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第6部 第21話 反撃の軍議――旧領奪還の計

聖域の門前に積み上がった魔族の骸を背に、ハルト(ルーニー)は、エヴァ、ゲオルグ、エリーゼ、そしてテイラーを司令室へと集めた。

結界に守られた聖域に安堵の空気は流れていない。ハルトの瞳は、すでに次の盤面を見据えていた。

「……皆、聞け。聖域を守り抜いただけでは、ジリ貧だ。今は私の力で押し返したが、魔族の数は底が知れん。数で押されれば、いずれこの聖域すら飲み込まれるだろう」

ハルトは机の上に広げられた地図を指さす。

そこは、王都ルミナスへと続く街道の要衝――『旧ハクザン辺境伯領』だった。

「我々には、腰を据えて反撃を支える『拠点』が必要だ。……旧ハクザン領。あそこは物流の結節点であり、王都を狙うための喉元だ。あそこを奪還することこそが、シオンへの反撃の狼煙となる」

「拠点……。ですがハルト様、あそこは今、魔族の統治下にありますわ」

エリーゼが懸念を口にする。ハルトは深く頷いた。

「ああ。だからこそ、まずは正確な状況を知る必要がある。……テイラー」

「……ここに」

影の中から、音もなくテイラーが姿を現す。

「……急ぎ、旧ハクザン領へ向かえ。……現在の統治状況、敵の兵数、そして民の動向を洗え。……どこの誰が今あそこを統治しているのか? 魔族であることは間違いないだろうが、その正体を突き止めろ」

「……承知いたしました。……鼠一匹の動きも見逃しはしません」

テイラーは短く答えると、再び影に溶けるようにして姿を消した。

「……ゲオルグ、エヴァ。お前たちは正教会の騎士団の再編と、進軍の準備を急げ。……エリーゼ、お前は聖域に残る者たちの不安を鎮め、結束を固めてくれ。……我々の戦いは、これからだ」

「……承知いたしましたわ」

ハルトの冷静な指示に、一同の顔に静かな決意が宿る。

かつての領地を取り戻し、そこを足がかりに王都へ迫る。

軍神の、緻密かつ大胆な奪還作戦がいま動き出した。

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