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第5部 第21話 真実の重さと、肉体の重さ

「……あ、ああ……姉さん……ミツナ姉さん……っ!!」

戦場に、シオンの慟哭だけが響いていた。膝をつき、子供のように泣きじゃくるかつての部下を、ルーニーはただ静かに見下ろしている。

その光景を、城壁の影から見守る三人の影があった。

アイリス、エヴァ、そしてテイラー。

彼女たちの瞳には涙が浮かんでいた。ルーニーがかつて「ラインハルト」であったこと、そしてミツナという少女の犠牲の上に今があること。彼の「狂王」という仮面の裏にある絶望を知ってしまったからだ。

だが、感動的なシーンであるはずなのだが――。

「……ふぅ、ふぅ……。ルーニー様の過去、あまりに……重すぎますわ……(ボフッ)」

アイリスが感動のあまり胸を押さえた拍子に、「戦闘用メイド服」のボタンが一つ、弾け飛んだ。

翡翠城での「毒(最高級グルメ)」の摂取と、運動不足。彼女たちの体は、シリアスな空気をぶち壊さんばかりに「ぽっちゃり」と丸みを帯びていた。

「(ムチッ)ええ、そうですわね……。ルーニー様は、あんな孤独な戦いを……(モグッ)」

エヴァも涙を拭いながら、無意識にポケットに隠し持っていたスコーンを口に運ぶ。その頬は、以前の鋭い美貌とは裏腹に、リスのようにふっくらと膨らんでいる。

「……静かに。ですが、これで分かりましたわ。彼がなぜ、私たちをあんなに厳しく(スパンキングしてまで)鍛え直そうとしたのか……(パツパツ)」

テイラーもまた、かつての情報局長時代のキレはどこへやら、二の腕や太ももがメイド服の布地を限界まで押し広げている。

彼女たちは、ルーニーが「二度と誰も死なせない」という誓いのために、自分たちを「戦える駒」に戻そうとしていた真意を、そのふくよかな体で受け止めていた。

ルーニーがゆっくりと振り返る。

「……おい、そこから見ていたのは分かっている。出てこい、ブタ共」

「「「ひっ……!!」」」

三人は震えながら、よろよろとルーニーの前へ進み出た。

かつての彼女たちなら優雅に跪いたはずだが、今は膝を折るたびに「むにっ」という肉の感触が邪魔をする。

「……全部聞いたか。俺がラインハルトの生まれ変わりで、多くの犠牲の上に立っている醜い男だということを」

ルーニーの問いに、アイリスが代表して答えた。その頬は少し赤らみ、揺れる顎の肉を必死に抑えながら。

「……はい。ですが、私たちは……いえ、私は、今の貴方が誰であっても構いません。貴方が背負う罪も、その『義』も、すべて私たちが共に背負います。……ですから、どうか」

「……どうか、私たちをまた……叩き直してくださいませ!」

三人が一斉に、肉の重みに耐えながら深く頭を下げた。

その姿に、ルーニーは呆れたように溜息をつく。

「……いいだろう。だが、その覚悟があるなら明日から食生活はさらに厳しくするぞ。特にアイリス、お前は今さっきボタンを飛ばしたな? 腕立て100回追加だ」

「「「はいっ!!」」」

シオンとの因縁に一区切りがついた瞬間。

それは、ぽっちゃりした三人が、真の意味でルーニーの「側近」へと羽ばたく(あるいは痩せるための)第一歩となった。

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