家庭教師と貴族の息子の再会は学校の教師と編入生徒という立ち場で
少し遅れちゃいました。
誤字脱字、改行のし忘れなどの確認作業をしていないので、もしあったらバンバン言っちゃってください。
治癒魔法
肉体に関する魔法。
この世界では上位三原則魔法に分けられている魔法の一つ。
本にはこの魔法で、人間の体が治療できることについて当たり前のように書かれていた。
つまり、どうやって、どういうふうに治療しているのか不明。
この魔法は「自分の体の細胞が活性化するような感じ」にイメージすると成功しやすい。
が、この世界は魔法が万能なため、身体についての研究はアースに比べたら天と地の差があるだろう。
つまり細胞という言葉すらないかもしれない。
イメージは一人ひとり違うが、この世界の住人はどうやってイメージしているのか少し興味がある。
練習は不定期で、私が何らかの傷を負ったときにやる必要があった。
失敗回数は不明。
三歳半の頃に軽い怪我をしたのでそこから思い立ち、上位三原則魔法の本をアンナさんに買ってもらい練習開始。
六歳の半ばぐらいに習得した。
筋肉痛を治すことにも使えた。
が、筋肉痛を治癒魔法で治したためか筋肉の超回復の効果が薄いと思われる。
仮説になってしまうけど、治癒魔法は実際に細胞の活性化をしているわけではないと思われる。
検証は正確な実験結果を得られないと思われるので割合する。
三年前まで私の家庭教師をやっていたユアンさんは扉の前でなんとも形容しがたい顔をしてつったっていた。
……まさか、治癒魔法を見られてた?
うーん、見られても問題ないかな?
いや、どうなんだろう。
この年で治癒魔法が使えるのは一応この学校に特別入学できるぐらいの珍しさだ。
片方だけ条件をクリアしていてもおかしくはない。珍しいだけですむかもしれない。
なら両方の条件をクリアしている場合はどれだけの珍しさになるのだろう。
片方は五歳で出来ているのはユアンさんも知っているけど……。
「……ここは学園だから言葉遣いも崩させてもらうし先生と生徒の立場でエリックくんと呼ばせてもらうけど、治癒魔法を習得したのかい?」
「え……えぇ、ユアンさんが家庭教師をやめた後でも鍛錬は欠かしたことはありませんから」
「いったい、そんなに勉強して何をやりたいんだい?」
「いえ、勉強するのが当たり前だと思っているだけですよ」
「へーぇ、もっと子供らしくしたらいいと思うんだけどな。貴族の子供という立場からくる重圧があるから仕方ないとは思うけど」
スイマセン嘘です。勉強嫌いです。ただ魔法が楽しいだけです。
ゲームみたいに練習したら自分に力が付いていくという事がたのしかったからなんです。
ただ妄想を実現化していただけなんです。
アースでの学校で何に使うかわからないようなものを勉強するより何十倍もマシだったからです。ええ。
やっぱり目に見える変化っていうのは原動力になりやすいよね!
っと、とりあえず、
「えっと、先生がここに来たということはそう考えていいんですよね?」
「ああ、説明があったんだね。そう、僕がエリックくんの担当だ。君が入学するって聞いて担当するクラスに入れてもらったんだ」
「また会えるというのは教師だったからでしたか。ということはここに入学することはもう決定していたわけですね」
「まぁそうだね。まさか半巡り(半年)ほど早く入学するとは思ってなかったけどさ、ダニエル様も無茶するね?」
「……まぁダニエル父さんですから」
ん?そういえば父さんってどうやって地下室の存在を知ったんだろう……。
聞くの忘れてた。あぁ、四年間は謎のままなのか。
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ユアンさんが担当しているクラスで、私が振り分けされるクラスに移動中。
クラスにはレベルがあって、ユアンさんのクラスは上から二番目らしい。
私は特別入学できたのだから、それだけの実力はあると言われた。
クラス分けの方法は魔力の大きさで決められるのだとか。
進学すると今度は魔力だけではなくその魔法の技術レベル(つまりは精度や魔力効率)も考えられてクラス分けがされるらしい。
結局、私の魔法について結論から言うと八歳で精霊や神の加護が無い一般人が、上位三原則魔法の一つでも制御できている、習得できているというのは非常に珍しいらしい。
こと魔力の制御ということに関してはこのまま成長すれば計り知れないとかなんとか。
「その上の最上位二原則魔法を制御、習得できていたらもう天才とかじゃないね。天才の前に異常とか付いちゃうんじゃないかな?」
「はぁ……そんな事になるんですか」
「二原則魔法の制御の難しさは三原則魔法の比じゃないからね。発動の難しさだったらイメージしにくい重力魔法だと言われているけど」
つまり、私は世間一般では異常な天才というわけだ。
天才か……。
自我の確立というアドバンテージがあったにせよ、毎日の努力の結果なんだけどなぁ。
その二言だけで私の五年間の訓練が片付けられてしまうのはなんともやるせない気持ちになる。
天才とか呼ばれてみたいと思っていた時もあったけど、その時の自分を罠に嵌めてやりたくなってきた。
「エリックくんも十分に天才の域にいるけどね?」
「努力の結果ですよ。ユアンさんも私の家庭教師をしていたのですからわかりますよね? 魔法に対しての感性はそこまで高くはないと」
魔法の使い方の発想はあるけど、魔法や魔力について元々知っていたわけではないから加護を持った人たちにはどうしても敵わない面があるだろうし。
「うーん……そうだね。天才だったとしても努力をしないと才能を埋もれさせるだけだからね」
某格闘マンガのムエタイの人も「十歳で神童、十五歳で才子、二十歳すぎればただの人」と言っていたしね。うん。努力は必要だ。
……よし、こじつけ終了。納得した。
それにしても家庭教師は本物の教師だったとは。
んぅ? ユアンさんが教師?
「ユアンさん、私の家庭教師をやっていたときはこの学校での授業はどうしていたんですか?」
そう、このヘルムート学園まで片道五日間かかるのだ。
七日に一回しか家庭教師をしなかったとはいえ、これではヘルムート学園から家まで往復することすらできない。
「ああ、そのことか。実はちょっと無理矢理にね……」
あぁー、遠い目だ。遠い目をしている。
「父さん……ですか?」
「まぁそうだね。急にダニエル様専属の執事が来て『休暇をとってダニエル様の息子の家庭教師になれ』なんて言われた日にはね……」
ヘラルドさん何やってるの!?
というかそんなことを頼める関係を持っている父さんとユアンさんのつながりって何!?
……しかもヘラルドさんが命令口調って!?
「で、無理矢理休暇を取らされて魔法で移動してダニエル様に話を聞いてみたら『3歳児に教えろ』なんて言われてサプライズ以外の何物でもないと思ったね」
サプライズだね。傍から見たらおちょくっているようにしか見えないね、それ。
「まさか本気で教えることになるとは思ってもいなかったけどね……それが一番のサプライズだよ」
「ま、まぁそれは置いときまして、二年間は長めの休暇ってことでどうか一つ」
「結果的にはそうだったからいいんだけど、その後ここに戻ってきたときは、まぁちょっとね………」
父さん、無茶しすぎです。
前に予想外だと思ってたけど、ここまで壮大に迷惑かけてるなんて本当に予想外デス。
けど気になるキーワードがあった。
「魔法で移動って言ってましたけど、何魔法を使っての移動なんですか?」
「重力魔法だね。馬車の重さや馬そのものの重量を減らして移動スピードを速くすることだよ。重力魔法は僕は使えないけど魔法具を使って魔力を流しこむことでどうにかね」
なるほど、発動がしにくい重力魔法は魔法具が一般的ということか。
ちなみに魔法具というものは魔力を貯蔵する性質のある石や金属を材料に魔方陣や刻印が書いてあるもので、アクセサリーのような小物のような物もあるらしい。
まだ私は見たことないけど……。
「はい、エリックくんが入るクラスに付いたよ。それじゃみんな年上だけどそんなことは知らないはずだから気楽にね」
と言ってユアンさんは一足先に入っていった。
この教室に入ったら周りは皆年上でユアンさんも先生と呼ばなきゃいけない。
(さて、魔法学園生活。初等部の四年間、頑張りますか!)
脳内年齢は二十五~六歳だけどね。
はい。全く進みませんでしたね。
ユアンさんとの世間話だけで終わっちゃいました。
口調の変化を付けなきゃいけないと思ってはいるんですが上手くいかないですね。