第1話 令和の笑ゥ●ぇるすまん
仕事中のストレスによる妄想がいつの間にか物語になっていました。
ひたすら私がスカッとしたいだけの自己中作品ですが、一緒にスカッとして頂けたら嬉しいです。
あ゛~~~……5千兆円欲しい。
私、ミカはお金に困っている。
普通レベルの金欠ではない。
家賃を3か月ぐらい滞納していて今、20万円ぐらいの借金があるのだ。
そろそろ滞納4か月目に突入しそうである。
何故そんなに滞納が続いたかというと……そこはそれ、だらしない生活のせいだから誰のせいにも出来ない。
別に働いていない訳ではないのだ。
コールセンターで派遣社員として時給1,300円。
シフトこそ不定期だが週5フルタイムなので手取りで月17万は稼げているのである。
にもかかわらず、去年の今頃、消費者金融から借りまくってまでオタ活した結果、自己破産してこのザマだ。
唯一良かった事といったら、奨学金も自己破産出来た事ぐらいだ。
ともあれそんなだらしない性格だから、真面目に借金を返すためのダブルワークは考えず……いや一応考えて行動もしているが上手くいかず、今は現実逃避のターンというわけなのだ。
地面にポイ捨てされたタバコの吸い殻をぼーっと見つめながら妄想する。
――このゴミがお金になればな……。
オートロックのエントランスを抜けてエレベーターで7階に上がる。
道内では珍しいと知った、エアコン付きのそこそこ良い部屋。
この部屋とも本格的にお別れを考えた方が良いのかな……。
市営住宅に引っ越す事自体はそこまで抵抗が無いけど、家賃保証会社のブラックリスト入りして、生活が立て直せるようになってからまた今のレベルのマンションに引っ越そうと思っても門前払いを食らいそう。
それが怖くて、強制退去になる前に自分から潔く身を引こう、という事がなかなかできず、ギリギリのラインでもがいているのだ。
なんていう独白をしながら、部屋の玄関ドアを開けると……。
「こんにちは。手軽にお金が欲しくありませんか?」
部屋の中にやべー奴が居た。
チェック柄のスーツに糸目という、某関西弁漫才師ラッパーのような出で立ち。
「……何なんですか?」
こういう状況の時、人は咄嗟に「誰ですか」ではなく「何ですか」と尋ねるらしい。
確かに氏素性は二の次で、取り敢えず何の目的で……自分がこれから何をされるのか、の方が重要だから。
あと、すぐに警察を呼ぼうとも思わないらしい。
取り敢えず話を聞いてみようという気になる。
話に興味があるからとかではなく、これも、頭ごなしに否定するより上辺だけでも同調しておいた方が、取り敢えず逆上して暴行を受ける可能性は少なくなるからだ。
「はい。嫌いなヤツの人生に、君のゴミをぶち込んでお金をゲット。最高のWin-win、いえ、Win-loseじゃないですか?」
そう言って男は、相変わらずの糸目のままだが気持ちもっと目を細めて笑いながら、自分のスマホを見せて来た。
画面は、よくあるポイ活サイトのマイページのように見える。
「まぁ……素敵ですね?」
「そのテスターになって欲しくて、こうしてお邪魔した次第です。失礼ながらお金に困っているように見えましたので」
あまりにも胡散臭すぎる。
けれど引き続き、話を聞いてみようという気になっている。
追い返し方が分からない、と言った方が正しいかも知れない。
なんだか令和の笑ゥせぇ●すまんみたいだな。
「……えーっと……長くなるなら、先にお肉冷蔵庫に入れてからで良いですか?」
「どうぞどうぞ」
そう言って男は私を簡単にキッチンに行かせた。
包丁を持って来られたらどうしよう、なんて考えは無いのかな。
とはいえ私もそんな一矢報いるような勇気もなく、奪い返されるリスク優先で普通~に食材を冷蔵庫に入れるだけでリビングに戻って来た。
馬鹿だな。
「……で、取り敢えず分かるように説明してくれますか?」
「はい。簡単に言えばこのアプリをスマホにインストールして頂いて、嫌いな人の情報を入力し、カメラでお金に換えたいゴミの写真を撮るだけです。……嫌いな人、居ますよね?」
嫌いな人……と言われて、私の頭には、1人の人物が浮かんだ……。
→つづく
構想段階ではミカが異能に目覚める感じでしたが、それだと一生独白のターンになるので、謎の人物を投入したら不法侵入されました。
第1話がほぼプロローグ、次回の第2話からが本番といった所です。
次も読んで頂けたら幸いです。




