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神様の好奇心は人をも殺す  作者: all
靴下を履けない本編
39/59

出すぎた杭というのは打たれた後の姿である

祝・300pt



戦闘方法(スタイル)


 戦い方。


 それは人、後に創始者と呼ばれる者により我流として創造され、人に渡って変化し、その時代・環境に適応しながら精製されていく。


 体さばきから、呼吸法、重心移動や弟子相手の育成法。


 武器や防具の種類から、攻撃・防御・回避への割合の置き方。


 時にチーム戦としてのフォーメーションの作られ方などエトセトラ、etc。


 さらに、この世界には魔法というファクターも追加されている。


 それこそ千差万別、数え上げれない、キリがない。




 私は、理想を掲げている。


 人によって殺されない、老衰するまで生き延びる事を戦い方(スタイル)とすることを。


 時に相手の攻撃を完全防御し、時には逃げに徹し、どんな事象(アクシデント)が起こっても死なず、生き残り立ち続ける、そんな戦い方(スタイル)を理想に。









 ただただ綺麗に勝とう、なんて思っていない。


 だけど、勝ち方に美学は必要だと思っている。


 


 例えば倒れているものに攻撃をしない、という美学を持っていたとしよう。


 全力の相手、対等な条件で戦いたい。


 どこか騎士道精神に触れるような美学。


 この場合なら相手が何かのアクシデントで体制を崩し、座り込み・倒れこんだ時に追い打ちが出来ない。


 必然的に手を抜いているといえるかもしれない。


 だが、その美学を持っているために、追い打ちの訓練に掛ける時間を他の部分に割けるというものである。




 私の決闘での美学(戦い方)は今朝方、決めた。


 相手の近接攻撃は受け止めないこと、だ。


 効果魔法防御では、物理攻撃に多少効果があれど相性が悪い。


 かと言って、地属性の具現化魔法での防御は一撃防ぐのには割にあってない。


 なら、その防御は最初から必要ない。


 相手の初動から、その先の全ての動きを見通すようにイメージし、避けて、逃げる。


 相手から出る一挙手一投足の情報から目をそらさない。


 徐々に相手の型を見抜き、記憶し、私の体力が尽きる前にパターンを見つけ、魔法によるカウンターを打ち込む。


 あわよくば一撃、それでなくても相手の体勢を崩せるところまでの攻撃を。


 使う魔法は的確に、詠唱は冷静に、回避は直感的に。


 ここにまた、私の常識が作られる。




―――――――――――――――――――




『実力者のエリック・シルフィールド、今回は何とか前衛相手に勝利を収めました! 毎回ギリギリの戦闘は見るものを唸らせてくれますね!』


『反撃重視の魔法攻撃後衛型、この戦い方は今出来る精一杯だろうね。

 ……あの日負けてから一晩でこの戦い方を見つけ出して、結果的に成功しているし、飛び級した理由には十分だと思うな』


『エリック選手に賭ける人は殆どいないですね。

 通算、四勝二敗。実力者としての戦績としてはやはり?』


『駄目でしょ。だからこそ、飛び級だけなら私は納得してる。

 彼女、アイーナ相手には二度勝利を収めてるし。

 だけど……実力者にするのはやり過ぎというか、飛び過ぎというか、この学校に来ている意味あるのかと言いたくなる』


『お決まりの批評が飛び出しだしました! ……お開きにいたしましょう。実況者ことシリィ・アストレアと』


『批評者、カナリア・ベーンストーンでした。終わり』




 ……カナリアさん、すっごく同意します。


 飛び級で高校入学と同時に卒業してるなんてねぇ、そりゃ〜酷い視線が集まるわけだよ。


 うん、キャロラインさんたちが普通に受け入れていたことがおかしいんだね。


 さらに、前衛相手の戦い方を知らない子供に『実力者』という名の称号を与えるなんて。


 もはや称号の名の意味が無に等しい。


 実力者ってどういう意味だっけ? になるよ。


 だけど、恨みつらみは私に向けずに、独断でこんなことをしたユアン先生に向けてほしいです。


 こちとら事後承諾だよ!




 ……ちょっとまって。




 事後承諾ですらないよ!


 だって私承諾したというか、伝言のこと聞いた後にユアンさんに合った覚え無い。


 一応サバイバルの次の日お見舞いしただけで、そんな話は聞かされてない。




 ……もう、この事に関して考えるのよそう。


 頭痛くなるだけだ。




「なかなか様になってきてるな、エリック君よ」


 今回はクランさんが先頭で、手を挙げながらこっちに近づいてきてくれる御一行。


「うんうん、回避主体の戦闘方法は力が無いエリック君にはぴったりだったね」


「ありがとうございます。身体の小ささも効いてると思います。全部下段からの攻撃に近いですから」


 人というのは頭と胴に両方同時に攻撃が来た場合、頭に対する攻撃を避けようとする。


 それだけ頭など、わかりやすい急所に攻撃されることを、人間は無意識レベルで嫌う。


 だから、急所に当てられないように回避、防御しようと訓練する。


 足元からの低空攻撃は訓練しにくい、というか疎かにしやすい……はず。


「体躯の不利を有利に変える。回避主体の戦い方もその体躯ならではだな」


「身体は子供、頭脳は大人ですね〜」


 おおぅ、その有名台詞をここで普通に聞くことになるとは、おねーさんびっくりだ。


「で、今日もやるか?」


「ええ、よろしくお願いします」


 一応、決闘で前衛相手の戦績は二勝二敗。


 でもクランさん相手の場合、一勝十二敗である。


「昨日最後にいいの貰ったからな。名誉挽回、させてもらうぜ?」


「うわ、クランがそんな難しい言葉を知ってるなんて!」


「雲の流れが速いな。雨にならなきゃいいんだが」


「使い方間違っていないです〜」


「……お前ら」


 弄られるキャラのクランさん。


 この立ち位置はもう変わらないのだろう。












 よく考えたら、伝言聞き逃してすぐに抗議にいかなかった私にも、多少非があるのか?


 どうせ状況変わらないだろうし……考えないだけじゃなくて思い出さないようにしよう、うん。

タイトルは、打たれなければ、長く強くそびえ立つことは出来ない事のたとえ。


だってこけちゃいますもん。


もう少し語呂が良く出来ればよかったんですがね。


負けて反省し、だからこそ伸びる。


人ってそういうものです。


完全に埋まってしまっても伸びる可能性はあるわけですよ。


最上部が地下に押し込まれるわけではないのだから。


……ただし、超王道主人公などは自重で自らを埋めて、自らを支るのでしょう。


後、少々遅れて申し訳なかったです。


それではまた次話で。



上文、偉っそうな事書いてますが、何度杭が折れたかわからない人生送ってます。はい。

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