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神様の好奇心は人をも殺す  作者: all
靴下を履けない本編
48/59

技術は繁栄を約束するのか、衰退を約束するのか

闇魔法


 光魔法と対をなし、光魔法と同じく明度・光度に関する魔法。


 最上位二原則魔法に分類され、扱える者が光魔法よりも少なく、そのためか研究対象としては不遇の扱いを受けている。


 具現化魔法は一定範囲の光度をさげたり、ほぼ光を通さない煙などが作れたりなど。


 煙は黒く見えるのだが色が付いているのではなく、単純に反射光量が少ないために暗く見える。


 つまり光の大部分を吸収できる煙を作り出せる。


 効果魔法は、魔法で作った事象すらも圧縮、吸収、開放などができるため、ある意味一番吹っ飛んでいる。


 なんというか、闇魔法の前では物理も魔法も全て同じようなモノとして認識されている。


 効力が弱く制限のある、小さなブラックホールを操っていると言っていいかもしれない。


 事実、吸収効果を制御すれば私を中心とした小さな衛星を作り出すことができた。


 闇に心を侵されるというような精神系の面は持ちあわせておらず、闇ではなく(くらやみ)の魔法と言った方が正しいかもしれない。


 











 既存の理屈では、魔法で爆発そのものを作れなかったと言ったことを覚えでいるだろうか。


 なんのために必要だったのか。


 答えは火薬の代わり、瞬間的な放出系のエネルギーが欲しかったためである。


 ……またその時から銃を作り、所持することを決心していた。




 中世のような世代。


 力なきものは何かしらの傘下に入り、一時的にでも身を守ることが必須である薄氷を踏み行く時代。


 さらに、生まれた時の格差を埋めようと思わせている現代よりも、その差が高く深い。


 自分の個性をできる限り薄くして生きていくならまだしも、自分自身を貫き・守るためにはやはり本人が持つ力を多少なりとも求められる。


 そしてこの世界は科学ではなく、魔法の発展が主。


 なら、この世界での科学知識は他にアースからの転生者がいない限り、唯一無二の文字通り私だけの武器となる。


 それを活かしての武器。


 思いつくのは、近代戦争の主力として今も形を変えていく火器だった。




 主力武器を銃に決めた建前は、個人で扱える武器の中でほぼ最高と言っていいスペックの高さから。


 効果範囲、ほぼ不可視の攻撃、そして殺傷力(エネルギー)


 心の本音として銃に決めた理由は……ロマン。


 特に単発式ボルトアクション狙撃銃(スナイパーライフル)に思い入れがあったり。


 銃を扱ってみたかった、自分好みの武器を作ってみたかった、ただそれだけの我儘な欲望。


 ゲームで見て、操作して、自分で使いたいと思った本当に子供のような好奇心。


 銃を扱える能力、銃を武器として持って使っても良い時代、そういう条件は転生でクリアしてしまい……手を伸ばしてしまえば銃を作れてしまう、そんな位置に立っていた私は止まらなかった。


 そして新しい(オリジナル)魔法を見つけて使いたいという理由もあって、爆発魔法を完成させた。


 理論は火を風で焚きつけて、そのエネルギーを闇で圧縮した後、雷で暴発させるという四重魔法のファンタジー。


 長めの薬莢、その側面に火と風と闇の刻印文字を左右反対に掘り、底面に雷の魔法陣を描いたものが火薬、魔力を流すというのがハンマーの代わりとしてのギミック。


 製作期間はこの学校に来てから。


 材料は弾丸、薬莢共に地属性魔法で作った石。


 薬莢は一度使ったら壊れるため、対効果労働が少し……いや、結構割に合わない。


 それでも薬莢の大きさや魔法発動のタイミングなど色々と制限のある中で、かなり満足いくモノが作れたと思う。






 そしてやっぱり、これらは広めるつもりはない。


 金でも、権力でも……例え友情・情愛関係の悪化の引き金であっても決して対価にはならない。


 広めてしまえば自分のアドバンテージが消える上に、この技術を悪用されたくないから。




 ……この国を統べる王の命だとしても、私は従わない。




 なぜなら……




―――――――――――――――――――




「眉間に一つ穴が開いているだけか。他にはそれらしい傷も無し。皮の素材としては最高級品に近いな」


 皮を剥ぎ、素材採集しながら考える。


 おかしな事が立て続けに起こって全くついていけない、というのが現状だが……。


 そもそもBランクの魔物がここにいることや、しかもそれを倒したのがエリック君で、ミスリルを出したと思えば、出会って数秒で沈めてほぼ最高の戦果をここに残す。


 ミスリルの急激な形状変化の速さ然り、さも私は予想していましたと言わんばかりの反応速度。


(あれは先輩としても年上としても情けなくなるほどだったぜ……)


 そしてあの武器(かたち)


 眉間に穴が開いてることから、何かを飛ばしたのは分かる。


 だがそれは全く見えなかった。


 エリック君が自分に治癒魔法を掛けていることから見て、かなりの反動があるのも分かる。


 それでも……あれを持って決闘に望めば、前衛も後衛も意味が無い。


 構えで切っ先を向けたら準備は完了、それでほぼ勝負は決している。


 始めの合図と共に発射すれば、相手は避ける間も無く負ける。


 当たりどころが悪ければ今回の魔物のように死ぬだろう。


 更に驚くべきは……それを開発したのがエリック君だろうということ。


 ここまで強力な武器を開発出来てしまうということ。


 これが一部だとしたら?


 もっと強力な武器が作れてしまうのだとしたら?


 もし、想像力豊かな腐った連中にコレを見つけられてしまったら。


 ……いや、誰でもかもしれない。


 ミスリルこそ使うものの、これは革新的(あっとうてき)な武器だ。


 量産し、壮大な軍事力を国が保持してしまえば、一般人でも気に入らない()()を倒してしまおうとどこかで考えてしまうに違いない。


 そしてそれは大衆の意志となる。


 つまり……




―――――――――――――――――――


 


 銃はこの世代の戦争の火種となりうる。











 思えば銃に関しての機構の理解は、トリガーを弾けばハンマーが降りて銃弾の後ろを叩く、といった感じでしか理解してないのによく出来たものだなぁ。


 ……魔法バンザイ!

ギミックを駆け足で説明する話となってしまいました。


本当はこれらをゆっくりと説明するつもりだったんですが、いや仕方なし。


しかし、こう考えると全くもって劇薬ですね、技術知識ってのは。


なまじ魔法が発達しているのでもし知られた場合、火縄銃等の時代はすっ飛されてしまうのですから。


この世界で銃を開発できなかった理由を歴史的に述べれば、遠距離では魔法そのものでの攻撃が当たり前であり、例外としても弓程度で、魔法を使って何か物を飛ばすという発想を思い浮かばなかったため。


もしそんなアイディアが浮かんだとしても、飛ばすための魔法を別に使ったほうが強いと判断されてしまうため。


それではまた次話で。




その世代で勝った国は繁栄し、周りの世界が衰退する。


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