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初めての学び――貴族の子の勉強
リオは朝食後、書斎で家庭教師バルトと向き合った。机の上には分厚い本や羊皮紙、羽ペンが並ぶ。
「本日は領地の歴史と、貴族としての基礎教養から始めましょう」
バルトの声は穏やかだが、どこか厳しさも感じさせる。
まずはグランツ家の系譜から。リオは家系図を前に、先祖たちの功績を聞く。
「リオ様のご先祖は、魔獣討伐戦で活躍し、王よりこの地を賜りました。以後、代々領民を守り、文化や学問の振興にも尽力してきました」
リオは、知らなかった家の歴史に目を輝かせる。
続いて、領地の地理や政治、経済についての講義。
「この地方は豊かな森と川に囲まれ、農業と交易が盛んです。貴族は領民の生活を守る責任があります」
バルトは地図を広げ、リオに土地の特徴や隣国との関係も説明した。
「難しいことも多いけれど……僕も立派な当主になれるかな」
リオは不安を口にするが、バルトは微笑んで答えた。
「努力を続ければ、必ずや立派な当主となるでしょう」