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第5部 第5話 新生ハクザン誕生――狂王の蹂躙

「骸の断壁」の砦は、阿鼻叫喚の地獄へと変わっていた。

軍略によって一万の兵を失い、完全に戦意を喪失した魔族将軍ザルガスの軍勢は、我先にと敗走を始めた。

だが、そこからが本当の地獄だった。

「……逃がすかよ。こっちは3年分、溜まってるんだ」

砦の門が開き、一人の少年が躍り出る。

13歳になったルーニー・ハクザンだ。彼は返り血を全身に浴びながら、逃げる魔族の背後を猛然と追った。

「キャッハ! ほら、もっと必死に走れよ! その方が切り甲斐がある!」

ルーニーの指先から放たれる魔力の刃が、逃げる魔族の足を、腕を、首を、正確に、そして無慈悲に刈り取っていく。

それはもはや戦闘ではない。一方的な「屠殺」だ。

「ひ、ひぃっ! くるな、くるなあああ!」

「助けてくれ! 俺たちは降参……っ」

「キャッハッハ! 降参? 面白いこと言うな。俺がいつ、命を助けるなんて言った!?」

ルーニーの笑い声が戦場に響き渡る。その姿は、襲われている魔族よりも遥かに邪悪で、どちらが「人類の敵」なのか判別がつかない。

ゴルザですら、その蹂躙劇に一瞬背筋を凍らせたが、すぐに不敵な笑みを浮かべ、残った手下と共に敗残兵を追い詰めていく。

数時間の後。

広大な平原には、絶望して膝をつく一万人の魔族兵と、その死体の山が築かれていた。

ルーニーは、血に濡れた剣を大地に突き立て、戦場全体に響き渡る声で告げた。

「――静粛に。これより、この地を統べる新たなことわりを刻む」

彼は怯える一万の捕虜を見渡し、狂気に満ちた、しかし絶対的な王の瞳で宣言した。

「本日、この瞬間をもって、魔族領内に新たな国家を樹立する。名は『新生ハクザン国』。……ここにいる一万の雑魚どもは、今日から俺の隷属(奴隷)だ。死にたくなければ、俺の靴を舐めて、その命を俺の覇道のために使い潰せ」

13歳の少年が、魔族の地で「国」を作ってしまった。

人間界からは「大罪人」、魔族界からは「侵略者」。

世界中の全てを敵に回した、狂える王の物語が、ここから加速する。

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