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ゴミ活  作者: ミカ


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第4話 脱・30%オフ生活!

魔法のアプリでお小遣いを手にしたミカ。

日常生活にもちょっとした変化が……?

 翌日出勤すると、先に席に着いていたデブはしきりに首を捻っていた。

 身の回りで何かおかしな出来事が立て続けにあった、といった様子だ。

 ただでさえ不細工な顔がぐっしゃぐしゃに潰れてシワだらけで、ますます不細工になっているのがもうおかしくてしょうがない。


 1時間ほど普通に働いてトイレ休憩に行き、戻って来ると「またか……」となった。

 私はいつもプチチョコチップクッキーをデスクに置いておいて朝ごはん代わりに食べているのだけれど、その減りが早かったり、位置がズレている気がするのだ。

 確証はないけど、デブが勝手にパクってるんだろうな、デブだから。

 今日は謎に増えたゴミや母親に怒られたストレスのせいか、特に減りが早いように感じる。

 今までだったらそろそろ指摘するなり人事に相談するなりしていた所だったけれど、ゴミ活を始めてからなんとなく気分が良いので許してやる事にした。


 いや、許してはいないが、それより……。


 ラスワンになってしまったクッキーを口に放り込み、次のトイレ休憩で空になったパッケージをクリアバッグに入れて席を立つ。

 トイレの個室でゴミ活アプリを開いてクッキーのパッケージを撮ると、その分のクリアバッグの隙間に95円が戻って来た。

 便器の中じゃなくて良かったと思う。


 そう、元々このクッキーもこうしてキャッシュバックする予定ではあったが、盗んだ物の一部が自分の部屋にあるというのは、なかなかの恐怖なんじゃないかと思う。

 規模は違うが、ドラマで殺人の証拠写真を送り付けられるとか、そんなイメージ。

 けど、それを指摘するのは頭がおかしい人になるし、私は逆に「貴女が盗んだんですか?」で返すことが出来る。

 バレたくはないけれど、徐々にこうして私の好きなジャンルのグッズや、着ていた服など、匂わせを強めていって、頭のおかしい窃盗犯に仕立て上げられたらな……なんて、企んでる。

 もちろん、いきなり警察が動くような事になったら困るから、本当に少しずつ……そう、洗脳も兼ねて、少しずつ恐怖とストレスを与えていけたらなと思う。


 ショボい……昨日に引き続きショボ過ぎるとは思うが、今はまだこれで良いかな。


 お昼ごはんは、いつもは一番安いコンビニの198円のカップ麺だったのを、同じコンビニ弁当ではあるけど、600円のパスタにしてみた。

 普段でも少しだけお金に余裕があったり臨時収入があればこのレベルにしていたが、まぁ、それをやればやるほど家賃の支払いが遠のくわけで、最近ではすっかりご無沙汰だったのだ。

 贅沢らしい贅沢ではないが、なんというか、“人間らしい生活に戻った”感じが嬉しい。

 そして美味しく食べ終わった後、周りの目を気にしながらちょっと身体で隠すように、トレーやラップのゴミをアプリで撮ると、ゴミが消えて600円が戻って来た。

 壁を向いて座る角の席だから多分、誰にも見られてはいないと思うけど……ちょっと、今までで一番ドキドキしたかも。


 そんな感じで一日の仕事を終えて帰る途中に、夜のそこそこ遅い時間まで開いている郵便局に寄って、家賃を振り込む事にした。

 昨日ネットでざっと調べた結果、“払込取扱票”を窓口じゃなくATMで使えば、最も税務署に目を付けられにくく、手数料も安く済むらしい。

 という訳で、ここまで儲けた5,010円のうち、まだ買い物もあるからその分は残しておいて、キリ良く5千円を振り込む。

 まだ額は少ないけれど、ゴミ活を始めていなければ今日も明日も明後日も振込額0円で、滞納額だけがまた増えていたから、マシも何もすごい進歩の気がする。


 振込を終えたら今度はドラッグストア。

 化粧水が切れそうだから買い足すのだ。

 いつもはここに並んでいる中では一番安い500円のハトムギ化粧水だが、今日はワンランク上の600円の、セラミド化粧水にしてみる。

 たかがプラス100円、されど100円。

 基礎化粧品でこの差は意外とでかい……と、思う。


 さーて、後は晩ご飯!

 少なくとも、もう30%オフを買う必要は無いよね!


                                            →つづく

家賃も少しだけ返せて、生活用品も底辺からほんの少しだけグレードアップして。

少しずつ人間らしい生活に戻ってきて良かったね……自分ひとりの稼ぎなら(笑)

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