チームの一員としての行動とは
タイトル洒落たの思いつかなかったよ。
魔法の出現場所
ファンタジーなどによくあるファイヤーボールなどの魔法は、何故自分に近い所から発射するのだろう。
この疑問について、この世界の答えを要約すれば。
・魔法は自分に近ければ近いほど、魔法を制御しやすく出現させやすい。
・相手に近ければ近いほど、魔法を阻害されやすい。
・これは体内魔力による魔力制御によって、優劣が現れる。
・また、空間にある個人魔力の濃さによっても左右される。
ということだった。
つまり、自分の魔力を放出し、一定空間内に留めておくことで、自分に有利な空間を意識的に作ることが可能であるということ。
そして、極端に魔力の制御力に差があれば、相手の目の前に魔法を出現させる事が可であるということ。
「落ちているランタンに気づかなかった」
恐慌状態による視野狭窄に陥っていたとしか思えないね〜。
クランさんの持ち物だし……とりあえず、石棺桶の上においておこう。
穴から光は殆ど入ってきていないから、ランタンがなかったら真っ暗闇だったかもしれない。
うん、どうやって脱出しよう。
ぱっと思いつく脱出方法は二つ。
石を積み上げて人口階段を作るか、重力魔法を使ってジャンプで脱出するか。
……ん? あれ、拠点に掛けた硬質化魔法が切れてる。
穴に落ちて、魔力の供給途切れさせちゃったっぽい。
仕方ない、もう一度掛けて……おく必要あるかな?
うん? 私はなんで、拠点に硬質化魔法を掛けたっけ?
……。
ブーニング先生の襲撃から拠点を自分を守るためだよ!
本当ならチームの一員として、先生の迎撃に加わらなきゃいけないけど。
行かなきゃ……いけないけど。
やっぱり怖い。
あの恐怖を漠然と思い出すだけで、足が竦むほどの警戒を抱いてしまっているから。
あの恐怖から湧き出るあの重圧に、立ち向かうことが出来ないと断言できてしまうから。
あの恐怖に、『慣れて』いないから。
先生を見たらそれだけで、私はまた逃げ出してしまう。
――なら……地下から攻撃すればいいじゃない。
相手が見えない、相手も予想もしない所から。
正々堂々なんてゴミ箱に捨てて。
あの恐怖に攫われないように。
「その光 世界に散らばるその身の力――」
―――――――――――――――――――――
「終わりか」
唯一の前衛、クランが倒されてから、チームが崩壊するのはすぐだった。
今までも、この状態の先生と何度か立ち会って、なんとか退けてきたけれど、まだまだ設定で加減されていた事が痛いほどわかった。
それでも、こうなる予兆はあった。
それでも、こうなる予想は出来るはずだった。
エリック君という実力者がチームに入ったという理由から、設定が緩くなるというのは、昨日の襲撃で分かったはず。
判断できていたのに……分かっていたのに対処しなかった。
「彼にもう少し、気を使ってあげるべきだったな? キャロライン」
そう、エリック君を含めて全員で対処するべき相手に、その重圧に突き動かされ、いつもの通りの戦術で、いつも通りのメンバーで、挑んでしまった私の責任。
一瞬でもあの重圧に呑まれた時点で、最善手であるエリック君と迎撃・戦力にする、次点である撤退も出来ず、ただ失格になるのを待つだけの未来になってしまった。
エリック君に、もう少し意識を向けていたら……と何度思ってもこの状況は覆らない。
「では、まず拠点を捜索させてもらおう。どうやら、彼が目標を持っているようだしな」
「ッ……」
このままなら、エリック君が見つかって、目標が破壊されて失格になる。
最善としての未来を想像するなら、エリック君がいつの間にか拠点から逃げ出していること。
日没までそんなに時間はないし、エリック君なら見つからず、逃げ切れるかもしれない。
拠点は破壊されてしまうけども、目標は無事だから失格にはならず撤退となる。
それでも……それでもこの状況からの希望があるとするなら。
撤退にもならず、失格にもならない、そんな最高に我儘な都合の良い未来があるとするなら。
エリック君はどんな風に活躍してくれる……かな。
……。
…………。
…………え。
―――――――――――――――――――――
「――私が望む景色を映し出せ」
光を屈折させて、微調整しながら何度も繰り返し、拠点の入り口から状況を見る。
……その場に居るわけでもないのに、足がすくみ、恐怖に駆られ、逃げ出してしまいそうになる。
それでも無理やり押し留めて、光魔法が途切れないように集中する。
この失格になる状況を、ひっくり返すために。
失格にならないために、勝つために。
そして、勝負はいつも、一瞬にして勝ち負けが決まる。
「気高き強固な地の意思よ その身は円柱となり その身を現世に映し出せ」
出現場所は、拠点に向かって歩いてくる、先生の目の前。
撃ちだされた石円柱は、重力によって地面に落ち、ここにも伝わってくる重厚な音を叩き出す。
「気高き強固な地の意思よ その身は盾に相応しい形となり その身を現世に映し出せ」
そして仰向けに倒れてた所を、長方形の石壁の面で追撃して動きを止める。
……さて、キャロラインさんを治癒魔法で回復させて、先生を捕縛してもらおう。
私は上を見て、そしてドヤ顔なのだろう。
「ふぅ、これで失格にならずに済むかな?」
ちょっと戦闘描写勉強してくる。
ということで大半書けたいたはずなのに、戦闘描写にかな~り苦しめられた作者でございます。
いろんな小説よんでみたものの、どうも活かすことができなくてこんな微妙な展開に。
なるべくボロが出過ぎないように短くしたいのに……。
何か良い小説紹介してくださいな。
それではまた次話で。
ドヤ顔っていいですよね。