殺人が仕事〜人が増えすぎて臨時で仕事になりました〜
〜2155年〜。
日本の人口は5億人を突破した。あたり一面高層ビルばかり、定点写真では緑が山が少ししか残っていない。
仕事は質を求められるようになり、クビの制度がポイント制になった。物価もうなぎ上り。
「本日のニュースです。星3です。星3が1億5000人を突破しました。この後14時から総理がこちらのニュースに関して緊急会見を行います。」
といたるところにあるモニターからニュースが流れた。星3とはホームレスに関するニュースについての暗号みたいなものだ。星3が出ると全国民が聞かないといけないと法律化されている。
ホームレスが5000人を超えてから発令し、ここ数年では公園にホームレスが住み着き外に公園を廃止。高層30階以上にしか設置不可となった。
「星3緊急会見が始まります。
本日星3が1億5000人を突破しました。この度臨時職業を発令します。星3討伐隊を結成します。各都道府県で収容されている殺人犯が対象で一人討伐当たり五年の刑期短縮。以上になります。既に開始し、必ず肩に星の入れ墨が入っています。」
ニュースを聞いていたホームレスは騒ぎながら一斉に四方へ走り去っていった。
星3討伐隊結成より少し前。
「君たちは先程説明された通り、星3の討伐をしてくれ。最後にもう一度要点を。
1。星3以外の殺害は射殺。
2。星3殺害後は先程渡したボタンを押してください。
3。反撃されても自己責任、病院は自腹。
4。お金が無ければ先程渡したピンクカードを使用してください。1万円ごとに刑期1年増えます。150年を超えるとすぐ死刑です。
5。お渡ししたナイフ以外、凶器は使用不可です。監視者が発見次第射殺です。
以上になります。では本日正午より釈放します。発表後に殺戮開始です。」
※「よし、僕も頑張りますか。」
・刑期 50年。
・殺人人数 15人。
・島 奏多15歳 女性。
奏多は昨日逮捕されたばかり、ニュースにも大体的に流れていた。
カシャンッ。手錠が外され、釈放された。左肩には赤色の星、我ながら綺麗な入れ墨だ。
「さて、この綺麗な入れ墨を隠してらダメって、隠す必要もないしショッピングからでしょ。」
ノースリーブ系の服とズボンはショーパンなど多数を買った。最初に着替えて店を出た服装は先程買った肩が出せる真っ赤なミニワンピとクロと赤のニーハイソックス。
外に出れば「連続殺人犯のかなタンだ!」と誰かが叫んだ。もちろん目立つ格好をしたが反応が嬉しく笑顔で手を振った。
タクシーを拾い、「一番近くの山まで」とピンクカードを出した。運転手は少し怯えたが、「ここからだと富士山しかないですよ。高速使って1時間くらいかと」
奏多は頷き着くまでひたすら眠った。
「お客さん、つきましたよ。」
富士山のふもとだった。奏多は降り、両手を広げ一息し、動物のように鼻をスンスンと空気を吸った。
奏多「いた。」ぽそっと呟き走っていった。向かった先には木に遮られたところに段ボールで寝ているホームレスの家族。
「ん~」風で木の葉がほっぺたに付き痒くなり起き上がったのは父親だろうか。
「なっ!」何か言おうとした瞬間。シュッ、奏多の一振り。丸い物体はホームレスの父親?の足元にゴトン。
その音に母親らしきホームレスが目を開けた先には父親?の頭が下を向いて切れた首が上を向いた状態だった。切れ口から血が滴りホラーだ。
しかし、叫ぶ間もなく右手に持ったナイフで心臓を一突き。叫びたくても左手に持っていた布を口の中に入れられ、「モゴモゴ」と何を言っているか分からないまま目から光が消えていった。
奏多「美しい。」と呟き寝ているままの4歳いくらいの小さな子供の股間を触った。「メスか、いらね。」母親の服を切り裂き口へ詰め込みながら猿ぐつわにした。
近くにある水道で血を流し先程の場所に戻った。
奏多「起きろ」少女をたたき起こす。少女は目を擦りながら父と母らしき死体を見て泣き喚いた。
奏多は無視し、別のタクシーを拾いに行った。
肩の赤い星をみて運転手が首を振る中、スキンヘッドのイカツイおっちゃんがピンクカードを見て、「どこまで?」
奏多はにっこりし、「埼玉の『カナエル』まで、これ臭いからプラスで1万上乗せしといて。」
そして泣きじゃくるホームレス少女(かなり臭い)を助手席に放り込み、後部座席でまた眠った。
「うぅ〜。」夕陽が眩しくて奏多は目を覚ました。辺りを見渡し、もうすぐ到着することを察した。「おっちゃん、『カナエル』本当に知ってるんだね。」
「えぇ。昔やんちゃしてた時に憧れて一度だけ行ったんだ。入るのに紹介がないと50万と言われて入れなかったんですよ。」
「ふーん。腕っぷし強そうだし支払い待ってくれるなら護衛として来る?」と聞いた。
「分かりました。ではカナタ様とお呼びしますね。車回して来るので少々お待ち下さい。」
どうやら話している内に目的地へ着いていた。広い敷地には昔はショッピングモールとして機能していた場所だが、撤退して今は『カナエル』のオーナーが敷地を持っている。
中には入れ墨の彫り師や、BAR、ボーリング場、カラオケなど不良の溜まり場としてもってこいの場所だ。
久しぶりに訪れた場所は懐かしさを覚えていると「お待たせしました。」運転手のおっちゃんが帰ってきた。奏多は頷いて中に入った。
向かった先はインフォメーションだ。ギャルが二人、携帯を触りながら駄弁っていた。奏多は真っ黒のカードを出すと「会員番号45番」とだけ伝えた。ギャルの内の一人がカードをスキャンして確認すると引き出しから折り畳まれた紙を出し、受付の隅に置かれたシュレッダーを指差した。
運転手のおっちゃんは不思議そうに眺めていると奏多は紙を見た後、シュレッダーに紙を入れた。紙がなくなったのを確認すると「3番の部屋を使用してください。開催日時等は部屋の中に記載しています。」奏多は頷くとその場を後にした。
エレベーターに乗り、一番上の階5を押し横にある暗証番号を二人に見えないようにピピッと押した。多分先程、受付で渡された紙に書かれていたのだろう。5階に着くと右は映画館のあった場所にセキュリティのゴツい男がスーツを着て立っていた。左には改装してホテルのようになっていた。一列で十部屋くらい並んでいる。
奏多は3の部屋まで行くと扉に先程のカードをかざした。部屋の中に入ると真っ先に机に置いてある紙へ目を通した。そしてホームレスの少女を風呂場へ連れてった。
「10分で入れ。おっちゃんはこのソファーで寝て。明日の11時までそこの檻に臭い女を入れておくから風呂から出たら監視とこの紙に書いてある情報を聞いて書いといて。」
そう言って奏多はベッドのある部屋に消えてった。
翌日おっちゃんこと濱田は言われた通りに少女の情報を記入して眠りについた。
朝早くに奏多が朝シャンをしに行くのを見たがその後朝ご飯を食べる事もなかった。
聞くのも変だったので少女にパンをあげた。
少女は諦めたのか大人しくしていた。11時になり奏多は部屋から顔を出てきた。
「行くぞ」とだけ呟き、濱田は急いで少女を連れて奏多の後について行った。なんと奏多の部屋の奥に扉があったのだ。扉を越えると廊下しかなく真っ直ぐに進んでいった。
途中に同じように扉があったが1・2と番号が振られていた。他の部屋とも繋がってるのだろう。
廊下を突き抜けると待合室になっていた。「島 奏多様、お待ちしておりました。お預かりしますね。」
ホームレスの少女を連れていき、数分後。「確認できました。では案内する部屋でお待ち下さい。」と言われスーツの男が案内した部屋まで移動した。
移動した部屋にはモニターが4つ並んでいた。
・映画館全体。
・液晶。
・ホームレスの少女の待合室。
・奏多のいる部屋。
濱田は監視されていると理解したが奏多は慣れた感じでくつろいでいた。
モニターから「続いてはエントリーナンバー8番、あの狂気の連続殺人犯が帰って来ました。島 奏多様より6歳の少女です。」とアナウンスがあり、奏多の紹介Vが流れた。
続いてホームレスの少女の内容が映し出された。
・名前 ほのか。
・年齢 6歳 6月26日生まれ。
・ホームレス。
・両親 死別(島様が殺害)
・処女。
続いて画面が変わると少女が真っ赤なワンピースを着ていた。
「島様の星3討伐隊の象徴赤の星に合わせて赤色のワンピースです。スタート価格は30万円からです。」
画面の右端は真っ黒だったが、紹介とともに30の文字と落札候補の欄は白紙だった。
映画館全体が映っているモニターからは仮面をつけた人たちが一斉に下を向いた。何か操作をしていると右端の数字が目紛しく変わっていった。
「……決まりました。ロット様で1050万円です。おめでとうございます。」
会場からはパラパラと拍手の音と悔しがる男がいた。すると入ってきた扉から案内した男がカートを引きながら入ってくると。「島様、1050万円になります。全額手渡しでよろしいでしょうか?」奏多は頷くと金額を確認もせずにジュラルミンケースの鍵と本体を持ち出口へと向かった。
スーツの男は奏多の後ろ姿に一言「島様、またのご利用お待ちしております。」と伝え深々とお辞儀をしていた。
濱田はまさかホームレスの少女を殺さずに連れて来たのがこのような結末になると思っていなかった。「カナタ様、『カナエル』とはオークション会場だったのですね。この後はどうなさいますか?」
奏多は「おっちゃん、人がいるところでそれ言うと殺されるよ。行き先は車の中で。」と伝えると「畏まりました。車を回しますので少々お待ち下さいますよう。」といい、タクシーを撮りに行った。
タクシーが前に着き、奏多が乗り込むと奏多は「取り敢えず敷地の外に出て。」濱田は「畏まりました」と伝え発進した。「取り敢えず近くの大きめの駅行って。後これ。」それは先程オークションで手に入れた50万円だ。濱田は驚き「こんなに貰っていいんですか?」すると奏多はしばらくの間専属としての費用だと伝えた。濱田はいきなりの金額に驚きはしたがそのまま駅まで走らせた。
駅に着くと少し待ってと言われた濱田はコンビニでご飯を買って食べてい待ってた。その間に奏多は駅のコインロッカーにジュラルミンケースを預け、中の200万円だけ抜き取っていた。
その後服と下着を買ってタクシーに戻るとどこでもいいから山に行ってくれと濱田に伝えた。
結局富士山の方が近かったので帰ることになっていた……。
移動中に速報が入った。「星3討伐部隊はこの二日間で8名しか討伐出来ず、二人重症で入院し一人死亡し7名になったため新たに10名追加されました。」
と速報が終わると渡されていた携帯が鳴った。メールが届いていた、内容はこうだ。
『新たに10名は右肩に星のマークが入っている。報酬は倍の10年の短縮。奏多の現在の刑期は42年。週1回刑務所に報告しろ。』
だった。「おっちゃん、富士山行く前にこの刑務所へ寄って。」濱田は頷き一度刑務所に寄った。
刑務所に着くと1番目に討伐したため、5万の刑期短縮と怪我が無いかの確認だった。
寄り道をしたせいで富士山に着く頃には日も暮れ夜になっていた。
「おっちゃん、二日たっても来なかったらこれで僕を探して。ポケットにさっきの駅にあるコインロッカーの鍵があるからお金持って行って。」
とだけ伝えると暗闇に消えていった。それからは暗闇に隠れながら8人のホームレスを順に殺して行った。
日中は目立つので近くを通りかかったお爺のホームレス一人のみだった。
富士山に帰ってきて次の日の夜。また殺しに回った。
寝っ転がって鼻歌を呑気に歌っているイケメンがいた。そろそろと近づく奏多。バレてないと思っていた次の瞬間「やぁ、隠れてないで出ておいで。殺し屋さん。」周りには誰もいないのがわかっていたので奏多のことだと思い大人しく従った。「君は連続殺人犯の島 奏多だね。」と言い、振り返ると左側の顔が火傷で醜い姿だった。
「君は放火魔の人?」と奏多は不思議そうに聞いた。「ピンポーン。精神面で誤魔化して無罪放免になったんだー。全部嘘だったけど。」
3年前に3つの都道府県を跨ぎ逮捕されたが意識が混濁していて個人の意思ではないと無罪になり政府はかなり叩かれていた。後に空き巣ばかりで死体は全部ホームレスと知り一部の間では英雄扱いだった。
そんな彼と少し話をした奏多は恋をしてしまった。でも話の内容は他愛もない内容で満足したのか彼は「じゃあ、殺し合おうか」と言うと飛び起きた。
彼は出会った時、星を幸せそうに眺めていた。
話している時は微笑む顔が可愛かった。
でも刃を交えると彼のニュースを思い出した。彼はかなり年上だった。確か3年前で32歳だったはずだ。
そんな彼も釈放後は職にもつけず3年もたってたのでガリガリだった。
もちろん奏多が負けるはずもなかったが……。
『グサグサッ』
それから更に1日半経過し朝日が昇ったとともに濱田は奏多を探しに行った。
結局あれから戻ってこなかったのだ。途中何度も黒服の人が山に入っては重そうな黒い袋を抱えて降りてきた。それも1日目の途中からパタリと止んだので嫌な予感はしていたのだ。
そして奏多から渡された機械のい矢印が向く方へ進んで行った。
「カナタ様。」
見つけた時は知らぬ男とお互いのお腹を刺し、二人の血が混ざり土は真っ黒になっていた。
「何二人で幸せそうに眠っているんですか。」
と悲しそうに濱田は文句を言って奏多の左肩の赤い星が見えるように二人の写真を投稿した。
『永遠の愛と心中』と題して。
―おしまい―