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神様の好奇心は人をも殺す  作者: all
靴下を履けない本編
20/59

向こうのサバイバルとこっちのサバイバル

微妙に重たいお話となっております。


異世界系統の物語には結構重要なファクターだと個人的に思っております。


書き方も微妙に変わってしまったかもです。

あの後、もう一度だけ隊列を抜け出し、体力を回復させて、ようやくキャンプ地に付くことができた。


時間としては、周りの山々に少し太陽が引っかかっているぐらい。


私は時間にルーズな訳でもなく、かと言って厳しい訳じゃないけれども、時間が分からないというのは妙に落ち着かない。


この奇妙な感覚だけは何故か、この世界に生まれ落ちてきた時から引っ掛かりつづけている。


腕時計や携帯電話なんて便利なものがこの世界にある訳がないので、当然の如く分からないまま生きていくのだろうけども。


時計なんて構造が全くわからないから作れないわけで……。


そもそも、この世界がアースと同じ大きさの惑星で同じ速度の自転をしているのか、それすらも今のこの世界の科学力じゃ分からない訳で……。


いや、まぁそんなことは結構閑話休題(どうでもいい)




大事なのは、ぼやぼやしていると夜になって身動きが出来なくなる時間だということ………とキャロラインさん(チームリーダー)が教えてくれた。


後、二百五十人という大所帯は一チーム約十人前後で分かれていて、騎士団の小規模部隊を想定してサバイバルをやるのだとか。


その点で私たち(五人)のチームは周りから見れば異常だったりする。


まぁそういう人達でも、野宿の準備はしなければいけないわけで、


「終わった~」


「終わりました~」


「ふふ、お疲れ様だね……食料係が遅いな」


終わったようです。


……はい、手伝うにもそんな(サバイバル)知識があるわけもなく、下手に動いたら邪魔になりそうなテキパキ感でした。


「食料とってきたぞ~」


「「遅い」」


「まだ日は落ちてねぇよね!」


と、女性陣からブーイングが起きているけども、その手にあるのは狼……みたいな生物が引きずられている。


さらにフルーツのような木の実も取ってきているのも見える。


これだけのことをやって、日の落ちる前に集合場所まで戻ってきているのにもかかわらずブーイング。


クランさんはまぁ……そういう立ち位置の人だと認識しよう、うん。


というか、これは集団行動として認識していいのだろうか。






「さて、これからのことだけど」


とまぁ時間は進み、太陽が完全に沈んでしまい、星の光とポツポツある小さな焚き火以外はほぼ完全な暗闇。


その空間で切り出したのはやっぱりキャロラインさん。


塩も砂糖もつけていない食材の味(こんがりにく)を楽しみながらの事だったりする。




「いつもの通り、家作るよ~」




……咳き込まなかった私を褒めたい。


「了解、いつものだね。この前と全部同じにする?」


「エリック君にも手伝ってもらえるから完成がもっと早くなると思うし、人数も増えるから少しだけ大きくしたらいいと思います~」


「……っ…………っ(食べるのに忙しいらしい)」


その後、全く話の流れについていけず、質問されても頷くか「はい」としか返事ができず、トントン拍子で話が進み、まぁ普通に家を作ることになりましたとさ。










……サバイバルってなんだっけ。




――――――――――――――――――――――――――




どんだけ万能な魔法があろうと、どんなにその実力があろうと、発揮出来なかったらそんなものは意味が無い。


少しでも発揮できない状況を作らせないのが戦場での鉄則。


そういう警戒を怠ったなら、ただ無残にその命が散ることになろう。


人が無防備になる時なんていくらでもある。


その中でも特に時間が長く、絶対に生きていく上に必要で、さらに意識レベルが一番低くなるのが――そう『睡眠』である。


一つの対処としてチームを組み、火の番を決めて、時間が経てば交代して、その者は睡眠をとる。




つまり、そんな重要な役回りは(子供)には回ってこないということだ。




夜だし、魔物の気配を知っている訳でもなく、気づける範囲が広い訳でもなく、体力的にも厳しい上に、パニックを起こして見張り番の邪魔をしたらもう目を当てられない訳で……。


まぁそんな理由からか、睡眠時間的にはいつもと同じ――いや、いつも以上の長さになった。


いくら治癒魔法で肉体的、身体的体力を回復させたとしても、精神的(魔法)部分は疲労している。


だからこそ、脳は『身体』に休息を求める、命令する。


だが、ここはいつものフカフカベットの上ではなく、少し固い地面の上である。(多少緩衝材としての準備がしてあったりする)


必然的に寝返りをうち、少しでも体が楽な姿勢を取ろうとする。


そんな状態で身体が休まるわけもなく、エリックが寝る前よりも身体的に疲れているように感じても仕方ないのかもしれない。











「でも治癒魔法で回復させればいいよね」


魔法バンザイである。


怪我をしたら治癒魔法。


体力が無くなっても治癒魔法。


ふと思った。


……これは冬のコタツとおんなじような力があるかもしれない。











即ち!人類が堕落する!!……かも。






つまり、体力がなくてもこの魔法を使い続ければ、魔力の続く限り体力がある。


『魔力=体力』という図式がたってしまうかもしれない。


つまり体を鍛えずとも、マラソンランナーのような体力を得る事ができるかもしれない。




……最も、身体的能力が高くなければ、魔獣などに襲われたりした時、あっという間に捕まってしまうだろうけれども。


もちろん、マラソンランナーと同じスピードを出せず、付いていくことさえできないだろう。






自分で疑問を持ち、仮定を作り、自分で答えを出す、自問自答の思考。


このループこそがエリックこと()()()の妄想の根っこの部分で、サバイバルという環境でさえも、その妄想は家を作るというための伐採作業に集中しながらも止まることはない。


そして、仮定の部分に限り、人の意見を取り入れたりもする。




「治癒魔法について教えて欲しい?」


この人というのが今回、家の材料となる木を一緒に伐っているクラリィさんなわけだけども。


ちなみにクランさんはまた食料係、キャロラインさんとアリシアさんがチームで同じ事をやっている。


只今材料となる木の厳選中。


これまでに伐採した木は五本ぐらい。


「何を言っているんだ。初級とはいえあれだけ完璧な治癒魔法が扱える上に私は治癒魔法は使えない。このチームで治癒魔法が使えるのは君だけだぞ」


つまり、このチームでは私は後方支援に尽くしたほうがいいということかな。


「いえ、なんというか治癒魔法の立ち位置みたいなものでしょうか。使う場面とか、治癒魔法自体はどのように見られているのかとかそういうことが知りたくて……」


「……君は本当に八歳なのか?歳を五、いや十は誤魔化してないか?」




この質問をクラリィさんにするべきじゃなかったかもしれない……。


「正真正銘八歳ですよ?」


結構ギリギリのね……。


「喋り方からして全く八歳とは思えないけどね。ん、治癒魔法の立ち位置か」


「はい」


「とりあえず、日常生活で一番必要だと言われているのが治癒魔法だね。その観点で見たら、重力魔法以上の価値がある」


「なにせその家族はもう怪我知らず、病気知らずだ。風邪を引いたとしても魔法をかけて一晩寝れば全快するだろう。エリック君が使っている初級魔法でも毒などを微量だが浄化してくれるはずだ。そういう毒系統専用の治癒魔法もあるだろう」


「怪我をしたとしても直ぐに対処する事ができるから、後遺症が残る心配が殆ど無い。腕を切り落とされようが時間をかければ回復してしまう。文字通り『再生』だね。そこまでの治癒魔法はまだお目にかかれてないけれど」


「再生といえばオークとかが代表になるかな。彼らは腕がとれたとしても回復してしまうらしい。驚異的な再生能力だよ」




……この世界が身体を「医療」という意味で研究、発展しない理由がわかったかもしれない。


必要がないんだ。


身体に関して本当にこれだけ万能な魔法があるのだから。


毒を食べたって即死に至らなければ問題ないんだから。


怪我を負ったって応急処置をする必要がないんだから。


骨が折れたってくっつくのを待つ時間がいらないんだから。


上級治癒魔法に至っては肉体再生をするのだから。


DNAとか細胞とかそんなアースで出来た概念を全部ぶち壊して、ただ治す。


筋肉を、骨を、細胞を、もしかしたら血液をも含めて身体を元通りにすることができてしまうのだから。







「ただ、なぜか魔法具とかなり相性が悪くてね。魔法具に使う、魔力を持ったどの鉱石も治癒魔法に全くといっていいほど合わないんだ」


「治癒魔法の魔法陣、刻印はあるにはあるんだけれど、効果が劇的に低いんだ。しかも、どの鉱石もほぼ優劣がない」


「だから治癒魔法が扱える、というのは実はかなりのステータスなんだよ」




向こうとこっちでは命の価値がぜんぜん違う。


命の尊さの価値が天と地の差ほどある。


これまではゲームや小説の中でしか魔法が見れなかった。


だけど今ここは、この世界は私が生きている現実。


治癒魔法があるかないか。


たったそれだけ……いや、それだけじゃないかもしれないけど、ひとつの事象が加わるだけでここまで命に関しての価値観が変わる。


極論してしまえば、どんな怪我をしてもいいということであり、命が軽く見られている。


もちろん、皆が皆そう思っている訳じゃない。


怪我をしたくない人もいるだろう。


怪我に対して、痛みに対してトラウマなどを持つ人もいるだろう。












だけどこの世界で人の命の観点で見たならば、アースより圧倒的に軽い。




「これくらいかな?治癒魔法に関しては、ね」


魅せ方をもう少し上手くできないかなぁと試行錯誤中でございます。


キャラクターに関しても、性格をだけを見れば結構常識人(かも?)な人が多いですね。


ちょっとだけズレている人の構想は二人考えてはいるのですが、逆に言えば二人『しか』いないわけで……。


まぁそういう人が出てくるのはもう少し後になります。


一応差し込んで言いますと後半はクラリィさん一人のセリフだけです。


それではまた次話で。


期限ギリギリでございますね~。


テストはまだまだ続くのですよ。

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