熱い地雷にご用心
魔法陣と刻印
両者ともコンセプトは利用者がその内容を理解しなくとも、魔力を流せばその魔法を発動できるという部分。
ただし、その魔力効率と効果が一般的に詠唱系より悪く、どうしても補助的な位置づけとなる。
更に発動後からの制御が出来ず、用途以外に使用転換させることが難しい。
刻印は魔法陣をバラけさせた一部という認識でほぼ問題なく、作るのは魔法陣より簡単だが更に効率が悪く、効果も薄い。
戦闘に使う場合の一番のメリットは、魔力を帯びている状態を長く保つ事ができるという部分と考える。
理由として、あと少量の魔力で魔法が発動する程に帯びさせておけば、楽に短縮詠唱レベルのスピードで魔法を展開する事が可能なため。
名称は、魔力を帯びている状態を活性状態、帯びていない状態を不活性状態と言う。
通常、魔法発動後は不活性状態となり繰り返し使用が可能だが、稀に効力を失う。
この事を纏めると活性状態の魔法陣を作り、発動条件を対象者が踏む事などとすれば立派に地雷型の罠となる。
ただし、活性状態の魔法陣の発見・対処方法はあるため、除去される場合もある。
「えっと……それでですね皆さん」
「分かってるって。また内緒にしてって言うんでしょ?」
……むぅ。
「ふふふ、エリック君の性格、ミスリルの希少性の高さを考えればすぐ答えはでるよ」
「エリック君は隠したがりやですね〜」
……隠し事はそちらも多そうですけどね〜。
「で、これからどうするんだ。一旦戻るか? 依頼もコレ見せたらどうとでも言い繕えるぜ」
と、採取が終わったのか、見せつけるように皮を揺らすクランさん。
……ぅ……薄気味悪い!
ダメだ……気持ち悪くなってきた。
毛並みは良く、薄い緑と銀に近い白のコントラストが綺麗だけども……なんか所々に肉みたいなものがついてて……うん無理、生理的に受け付けられない。
「ちょっと、エリック君になんてもの見せてるのよ!」
たたりを踏む私を見てか、キャロラインさんがクランさんを追求してくれている。
……キャロラインさんは大丈夫なんですね。
貴方本当に王族なんですよね? 私の勘違いとかじゃありませんよね!?
自分の推察にどんどん自信がなくなってくるなぁ。
「で、どうしようかエリック君。一旦戻るかい?」
「私に聞きますか、クラリィさん」
「本当なら私達がやるべきことを押し付けてしまったからね。
治癒魔法を使うほどの攻撃方法だ、流石にこのまま討伐に行くのも気が引ける。
……余計なお世話だったかな?」
「いえ、お気遣いありがたいです」
確かに効率も技術も無い魔力の使い方したからね、疲れたのは事実です。
……と考えてれば、何時の間にかズイと顔を寄せられて――
「あと、今後アレはあんまり使わない方がいい。理由はエリック君なら言うまでもないかな?」
「はい……身体的にも辛いですし、今みたいな時にしか使わないつもりです」
「うん、よし」
ふぅ、少し怖かった。
「いやしかし、二度もエリック君に命を助けられたとあっては、私達先輩としての顔が立たないねぇ」
まだギャアギャアやっているキャロラインさんとクランさん。
そんな二人の立ち回りを呆れた目で見ながらクラリィさんが続けてきた。
……ん?
「一度目っていつの事です?」
「あぁいや、サバイバル最終日のブーニング先生と相対した時のことだよ。あれはもう心意気命懸けで戦ってたからね。
そしてあの状況からエリック君一人の力で逆転したんだし、命を助けてもらったような物だとね」
……。
こういうのってどうやって返せばいいのやら。
「何も考えなくていいですよ〜? ただただ、感謝しているだけですから〜」
……もうこれ完っ全にアリシアさんには心を読まれてるよね。
少し笑いながらクラリィさんが、
「エリック君はアリシアとはかなり気が合っているね。それじゃ、そろそろあの二人を抑えてくるよ」
と言って、未だに言い合っている二人の元へ駆けて行った。
「どう思います?」
「人の恋路は、見守るのが一番正しく、一番面白いと思ってるけど?」
「なるほど」
見えている恋の地雷原に入れる人物は、それまた恋をしている人だけであると。
本格芋焼酎をチビチビやりながら、この後書きを書いている作者です。
なんというか、この話はあってないようなものですね。
一応ノルマというか、書きたかった部分は刻印と魔法陣の事。
さらに、キャロラインが王族としてはやっぱりズレていて、このパーティーの人間関係の確立をさせたかったと言ったところでしょうか。
ここからどう収縮させて行こうか考え中です。
メインイベントはもう超えてしまいましたので……。
この前も書きましたが、行き当たりばったりの弊害が大きくのしかかってきております。
銃に関しては本当に計算違いだったので、ギミックをかなりの駆け足で説明しなければならなかったのです……。
さて、この外出系魔物退治編が終わりましたら、またどんなイベントが起きるんでしょうか。
後、恋愛なんぞ私は経験したこともないのでそこら辺、期待しないで下さいぁ。
それではまた次話で。
犠牲があろうとも、最後にはハッピー・エンディングな物語。