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ゴミ活  作者: ミカ


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第5話 生活水準、どんどん上げていきましょう!

家賃を少しでも返せたら、今度は少しだけ贅沢をするターン。

 さてさて、いつものスーパーで晩ご飯の買い出し。

 これも少しだけ贅沢して、昼と同じように、余裕がある時やヤケ食いしたい時に食べる、税抜き498円の焼くだけで良い味付きのプルコギを買う。

 お酒も、最近出たスライスレモンが丸ごと入ったちょっとお高いサワーに挑戦。

 コンビニでもカップデリ惣菜を思い切って二種類も買っちゃった。

 タコとブロッコリーのバジルサラダに、この、新しい明太おろしと魚のおつまみなんて、どっちか選べなんて無理です、両方買いますって。


 明日は仕事が休みだからお風呂も洗濯もサボって、すぐにご飯。

 嫌いな玉ねぎをパックに避けて肉を炒めながら、菜箸の先端がボロボロになっているのが気になった。


 ――これも買い替えるか……。

  というか、今まで気にならなかった事が気になり始めるのが、金銭的余裕ってやつなんだね。


 玉ねぎの乗った肉のパック、パックご飯のトレー、総菜の入っていたカップふたつ、スライスレモンの搾りかすが入ったままの缶……重ねて纏まるようにして撮ると、1,560円になった。

 ちゃんと千円札と500円玉にまとまってくれているのがポイント高い。


 ――私も本来なら痩せの大食いってやつだから、このぐらいはペロッと食べられるけど……このラインナップってもしかして、デブの夜食に近いんじゃないかな?

  じゃあ母親に怒られて言い訳したとしても「アンタが自分で食べたんでしょ!」って信じてもらえない可能性高そう。


 ご飯を食べ終わったら、買った化粧水をコットンに染み込ませてメイクを落とす。

 そんな女は居ない、男が書いているんだろうってツッコまれそうだけど、実際にここに居るんですよ。


 ――あーっ……でも、こう、たまにPayPayポイントの有効期限が切れそうな時に100ポイントで買えるお試しの高級化粧水みたいな、しっとりというか、ぬっとりした感触がする~!

  肌が化粧水を飲んでる感があるね。


 ともあれ古い化粧水を、中身を少し残したまま居間に移動させ、ついでに洗面所周りを目に着いた所だけでも片付ける。

 日焼け止めクリームはもう古くなって逆に肌がピリピリするようになって来たから、捨て時だよね。

 あとオタクの哀しい習性でいつまでも置いてある空になったヘアオイルがふたつ。

 ガワのポンプは残しておきたいから、水を入れてシャカシャカして、わずかに残ったオイルをティッシュに染み出させる。

 こうやって出来たとても良い香りのティッシュゴミを、少しだけ残った日焼け止めと、化粧水のボトルと纏まるように配置してアプリで撮ると、これだけで10,280円になった。

 実は化粧水、中身こそ安物に入れ替えていたけれど、ボトルはポーチとコラボした時に買ったやつだから、それが意外とデカかったんだよね……2千円越えだもん。

 ポーチはもちろん、今でも愛用しているよ。


 そして明日はプラゴミの日。

 ゴミ活を始めてからだいぶ減ったけれど、まだ処分し切れず残っている。

 ゴミ袋の口を縛る前に、アプリを起動させて袋の中全体が写るようにシャッターを押す。

 臭くなった汁をふき取っていないトレー類やら何やらは綺麗サッパリ消えて、代わりに約5千円がヒラヒラチャリンと炬燵の上に舞い降りた。

 ゴミ袋代わりにしている有料のコンビニ袋まで消えてしまうというオチは無いようで安心だ。


 今日の儲けは17,585円か。

 さっき振り込んだ家賃の3倍以上も戻って来たとか最高過ぎる。

 欲を言えば、この振り込んだ家賃分が更に戻ってきたらもっと無双出来るのになと、ご利用明細票をヒラヒラさせながら思った。


  ……よし、「こうなったら良いな」は思うだけじゃなく、レポートに書くべきだ。


『お陰様で生活水準がちょっと上がりました! ところで、明細表やレシートなんかも対象になりませんか?』


 もし対象になったら……と思うと、普段ならすぐに細かくちぎってトイレに流してしまうこの明細表も、公共料金のお客様控えも、全部宝の山に変わるので、オタクの家には無駄に沢山あるクリアファイルに大切にしまっておく。


 そしてベッドに入る前にもう一度、財布の中身を数えながら、ぼんやりと考えがよぎった。


 ――思ったより儲けたし、今日はこの分で、外で食べてこようかな……。


 という訳で明日は急遽予定を変更して……というか、元々予定なんか無かったけれど外出の予定もなかったという意味で、地元のお祭りに行く事にした。

 仕事帰りに寄る以外では明日ぐらいしか行けそうなタイミングが無いからだ。

 今までなら贅沢は出来ないと、友達に誘われた時以外はグッと我慢していたから、これはもう行くしかない。

 それに、いつもはゴミ捨て場を探してウロウロするのが常だけど、今なら……!


 そんな風にワクワクしながら眠りに落ちた。


                                            →つづく

生活水準をいきなりグンと上げるより、ささやかなワンランクアップの方が喜びの実感になると思っています。


次回はお祭りの屋台で無双する?

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