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第5部 第26話 三乙女の初陣――「西の砦」攻略作戦

「……お前たち。今回はアイリス、エヴァ、テイラーを先陣に立てる。ハクザン軍の精鋭たちは後ろ盾となり、彼女たちが道を切り開けるよう徹底的にサポートしろ。……これは教育だ。彼女たちに『勝利』を経験させるぞ」

ルーニー・ハクザンの冷徹ながらも期待のこもった号令に、自軍の兵士たちが一斉に唱和した。

アイリス、エヴァ、テイラーの三人は、ルーニーに「お仕置き」でしつけ直されたことで、忠誠心だけは最高潮に達していた。……が、物理的な問題はまだ山積みである。

「(ぜぇぜぇ)……アイリス様、砦への坂道が……意外と堪えますわね……」

エヴァが、パツパツのメイド服に汗を滲ませ、ぽっちゃりとした二の腕を拭いながら登る。

「弱音を吐かないで! ルーニー様に任された初陣なのよ! ここで結果を出さなきゃ、またお仕置きですわ!(ムギュッ)」

アイリスも、重い甲冑が食い込む腹部に力を込め、必死に剣を杖にして進む。

砦を守る魔王軍の兵士たちが侵入者に気づき、矢の雨を降らせてきた。

「(ドスンッ!)……隠密、失敗しましたわ……」

テイラーが物陰に隠れようとしたものの、以前より「厚み」が増した体が岩陰からはみ出してしまい、あっさりと敵に発見されてしまう。

「ハクザン軍、前へ!」

ルーニーの鋭い指示で、熟練の兵たちが盾を掲げて三人の前に出た。敵の攻撃を完璧に防ぎ、混乱する守備隊を蹴散らして、彼女たちが突入するための「道」を鮮やかに作り上げる。

「今だ、行けっ!」

ルーニーの声に発破をかけられ、三人は泥だらけになりながらも、なりふり構わず砦の広間へと突っ込んだ。ハクザン軍が完璧に敵の注意を引きつけ、フォローしてくれているおかげで、三人の未熟な一撃が面白いように決まっていく。

「魔王軍の皆様! 私たちが、ルーニー・ハクザン様の家臣ですわよ!」

アイリスの重みを乗せた全力の一撃、エヴァの必死な魔法、テイラーの不意打ち。ハクザン軍の圧倒的な「プロの仕事」に支えられ、どうにかこうにか、西の砦にルーニーの旗が翻った。

勝利の報告を受けたルーニーは、肩で息をする三人のふくよかな背中を遠目に見つめ、少しだけ満足げに口角を上げた。

「……まずは第一歩か。だが、その息の上がり方は問題だな。明日からはこの砦の階段を、今の装備で百往復だ」

「「「ええええええっ!? そんなぁ!」」」

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