貴族の子としての朝―初めての授業と家族の誇り―
朝食を終えたリオは、メイドに案内されて屋敷の書斎へ向かった。大きな本棚と重厚な机が並ぶ部屋で、リオを待っていたのは家庭教師の老紳士・バルトだった。
「リオ様、本日から正式にお勉強を始めましょう。まずはグランツ家の歴史からです」
バルトは分厚い本を開き、静かに語り始める。
「グランツ家は、数百年前の魔獣討伐戦で大きな功績を挙げ、王からこの地の領主に任じられました。以降、代々領地を治め、民を守ることを誇りとしてきた一族です。
特に先代のご当主――リオ様のお祖父様は、魔法の才に優れ、数々の危機を乗り越えられました」
リオは自分がそんな家系に生まれ変わったことに、改めて身の引き締まる思いがした。
「……僕も、グランツ家の一員として恥じないように生きたいです」
バルトは優しく微笑む。
「その心があれば十分です。ご両親もきっとお喜びでしょう」
授業が終わると、リオは母・エレナと庭を散歩することになった。花壇の手入れをしながら、母は静かに語りかける。
「リオ、私たちの家は力だけでなく、民を思いやる心を大切にしてきました。あなたも、困っている人を助けられる優しい子に育ってほしいの」
リオは頷き、心に誓う。
「うん、母様。僕、頑張るよ」
こうしてリオは、貴族の子としての新たな一歩を踏み出したのだった。