story1-4【どうでもいいけどタバコが吸いたい】
誤字を修正しました。
見事なフラグフラグ回収により現れたインモラルは全喫煙者の敵、ついでに禁煙者の敵でもある。
この世には喫煙者か非喫煙者しかいない以上、この世の敵と言っても過言では無い。
「「スモーキングパワー、メーイク、アップ!」」
美恋のバイト制服がエメラルドグリーンの光になり、弾かれては霧散し。同色の浴衣のような、浴衣よりも遥かに短い丈の上着が形成され。濃い紫の帯と濃い紫の短いスカートが形成される。
隣ではひかるが。薄めた海のような青い、真っ青な光に包まれ、霧散し。セーラーの可愛らしい制服に純白のリボン。丈の短い青一色のプリーツスカートが広がり、ベルトには携帯灰皿とタバコケース。くたびれたローファーはゴスロリチックな厚底のパンプスに、アキレス腱付近にリボンという可愛らしい出で立ちに変わる。
「地図の暗記は喫煙所から、キュアiQOS!」
美恋がポーズを決める。
「食後のタバコはみんな幸せ、キュアハイライト!」
ひかるもポーズを決める。
全く、休憩早々タバコを吸っておいて良かった。
「「参上!」」
ハモった。最高に決まったと思う。
「ダァァァマァァァァエェェェェェェエ」
最早言葉として伝わらない奇声にも似た声を上げインモラルが振りかぶる。バックステップで避け、美恋が1本どうぞ!で撃ち抜いた。
つもりが。
「な、、、!?」
あっさりと弾かれ新しいヒートスティックが虚しくも地面へと落下する。
「どうして!?最高難易度の技なのに!?」
そう。紙タバコ勢にとってiQOSは床に捨てても構わないゴミと等しい。
「アホか!それは紙タバコでこそ価値があるんだ!」
そう叫んだひかるは、けれども決して自分のタバコに手を伸ばさない。
「じゃあどうするのよ!?」
「こうするのよ」
徐に愛用のオイルライターを取り出し、着火。
「炎の剣!」
オイルライターで着火した炎はレイピアの様に細く長く伸び、剣となる。
「消し炭にする気!?」
「正っ解っ!」
レイピアの様に細く長く、高温の炎をひかるは力任せに振るう。最早思考もなく、腕を振るうしか能のないインモラルを躱し。
「うおぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉお」
女の子らしくない雄叫びでもってライターを薙ぐ。
鮮やかな青い高温の炎がインモラルを切り裂き、燃やした。
それは悲鳴なのか。それとも雄叫びなのか。言葉として成立しない叫びを上げてインモラルがオレンジ色に燃え上がる。
火災報知器が作動した。
一方その頃。
《火事です・火事です・火災が発生しました・安全を確認のうえ・避難してください》
フォンフォンと火災報知器がけたたましい音を鳴らしている。
「何があったでござる…」
概ね予想は付いているが、物語の進行上声を出すべきだと判断した希望。心構えだけは作家だった。
・▽・
「アホか!?アホなのか!?なんで炎の剣なんか室内で使ったんだよ!?」
警察、消防、お客様対応に上長報告が終わり、四人が一息ついたのは閉店作業開始の前。こんな事なら自分で対応すればよかったとわかばは思う。
「美恋の技が効かねぇんだもん、仕様がねぇじゃん」
まだ微かに薬剤の香りが残る店内。口論するわかばとひかるに美恋は口を挟めず、静かにその場を離脱して閉店作業に入った。
「どうでもいいけどタバコが吸いたいでござる…」
アカウントのIDandパスワードを忘れてました。
読みたいという声で思い出しました。
応援の声は力になりますね。
喫煙者としては応援されたことないけど。
お待たせしました、更新ちゃんとします。