日常の朝 木漏れ日を乗せて
太陽が光を造り、空を照らして雲が影を創りだすも、その姿はまだ見ぬ者多し。
幼き魔法使いはゆっくりと、その身をベットから起き上がらせる。
寝ぼけ眼をこすり、上を向いて欠伸をした際に、艶がある黒髪は肩を越えるほどに流れた。
彫りが浅く、まだまだ幼さが残る顔立ちに綺麗に合う。
頼りなく細く幼い足元はフラフラしながらも、外に出て太陽の光を浴び。
身体が目覚めていく瞬間、その身にピリッとした感覚が走る。
と一泊置き、徐に口を開けば−−
空中に水球が出現し、表面が震えるものの、けっして形を崩さず降りてくる。
それを口に含み、飲み込めば眠気がなくなったかのように開かれた目。
薄く透明感のある空がその目に二重に濃く映るように。
ふぅ、と息ひとつ。
先程よりもしっかりとした足運びで、森の中へと向かっていく。
徐に立ち止まれば、この世界、誰もが見慣れぬもの、木槽風呂がそこにあり。
一泊置いて詠唱を始めれば。
まるで日常のように、とても自然に水を張る。
手を付けるが、水は温く。
少々落胆するも、幼き魔法使いは火属性魔法を使い、温水を適温な湯に変えていく。
沐浴露店風呂を堪能すれば、またも詠唱を始める。
幾つもの綺麗な水球を空中に打ち上げては、輪を作り。
ゆっくり回転させながら八分音符を型作っては、一つ一つが役割を持つように。
軽快に腕を振り始めれば。
揺れる、跳ねる。
時には一つ、時にはたくさん。
震える、飛ぶ。
時には遅く、時には速く。
舞い、躍る。
そう、それは水の妖精達が舞踊するように。
一度、見るものが居るのなら、その神秘に立ち尽くそう。
そしてこれを奏でる幼き魔法使いは、こう思いながら腕を振るい続ける。
ファンタジーな世界である、と。
最後だろう、大きく振るい、全てが跳ねて、地面に落ちれば、満足したように風呂を出る。
水を抜き、魔法で身体と髪を乾かし、服を着て、靴を履けば、学園のある方向に身体を向ける。
そして幼き黒髪の魔法使いは、日本語で朝をこう締めくくるのだ。
「今日も今日とてがんばりますか」
皆さんわかっておられると思いますが、登場人物は男性一人ですよ。
今回は簡単にいえば、文体を変えた息抜き回。
少しはエリックくんの身体的特徴を書こうかな? とか。
思いつきで書いて、まだ上手くいったほうかな? とか。
書いてて楽しかったからまた挟んでみようかな? とか。
思ったり思わなかったり。
あ、黒は別に忌ある色とかではないのであしからず。
その辺はおいおいで。
それではまた次話で。
アイスコーヒーで頭が痛い。