったぜ。Bランクなんぞ、ここにいる奴らを相手させたら還ってこれねぇからな」
「その言い様はひでぇや」
「Bランクなんて無茶いってくれるぜ」
「そんなの相手にするより、俺は酒をかっ食らってた方がいいや」
「小物を狩った後の辛い酒を、ってか?」
「「ハハハッ!」」
帰って来ればもう黄金色の夕方。
それなりに使い込まれている獲物をぶら下げながら、談笑するゴロツキおやじ集団。
その中心にあるテーブルに緑なんて色はなく、肉一色で野菜の『や』の一文字もない重厚とした空間。
……あの輪に入っていけるのはクランさんしかいないんじゃないかな?
それで、と前置きされて。
「この皮どうするよ。かなり良い状態だ、こっちで買い取ってもいいんだが」
「いや、一回なめすだけで頼むわ。仕上げは向こうで俺がやる」
「わかった、んじゃ二日、三日ぐらいくれや。これだけの代物だ、始めをしっかりとやっておかねぇと勿体ねぇ」
ということで、戦利品の消耗を防ぐため滞在期間が伸びましてしまいまして。
「で……本当に私が貰っていいんですか?」
場所は宿屋も宿屋。
男女別に二部屋借りたら、私は女子部屋にお呼ばれ。
クランさんは一人寂しくお留守番です。
「も〜違うってば。だから、それはエリック君の戦利品!」
「倒した人が戦利品として持っていくのは当たり前なのですよ〜」
いやいや確かにね、私がほぼ一人で倒しましたよ。
しかも皮が硬いと聞いて、お金に変えるのも勿体無いのではないか、と思って口に出したのも私だし。
……丸々全部貰えるかなーとかチラッと考えたりもしましたけども!
「なら、せめて私の分の宿泊代だけでも払わせてくださいよ……」
二戸の宿部屋、五人分の食事、そして期間は三泊四日に増えてしまい。
私の一言が滞在期間を伸ばしたようなもので、居た堪れない。
その上、金銭全ては向こう持ち。
ちょっと気にせずに要られる範囲は超えてますからね!?
「……エリック君。フィルカニア・フォレストウルフを私達だけで倒そうとすると、ともすれば敗北して逃走――いや、全員命を落としていたかもしれない相手なんだ。
それを安全確実に対処してくれたんだから、これくらいはさせてくれないとこっちが困ってしまう」
「でも……」
私も割り切ればいいんだろうけど、どうしても考えてしまう。
なんというか貸し借りとかそういうんじゃないけれど、気がすまないというか……なんだろう。
相手の好意を素直に受け取れない……とか?
……私ってば結構陰湿な性格なのか。
キャロラインさんが諭すように、
「エリック君、私達にとっても悪いことばかりじゃないんだよ?
結局滞在するんだから、ちょっと依頼こなしてお小遣い稼ぐつもりでいるんだよね。
それでエリック君にも手伝って貰うつもりだし、それでよしって事にしない?」
と言ってくれた。
記憶で言えばもう二十後半の年月が流れた。
それでも私はまだまだ子供なのだなぁ、と思ってしまう。
割り切って行く事が正しく、そのまま大人になるという訳でも無いと思うのだけど。
その日、お風呂に入れなかったことだけがちょっと不満だけど、仕方ないね。
あれれぇ? おかしいぞぉ? また何かのフラグが立ってる気がするなぁ。
行き当たりばったりの弊害。
前回、メイン終了とか言っておきながら、コレだよ!
……いやいや、そのままスルーということもありますぞ。
この外出系の後の題材は一応決めました。
学園で苦い思い出と言えば……いろんな候補がありますが、その内の一つが正解です。
それではまた次話で。
大学が始まる~ぅ。