閑話2 戦闘訓練終了後の姫と騎士の雑談
むぅ……身体が軽い。
エリック君が治癒魔法を掛けてくれたのだろう。
本当、物の見事に活躍してくれちゃったなぁ。
地属性魔法二つだけで、先生迎撃と拘束をこなすなんて。
うん、あとはお姉さんに任せなさい。
すぐそばで石で拘束されてるブーニング先生。
……まずクラリィ達を助けるよりは、先生を確実に撤退に追い込むことが正解かな。
「ブーニング先生、撤退してくれます?」
「キャロラインか。……まぁ、流石にな」
拘束物が石の布団みたい、洒落てるなぁエリック君。
と思ったら、いつのまにか石退けて抜けてる……。
「相変わらず衰えていないようで」
「まだまだ歳には負けたくないからな」
「歳下には負けてもらっても結構なんですが?」
「今の俺の立場は先生だ。十代そこらの生徒相手にそうやすやすとは負けることは出来ん」
八歳の子供に仰向けにさせられてましたけどね。
「……キャロライン」
「はい?」
「エリック・シルフィールドの事、どう思う」
「どう思うって……八歳とは思えないですよ。身体能力等は歳相応、だけど魔法に対する技術、知識、理解力はかなり高いです。特に四原則の初級魔法の魔力効率なんて凄いものですよ」
魔力制御が上手なんだよねぇエリック君。
森林伐採、加工の流れを休憩なしなんてそうそう出来る事じゃない。
魔力量もそうだけど、一つ一つの魔法の魔力効率がとても良い。
治癒魔法も気負いなく使ってたし。
これは秘密にして欲しいと言われたから言えないけど。
「ま、そりゃ奴が連れて来て、ほぼ例のない飛び級までさせたんだ。普通じゃないだろうよ」
「ええ、他にも話によれば三歳の時に基本語学を二十日で読めるようになったとか……」
「……そうか」
これを聞いた時、さすがに嘘だと思った。
三歳の幼児が文字に興味を持ち、学ぼうと思ったその姿勢なんて考えられない。
さらに、読みだけでも二十日で『理解』するなんて。
「そりゃ、子供っぽくは無いな」
「そうなんです、子供っぽくないんですよ。だって八歳ぐらいなら、自分の力を自慢したい年頃のはずですよね」
「確かにそうだ」
「なのに、自分の力を隠したいなんて言うんですよ。どんな理由があると思います?」
「……まぁ詮索するべきじゃあないな。秘密したいって言うならしっかり守ってやんな」
「わかってますよ」
……いい年になっても、自分の力じゃなく権力を自慢し振りかざす馬鹿も居るのになぁ。
エリック君を見習え〜。
「あ、でもまるっきり子供っぽくないわけでもなくてですね」
「む?」
「行動は子供そのものなんですよ。興味のあることに突っ込んで、疑問を持ち、解決しようとする。とても好奇心が旺盛なんです。ただ、その解決方法と能力が子供に見合ってない感じというか」
「……なるほどな」
行動は子供、能力は大人、未来の道は数多なり、ってね。
「あ、その口調はちゃんとした場では引っ込めてくださいね? 私にとって貴方はまだ騎士団長なんですから」
「なら……ご教授してやろう。意識をもっと割くべきだ。新しいチームの一員、エリック君にな」
「反省してますっ」
一日遅れた理由は予約ミスでございます、すいません。
さて、今回別視点のみです。
今回の活躍、エリックくんはどのように見られたのか。
難しい……。
補足的な形で、別視点を使うと結構書きやすいですが、メインとなると、とたんに難しくなってしまいます。
さて物語は一段落。
次は学校生活のぼのぼの編……だと思います。
少なくとも今の私はそのつもりです。
それではまた次話で。