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考察・1 豊臣秀吉は果たして言うほど黒か?

 えー本作を読んで下さり、ありがとうございます。そして申し訳ない。本能寺の変について、そして当時の羽柴秀吉の城攻めや周辺状況について、前提の知識が無いと、本編は理解が難しいと思います。さらに小説として最悪な事に、本編より解説の方が明らかに多いです。どちらかと言えば、本作は小説と言うより新説の提示になっています。テーマが歴史と手紙ですので、ルール違反ではありませんが……小説としてはどうなの? と私自身思っています。オマケに逆張りオタクめいた説ですので、興味ない人はブラウザバックを押して、帰っても大丈夫ですよん。


 さて、歴史ミステリーとして有名な本能寺の変ですが――まず実行犯は『明智光秀』であり、被害者……謀反を起こされ、本能寺で死亡したのが『織田信長』です。当時の『羽柴秀吉』は『城』の上流にある川をせき止め、城を包囲して兵糧攻めを実行していました。既に数か月以上が経過し、敵方はかなり参っていた。

 なので、秀吉は実行犯ではないのですが……その後の様々な行動により『黒幕は秀吉』と言う説は、まことしやかに囁かれています。この日本歴史上の大事件はは、まだはっきりとした答えの出ない問題の一つです。ですが私、何度か考察を重ねる内に……秀吉は言うほど疑わしいだろうか? と言う考えに至りました。


 秀吉はこの後、大出世を遂げ天下人にまで上り詰めます。日本を収めるトップになった……その野心のために、織田信長を蹴落とし、謀殺を企んだ……これが秀吉を黒とする場合における、最大の動機です。

 ですが、これはどうなのでしょう? 確かに最終地点を考えると、織田信長が存命では……彼が天下統一を成し遂げ、その後の基盤引き継ぎも織田一族が行うでしょう。問題は……その展開って秀吉にとって不足のある状態なんでしょうか? って所なんですよ。


 織田信長が謀反で死亡した時期でも、既に秀吉は立派な侍として、織田信長の重鎮としての地位を得ていました。城を手にし、家族も立派な屋敷に住まわせ、何万石も所領を手にしていました。

 そう――『天下人』になる前段階でも、既に秀吉は破格の出世と褒章、地位と権限を――信長の庇護下とはいえ、きっちり獲得しているんです。この段階で、十分すぎる大出世と評価を得ているのです。信長が天下人となったとしても……腹心の部下として仕える。それで人によっては、十分じゃないでしょうか?


 ――これがもし『秀吉は農民産まれだから』と言う理由で、織田家から過小評価されていた……って状況があるなら、秀吉黒幕説はより濃厚になったと思います。この主に仕えても自分は出世できない、正当な評価を受けれない。だからブチ殺して出世する――そういう構図が出来たと思います。でも信長はそうじゃ無いんですよね。生まれ云々は気にせずに、使える人間に地位と出世を約束し、十分な恩恵を与えているのですよ。

 そしてもう一つ、考えられる事があるのです。

 後の『豊臣秀吉』――当時の羽柴秀吉って、知恵者としてのエピソード、多いですよね?


 これは印象だけではないでしょう。実際に能力があったからこそ、織田信長の下で出世できたのです。真偽は定かではありませんが、その前提で考えるなら、一つ想像できる事があるのです。

『織田信長』が『秀吉』に与えている待遇は、極めて特例的で、なおかつ『織田信長』で無ければ、あり得なかった状況です。『知恵者』の秀吉が、この事実に気が付ない訳が無い。

 当時の戦国時代は……乱れた世に下剋上が盛んに起こり、商人が大名にのし上がる事態も起きる時代です。が、血族主義が完全に消失した訳でもない。武士や武家による階級主義も、完全に無くなったとは思えません。


 その社会背景の中で――織田信長がイレギュラーな事は、今を生きる私たちでさえ知っています。愚か者ならともかく……知恵者で、後に未来の天下人となる秀吉が、信長が自分に与えている好待遇を、自覚できない訳がありません。あの時代、あの環境で、織田信長以外の大名が……秀吉に対して、信長以上の好待遇を与える事は無いでしょう。

 つまり――秀吉は『自分にとって最高の主に出会えた』事を、間違いなく自覚しているのです。他の大名と交渉する場面も何度かあった秀吉です。武士の古い階級社会や、因習に触れる機会もあったでしょう。そうした『因習』や『階級主義』『血族主義』を目にした秀吉は、ますます信長への恩義と忠を厚くするのではないのでしょうか?


 我ながら、なかなかセンチメンタリズムな想像だと思います。感情寄りと言うか、甘ったるい妄想と言われても、正直言い返せません。が……やっぱり何度考えても、秀吉が信長を謀殺する……と言うのは、腑に落ちないのです。

 とはいえ、こうして感情的、文化的な白要素を提示しても、物的証拠や、秀吉に掛かっている黒要素を取り上げなければ、説得力はありません。

 次の章では……秀吉が『黒だ』と言われる要素の一つ……『織田信長亡き後、織田家重鎮たちへの冷遇』について、考察を述べたいと思います。


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