表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/128

第5部 第10話 狂王の仮面、聖者の心中

「――地下の『再教育房』へ放り込め。人間としての心など残さないようにな」

冷酷な宣言と共に、ルーニーは翻って謁見の間を後にした。

背後でアイリスたちのすすり泣く声や、ゴルザの「へいへい、野郎ども運べ!」という荒っぽい声が聞こえる。

だが、重厚な扉が閉まり、一人になった瞬間。

ルーニー・ハクザンは、その場に崩れ落ちそうになった。

(……いや、マジかよ! 本当に来ちゃったよ!)

心臓がバックバクである。

かつての神童、現在の狂王。だがその内実は、前世の記憶を持つ一人の男だ。

(何考えてんだ公国の連中! ここは魔族領のど真ん中だぞ? 蛇もサソリも毒持ちだし、昨日は隣の部屋に魔力食いの巨大蜘蛛が出たばっかりなんだぞ! 14歳のガキに、女の子三人の命預けるとか正気か!?)

ルーニーは頭を抱えた。

本当は「武器」か「金」、あるいは「最新の魔導具」が欲しかった。それなら魔王軍との戦いにすぐ転用できるからだ。

(まさかこれ、公国側の『厄介払い』じゃないだろうな? 扱いづらい王女と令嬢を、死ぬの前提でこっちに放り投げたのか……? ああ、クソッ、守らなきゃいけない対象が増えただけじゃねーか!)

4年前、「キャッハ!」と笑ってカッコつけて出て行った手前、今更「危ないから帰れ」とも言えない。

(しかも俺、さっき『再教育』とか言っちゃったよ。何教えればいいんだよ。真田流の「泥にまみれて生き延びる方法」か? いや、あいつらにそんなことさせたら、俺の胃に穴が開く……!)

「……坊ちゃん。準備できましたぜ」

背後からゴルザが声をかけてくる。ルーニーは一瞬で「狂王の顔」に戻り、鋭い眼光で振り返った。

「……そうか。地下へ行くぞ」

(あああ、行きたくねえ! どんな顔して会えばいいんだよ! とりあえず、一番安全で清潔な部屋を『監獄』ってことにして閉じ込めておくしかないか……)

ルーニーの覇道は、思わぬ「お荷物」によって、急速に「過保護な保護者」の様相を呈し始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ