表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の好奇心は人をも殺す  作者: all
靴下を履けない本編
21/59

建築風景

あんまり使わなかった()を多めに使ってみました。



一番大切なもの


と聞かれて、人は何を思いかべるだろうか。


お金と答えた人には、「じゃあもうお金は使えないね」と論破してやろうと思う。


思い出の品物や家族、友人、恋人と答えた人には「それはとても素敵なことだね」と、言ってあげようと思う。


賛同はしない。


少し捻ったら、自分の会社、権力などと答える人もいるだろう。


その人達には私から何も言うことはない。


バカ真面目に平和な時間、バカ真面目に平和な世界が大切だ、なんて本気で答える人もいるかもしれない。


私としては、その人達にはそれは『もの』ではなく『理想』であると言いたい。




私の答えは『自分自身』だ。


……私がまだ、結構な中二病に近いものを患わっていることは確かなのだろう。


結構悪役に感情輸入、賛同することが多かったりする。


もう主人公は人間じゃなくて善意ロボット?と思うくらいに。


だけど、『一番』大切なのは、やはり自分自身だと私は考える。


友人、家族等はその後だ。


理由として、自分自身が生きていなければ(死んでしまったら)大切だと『思えない』からだ。




追記


死を体験したからか、この傾向が結構強くなったかもしれない。


やはり、現実世界でも、異世界でも、『一番』大切なのは自分自身だ。












「この木もいいかな。エリック君たのむよ」


「分かりました。 優しき聡明な風の意思よ 刃をなりて敵を斬れ」


()を倒れさせる方向に少し(えぐ)るように切れ目を入れる。


「気高き強固な地の意思よ 我が手を糧に我が手を守れ 我が手を糧に我が手を強固に ロックハンド」


ドンっと木が痛まない良い力加減で殴られ、狙った方向にギギギと嫌な音を立てながら倒れていく。


クラリィさんの口調や行動からは考えにくい大胆な方法である。


余談だけど、地属性魔法が得意なのだとか。


倒した後は風魔法で回転させながら、建設予定地まで移動させていく。


木が回転して、枝がパキパキ音を鳴らしながら折れていく様はなんか面白い。


これで十一本目だ。






この世界の『命の軽さ』に関しては、これ以上あんまり考えないようにした。


ある種の現実逃避なのかもしれない。


私の出した結論通りに、この世界の命はアースより軽いかもしれない。


けれども、大半の人が生きていたいと思うのはこの世界でも同じだろうから。


私はそれでいいと思った。


だから、私が勝手に決め付けることでもなく、押し付けることでもないと思う。




……私が生きてきた世界と、この異世界での生命の重さについて『比較』することは、両方の世界の命に対して冒涜以外の何物でもない、と思ったのも大きな一因だと思う。






「さて、材料も十分に集まったことだし始めましょうか」


家を作る材料って二十本程度で足りるものなのかな?


時間的にはまだお昼にはなっていないぐらいだと思う。


キャロラインさん達も私達と同じように十本程伐ったらしい。


このあたりは流石と言うかチームワークが出来ている。


……元々決めていただけかもしれないけど。


ま、まぁ両チーム時間的に同じぐらいだったんだし、意思疎通が出来ているということは覆すつもりはない。


チームといえば、クランさんがまだ帰ってきていない。


けども、全員心配している素振りは全くない。


それだけ信頼しあっているのだろう。


いや、そうだとしても単独行動はサバイバルとして、場所が(魔物)陣地(ホーム)としてもどうなのだろう……。


チームに加わって、くっついているだけの私が口出しする事じゃないとは思うけども。




家を作るための役割分担として、割り当てられたのが、木を自然の風で折れない程度に薄く、横長く切ることだった。


つまりは、木を細長い板に加工しろと言われた訳である。


壁や屋根の材料として利用するために沢山必要で、魔力効率の良い私がこの作業に抜擢されましたとさ。


木を伐る時も使った魔法で、今度は刃を薄く強くして真っ直ぐに切れるように一直線に撃つ。


……撃ち出す方向に人がいないのを確認しながら。


一枚一枚、板がひび割れしないように丁寧に。


あと、得意魔法が風魔法であるキャロラインさんもこの作業だったりする。


最も、私と違い他の作業もしながらの、いうなれば兼業みたいな感じだ。


その別の兼業の一つに、木材の簡易的な乾燥を風魔術を用いて行なっている。


「エリック君上手だね~」


と私を子供扱いして(実際子供だけども)、煽てるのも忘れない。




……忘れないのだけども、その行動は、その魔法は、私を落ち込ませるのに十分な威力があった。


このチームは最初の数回を除き、毎回サバイバルにおいて家を建てていたらしい。


つまり何が言いたいかというと、キャロラインさんのほうが慣れている。


……すっごい慣れている。


風の刃を四枚五枚と一気に出して、木の板がひび割れしないようにコントロールするその技術にである。


私とは違い、ほぼ一回の魔法で一本の木を一気に薄い板に変えてしまうので、私との効率比がものすごいことになっているのだ。


魔力、魔法のコントロール技術にはアンナさん(エリック専属メイド)に、(多分)お世辞なしの賞賛を受けていただけに、その落ち込み度は結構なものだった。







練習して、二枚までならひび割れしないようにコントロールできるようにしたけどね!


私は結構負けず嫌いなのだ。






いつの間にかクランさんも帰ってきて、休憩も無しに建築に駆り出されてました。




―――――――――――――――――――――――――――――


太陽が傾き始め、ほんのり黄金色になってきた時間




という訳で、台風でも来れば壊れてしまいそうな木造の家が完成しました。


というのも台風が来なければ壊れそうにない、という意味でして。


それなりにしっかりしていて、歪んでいるところもなく、壁は風も通さず、さすがに床などは貼られていないものの、足が無い四角い椅子、それを広く薄くしたような長方形のベッド等が作られてあった。


とはいえ外見は本当にシンプルで、長方形で細長く、屋根が二枚しか無い木造建築物。……それ以外に言葉に出来ないッ!


壁や屋根を作っていたのは女性陣三人が主だったりする。……もう一度言うけれど、すっごい慣れていた。


支柱はしっかりと奥深くまで埋めて、アースで言う基礎工事の代わりになっているのだと思う。


本当に、壁や屋根のかみ合わせとかどうやっているんだろう。


中にある椅子やベットなどの細かいのはクランさんの力作らしい。


その大きな見かけによらず、そういう小道具やアクセントを作るのは結構得意らしい。


ベッドは少し木が『たわむ』ように作られていて、地べたよりよほど心地が良い。


家の真ん中は少し窪んでおり、そこが火を灯す部分。


今はコレ()を作った廃材が火の燃料になっている。


屋根にはちゃんと煙を通す穴、というか二つの通しがある。


もちろん、雨が降っても滅多なことでは入らないように工夫がしてあり、これもクランさん作である。


火を家の中で焚くことにより、熱が循環して温かい。


太陽のない夜は結構寒いのだ。(前日の野宿で結構思い知った)


入り口に扉がないのと、屋根にある通しのために、多少熱が逃げちゃうけども、入り口は二酸化炭素中毒の危険性があるために閉めるわけにもいかない。


……二酸化炭素がこの世界にあって、それが知られているのか分からないけども。


けど、これならサバイバルで毎回家をつくろう、と思うのも仕方ないかもしれない。


ちなみに、火事になったことはまだ一度もないとか。




余談だけど、私がチームに加わったために少し大きめに作ったとかで、途中で材料の木材が足らなくなったんだとか。


当たり前のようにクランさんがパシられていた。


残念ながら、やはりそういう立場なのだろう。


木を肩に担いで戻ってきた時は、コ○ンドーの音楽が脳内再生された。


車を崖から落として敵を追っかける時に、兄さんが位置エネルギー車と冗談を言って爆笑した覚えがある。




……というか、サバイバルをしに来て、まったく形をなしてないような気がする。


食料という点(クランさん任せ)でも、拠点という意味(木造建築物)でも。


アースなら食料の部分だけで、頓挫することになると思う。


その点は本当にクランさんに頼っている。


というか、魔法があるにしても魔物を見つけ出して討伐、食料として偏らないようにするためか、木の実をも取ってくる。(フルーティで美味しかった)


前日は結構軽く流していたけど、結構とんでもないことやっているのでは……。











技術が空想の魔法に『便利』という部分で追いつくことはあるのだろうか。


今となっては私は知ることも比較することもできないけどね。


サバイバル二日目ですが話数としては四話目。


話の流れが遅いかな~と思っていますがスピードアップはしないかと思います。


タイトルが建築風景なのに、材料集めが殆どでした。


コマン○ーのネタを入れてみたけど、兄妹で○マンドーを見るというのも……。


では次の話でまた。




残念、テストはまだ終わっていないッ!


かく言う私もこうやって(小説書いて)現実逃避をしていたりする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ