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神様の好奇心は人をも殺す  作者: all
靴下を履けない本編
31/59

恐怖に対する鬱憤はどこに?

やっと出来た。

現実逃避

 

 現実で何か行動しなければいけない物事・状況から、意図的に意識を逸らすための行動、または逸らそうとする心理状態。


 未来への不安や、解決困難な状況から逃げようとする心の機能。


 ただ単に、今起きていることをから目を背け、空想に佇むのも逃避であると私は思う。


 これが重度になると、他社への攻撃、自傷行動が見られることがある。


 大きく分類するなら、不必要行動逃避、空想への逃避、自傷行動への逃避くらいだろうか。


 私の場合、現状より悪い状況を空想・想定し、そうなっていないことで現状に満足(無理やり納得)する事が多い。


 これは重度の現実逃避の一つではないか、と私は考えている。











「おっとぉ!?」


 嫌な(落下)浮遊感から一転、抱きとめられる感覚がした。


 目を開けると、そこにはズームアップされたユアンさんの顔。


 よほど驚いているのか、私と同じようにユアン先生(襲撃者)もフリーズしている。


 状況を鑑みるに……背中の痛みから助けてくれた方法が、俗にいうお姫様抱っこであった、ということだろうか。


 見た目は男の子、心は女性という世にも不思議な人生だからか、感謝の気持ちが湧いてこない。


 状況だけ見れば腐女子達が騒ぎそうで。


 その本質は、女の子にとってちょっとだけロマンティック。


 私だって夢見る乙女のように、このシチュエーションに憧れていた事もあったのに……。


 だけど、今回の相手は見た目四十代後半の、なんの特徴もないおっさん(先生)


 さらに、前世の一生の中ではこんな事は起こらず、今世で男に生まれたのが原因なのか……喜ぶ気持ちも全く湧いてこない。


 


 うん、私は男として生まれたのだから、受け止める側としてこのシチュエーションに期待するとしよう。


 


 ……現実逃避終了。


 助けてくれたのだから、感謝はあってしかるべきなんだけど、本能が完全拒否してしまっている。


 さてこの状況、どうやって打破しよう。


 先生は、私が落ちてくることは予想外過ぎたのか、まだ固まっている。


 いや、誰もこんなことを予想できるとは思えないけども。


 先生がここ(拠点の地下)にいる、ということは奇襲のため。


 ブーニング先生と戦っている最中に、気付かれないように拠点制圧するため。


 理由はわかるけど、腑に落ちないこともある。


 戦力的にブーニング先生だけで手一杯の状況、こんな面倒(穴を掘るよう)なことしなくても、側面から中遠距離攻撃してしまえば、こっちとしては拠点放棄して撤退するしかない。


 きっとキャロラインさんだって、撤退という選択を迷わず行うはず。


 だけど、それ(攻撃)を選ばなかった理由なんて、今考える必要はない。


 今やるべきことは……。


「清き澄んだ水の意思よ」


「へ?」


 目の前の敵を倒すことだけっ!


 「面前の敵を撃てっ!」




 超至近距離からの、水の砲弾(かたまり)


 狙うは顔。


 角度が下からなので、鼻という呼吸器官に入っていくおまけ付き。


「んぶっ!?」


 まぁそんな事が起こったら、私は空中に放り出されるのは当たり前。


 それでも、しっかりと足から着地して、エネルギーを散らす。


()!」


 ……痛いのは仕方なし。


 痛いのも、反動で尻もちついたことも、気にしていられない。


 今、ユアンさんは咳き込んで、水で目を潰されている状態だから。




 追撃する絶好のチャンス!



 

 魔力を流し、ミスリルを変形させて、一部分だけ切り取とる。


 金属バットをイメージしながら魔力を流して――


 一瞬にして見た目重厚の、子供でも振り回せる金属バットの出来上がり。


 後はこれ(ミスリル)を見られる前に、バットをお腹に叩きこむッ!










 ……。


 軽い恐慌状態に陥っていたんだと思う。


 まるで、新兵が銃剣先で殺し、もう死している相手を何度も何度も刺突するように。


 




 バットで人を殴るって発想が出てくるってどういうこと!?




 しかもその発想に疑問を持たず、すぐさま実行。


 結果、重さ(エネルギー)はそれほどでもなかったのに、ミスリルが硬すぎたのか、ユアン先生は気絶。


 横に回転し、後ろにうつ伏せに倒れた後のユアン先生の顔は、いろいろと残念なコトになっていた。


 いろんな液体と土が混ざり合って……いや、ユアン先生の名誉のために濁しておこう。




 ふぅ、少し落ち着こう。


 この分じゃ、殴ったところは内臓までダメージが入っているかもしれない。


 治癒魔法を掛けるのはいいんだけど、襲撃者(てき)の動きを封じるのが先にだろうか。


 ……ふむ。


 「気高き強固な地の意思よ その身を現世に映し出せ」


 小さなU字型の石を作り出す。


 うつ伏せになっているユアンさんの両手両足にしっかり嵌めて、抜けないようにしっかりと固定する。




 ……視覚も潰しておこうかな。




 「気高き強固な地の意思よ その身は盾に相応しい形となり その身を現世に映し出せ」


 太さ二センチほどの背の低い石壁を、ユアン先生を囲むように突出させる。


 もう一枚作って蓋をしたら……ん?


 可能性は低いけど、ユアン先生が光魔法を使える可能性が残る。


 いや、仮にもこの学園の先生だし、石壁ぐらい魔法で簡単に壊せるに違いない。




 ……うん、詠唱できないように口も塞いでおこう。




 ユアン先生が着ているローブみたいなものを引き千切って、猿轡みたいにしておく。


 後は、空中から石壁を作り出して蓋をすれば。



 

 ……よし完了。


 見た目棺桶で、いろいろとやりすぎな感じがしないでもないけど、これでも目標(ターゲット)を預っている身だし、用心に越したことはない。


 だけど本音は、


「暫くそこで、私が感じた恐怖を少しでも体験してくださいね?」


 だったりする。


 身体が動かせない不自由感と、見えないという不安感は、ユアン先生に十分に恐怖をもたらしてくれるだろう。


 ブーニング先生の歩兵(恐怖)の進撃。


 あれさえ体験しなければ、棺桶は作らなかったかもしれない。


 だから、あれを体験する原因となったユアンさんが来てくれたのは、私にとって僥倖だったのかもしれない。


 訓練という名目で、気兼ねなくやれたしね。


 もしユアン先生が無詠唱を使えて、口封じの布を切ることが出来るなら脱出されるだろうけど、まぁそれは仕方ない。


 こう考えると、無詠唱って結構価値高いなぁ。









 ……あ、先生に治癒魔法掛けるの忘れてた。

なんとか書けました。


今回も小説の書き方がわからなくなる病に、かかってしまいました。


対処方法は、自分が書いた小説を読みなおすことぐらいで、四苦八苦しております。


コンセプトは魔法使いは不意打ちに弱い。


それを体現させようとした話だったんですが……上手くできているのやら。


それではまた次話で。




棺桶を作り出すときの、第二小節目の詠唱が気に入らなかったりします。


センスある人、中二病な貴方、黒歴史を持つそこの御仁、閃いたなら感想でご一報をよろしくです。


2012/04/20

したたかに修正。

少しは読みやすくなったかも?

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