表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/131

第3部 第4話  義星の極光――痣の真実

「グオオオオオン!!」

壊死竜の放つ、生命を腐食させる黒い息吹ブレスがラインハルトを飲み込んだ。

魔将ザルガスは勝利を確信し、高らかに笑う。「死ね! 痣持ちの公爵よ! その汚らわしい魂ごと消え失せるがいい!」

しかし、黒煙の中から現れたのは、倒れ伏した死体ではなかった。

ラインハルトの右顔の痣が、顔全体、そして首筋を伝って全身へと広がり、「深紅の幾何学模様」となって発光していたのだ。

彼の周囲だけは、壊死竜の呪いが霧散し、清浄な空気が保たれている。

「……これが、この痣の本当の意味か」

ラインハルトの脳裏に、この世界の記憶ではない、宇宙の深淵に触れるような知識が流れ込む。この痣は呪いではない。魔族の始祖さえも封じたとされる【聖痕スティグマ】――負のエネルギーを喰らい、己の糧に変える、究極の対魔族兵器だったのだ。

「……私の命、まだくれてやるわけにはいかない。王都で待つ妻に、笑顔で見せられる体で帰らねばならんからな!」

ラインハルトが踏み込む。その速度は、もはや人の目では追えない。

一歩ごとに大地が爆ぜ、壊死竜の巨体が、ラインハルトの放つ圧倒的な「圧」に押されて後退する。

「な、なんだあの輝きは……!? 壊死竜が、怯えているというのか!?」

ザルガスの余裕が驚愕に変わる。

ラインハルトは高く跳躍し、漆黒のオーラを纏った刀を正眼に構えた。

「前世の私は、病に伏し、友の敗北を看取ることしかできなかった。……だが今世の私は、この腕で勝利を掴み取る!!」

奥義・「義星一閃」

紅蓮の光を帯びた一太刀が、壊死竜の巨大な首を、バターを斬るかのように容易く断ち切った。

崩れ落ちる山の如き巨体。呪いの根源を断たれた三万の魔族軍は、その衝撃波だけで半分が消し飛び、残った者たちも恐怖に狂って潰走を始めた。

「ば、馬鹿な……伝説の壊死竜を、たった一撃で……」

ザルガスが逃げようとするが、その背後には、冷徹な瞳をしたラインハルトが、既に音もなく立っていた。

「……逃がすなと言ったはずだ、シオン、ラーゼン」

ラインハルトの合図とともに、我に返った八千の精鋭たちが、壊走する敵を包囲する。

しかし、戦いを終えたラインハルトの全身からは、力が抜け落ちようとしていた。痣の力を使い果たした代償は大きく、彼の視界は急速に暗転していく。

「……約束、守ったぞ……エレオノーラ……」

崩れ落ちるラインハルトを、シオンとラーゼンが叫びながら駆け寄って支えた。

戦場に、勝利の歓喜と、主君を案じる悲痛な叫びが交錯する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ