表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/131

第6部 第23話 軍神、降臨――背中を預ける「義」

旧ハクザン領、北の砦。

爆炎が石造りの壁を砕き、最後の防衛線はもはや瓦礫の山と化していた。

「……はぁ、はぁ……っ! まだだ……。まだ、折れるわけには……いかんのだ……ッ!!」

第4番隊長マックスウェルは、ひび割れた大剣を杖代わりにして、辛うじて膝を突かずに踏みとどまっていた。全身の鎧は剥がれ、流れる血が足元の土を黒く染めている。

目の前には、勝ち誇ったように巨大な魔力を練り上げる魔将が、無慈悲な一撃を放とうとしていた。

「しぶとい男だ。だが、その忠義もここで潰える。……死ね、人間」

魔将の放った漆黒の魔弾が、音を置き去りにしてマックスウェルの眉間へと迫る。

死を覚悟し、マックスウェルが静かに目を閉じた、その時。

――パキィィィンッ!

空気を切り裂く、澄んだ金属音が戦場に響き渡った。

マックスウェルの目の前、届くはずの死が、黒銀の火花となって霧散していく。

「……遅くなったな、マックスウェル。よく耐えた」

聞き覚えのある、静かで、それでいて芯の通った声。

マックスウェルが目を開けると、そこには、かつての主君であり、死んだはずの「軍神」が立っていた。

ハルト(ルーニー)。

その右腕の痣からは銀色の魔力が立ち昇り、背中には軍神としての圧倒的な威圧感が宿っている。

「……ハ、ハルト……様……? 夢、では……ないのか……?」

「夢ではない。……お前が繋いだこの砦の『火』、消させはしない」

ハルトは一歩踏み出し、抜刀すら見せぬ速さで、次々と肉薄していた下級魔族を塵へと変えていく。

その神速の動き、そして「黒銀の小太刀」が放つ異質な魔力に、魔将が驚愕して後退した。

「……貴様、何者だ! 死んだはずのハクザン公子が、なぜこれほどの力を……ッ!」

「名乗る必要はない。……貴様が蹂躙したこの土地は、今日この時をもって、再び我ら『ハクザン』が取り戻す」

ハルトの背後から、ゲオルグ、エヴァ、そして正教会の精鋭たちが、怒涛の勢いで砦へと雪崩れ込んできた。

絶望に沈んでいた兵たちの瞳に、再び「勝機」の光が宿る。

「……総員、反撃開始だ。……裏切り者のシオンに、本当の軍略というものを教えてやる」

ハルトの鋭い号令が、戦場を支配した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ