魔法、魔力の勉強法?
サブタイトルも難しい。
基本と応用
物事の『基本』というのは、土台部分であり、その土台を固めていき、初めて応用に手を出せる。
建築物などで例えると、地中に埋めた基礎部分だろうか。
『応用』は上に書いた通り、基本の上に積み上げていくものであり、これまた建築物で例えるなら外からの見た目部分に当たるだろう。
なら、建築物の間取り等の中身は何なのだろうか。
私は経験と考えている。
「親父!おれにまほうをおしえて!」
「……んー、そうだな。魔力の使い方なら教えてあげよう」
「それって同じだよね?」
「うん、ちょっと違うけど同じようなものだね」
……いや、仕方ないんだけどさ。
分からないふりをするってすっごくもどかしいわ!
私としては、このエリックの両親が転生者であるということを、知らないままでいて欲しい。
特に理由はないし、本当の息子として生まれてくる魂を押しのけて生まれた事に罪悪感を感じない、と言ったら嘘になるけれど何をすることもできないし、面倒事なんて極力避けたい。
良い意味でズレていて、悪い意味で間違っている両親のことだから無いとは思うけど、この事を気味悪がり、放り出される可能性だってある。
今はまだ三歳児。
体は満足に動かせないし、食事だって言葉だってまだまだだし、病気に対する免疫だってきっと出来ていないに違いない。
つまりは、外部からの力添えがないと生きていけない状態なのだから。
言葉で思い出したけど、まだこっちの言語は私にとっては英語などと同じで、わからないことが多々あり、自分の中の公用語は日本語だったりする。
……独り言は寂しい。
ま、閑話休題。
子供は、どこの世界でも好奇心旺盛のはず。
それでも、三歳児が日常生活にある魔法や魔力に対して興味を抱くことはあるかもしれないけど、学び始めるというのはそうそう無い。
だけどそこはそれ、私はこの世界では丁寧語で挨拶できる大人びた三歳児。
まして少しズレている両親が、魔法に対する興味を殺す訳も無く。
「それじゃ、始めよう。両手出してみ」
「はーい」
……演技だとしてもやっぱり恥ずかしいです。
そんな内面を知ってか知らずか、父親は手をしっかりと掴んできた。
「いいかい、今から魔力をエリックに流すよ。だから、それを外に出すように頑張ってみるんだ」
「わかったー」
「それじゃ……いくよ」
少し力が入り、ちょっと緊張してきて――――酷い寒気が来た。
手から異物が巡り入り込んでいく、悪寒。
身体が何かに侵されていくような、そんないやな感覚。
私がエリックでなくなるような――――いやだ!
その瞬間、バチンとゴムが弾けたような鈍い音が鳴り、軽い空気の振動を感じる。
そして私の手を掴んでいた父親は……よほど痛かったのだろうか、手を振りながら数歩後ろによろけている。
だけど視線は私に向けられていた。
……手から来ているのであろう激痛と、驚愕という感情に顔を歪めながら。
「う……ん、魔力に関して上手に出来てるね」
いやいや、そんな顔で言われても、説得力なんて全くないですからね!?
「……うん、父さんちょっとこれから用事があるからまた後でな?」
そう言った父は、脱兎のごとく、それでも丁寧にこの部屋から逃げた。
うん、『逃げ』られた。
……少し、纏めてみよう。
魔力の操作を教えてもらおうと思ったら、逃げられたでござる。
端的に言えばこれが一番的確で正しいかもしれない。
逃げた理由は全くわからない。
無理やり推測するなら、私の魔力は普通ではなかったといったことぐらいだろうか。
ただただ魔力量が多いのか、それとも魔力の密度とかが濃いのかそういう細かい事はわからない。
……それでもあんなリアクションをしたのだ。
何かが三歳の平均値とか、そういうものからはかけ離れているのではないかと思う。
でも、量だって密度だって自分しか基準がないわけで。
つまりは調べようもない。
……。
うん、ここは大人しくこの世界の親父さんの反応を待つとしましょう。
……どんだけ調べられても転生には気付くわけが無いとは思うけど、やっぱり不安になるなわぁ。
主人公の特別は基本、あの世界での妄想とこの異世界に転生したことです。
もちろん知識もですが。
基本の上には応用もありますけどね?
投稿時間は何時にしたらいいんでしょうか。
とりあえずまた19時にしておきました。
投稿は一週間に一回出来れば良いほうだと思います。
それでは次話で