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第6部 第2話 欠けた核、再起の盟約

納屋に充満する、重苦しい沈黙。ルーニー・ハクザンは、右手に握られた一欠片の結晶を見つめていた。

漆黒の闇を閉じ込めたような、不気味な輝き。伝説の魔人を五つに分かち封印した、**『五裂の魔人核』**のひとつだ。

「……ルーニー様。……それを、使うおつもりですか?」

エヴァが、不安げにその手元を覗き込む。

「これひとつじゃ、本来の力の半分も戻らねぇよ。だが……ズタズタになった俺の魔力回路を繋ぎ止める『核』にはなる」

ルーニーは自嘲気味に鼻で笑い、その核を自らの胸元、心臓に近い傷口へと押し当てた。

「(グッ……あああああっ!!)」

血管を熱い泥が駆け抜けるような激痛。だが次の瞬間、死に体だったルーニーの瞳に、黄金の魔光が灯った。

「……ふぅ。……最低限、動けるようにはなったか」

ルーニーが荒い呼吸を整えながら、はだけた胸元を鏡代わりに水溜りへ映す。

そこには、埋め込まれた『魔人核』を中心に、禍々しい「あざ」が急激に広がっていた。

それは、かつての義将・大谷吉継を思わせる、肌の色を失ったような白濁とした紋様。顔の半分から首筋、そして胸元へと侵食するように広がったその痣は、見る者に生理的な恐怖と、底知れない不気味さを抱かせる。

「……ルーニー様。その、お顔の痣は……」

エヴァが、痛ましげに指を伸ばそうとする。

「……気にするな。体に目立った影響はねぇ。……ただ、俺が『人間』を辞め始めてるっていう、消えない刻印に過ぎん」

ルーニーは自嘲気味に鼻で笑い、ボロボロの布で顔の半分を覆うように隠した。

力の代償としての「醜い痣」。だが、テイラーはその痣すらも、神聖な紋章であるかのように、うっとりと見つめていた。

「……美しいですわ、ルーニー様。その痣こそが、貴方が地獄から這い上がってきた証……。私たちが、その痣を世界に知らしめるための影となります」

「……ふん。イライラさせやがって。……行くぞ」

残り四つの核。

その一つを手に入れるたびに、この痣はさらに広がり、ルーニーを完全な魔人へと変えていく。

だが、今の彼にとって、外見の美醜など、復讐の前には塵にも等しい価値しかなかった。

こうして、顔を隠した「痣の冒険者」と、二人の最強の家臣による、血塗られた収集の旅が幕を開けた。

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