表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

316/486

シオンの兄


 言われてみてジーナは手を動かし足を前に出し元々回転数の低い頭を回し確認してから答えた。


「まるで感じないです」


 答えにルーゲンが嬉しいためか微笑みジーナもまたいつものように満足感を覚えるも、思う。


 自分がそうするならともかく、どうしてこの人が微笑むのだろうか、と。あなたと私は違うというのに。


「なら安心しました。ここにきて君に制御が掛けられましたら予定が狂いかなりの苦戦となるところでしたからね。予定通り君が中心となって動き」


「俺は、動けるぜ」


 隊列からブリアンが一歩前に出た。


「僕もです」


それからアルにノイスも出て来るも三人ともに苦痛を顔に浮かべている。


「二度目の段階で動けるようになるとは……これは心強いですね」


「次は一度目で動くように、する。その次は鳴る前に動く」


 ブリアンは途切れつつそう言うと後ろから来たアルとノイスがその身体を支えた。


「無理をするなブリアン」


「無理じゃねぇ。そうすれば二番手として同行して龍の前に行ける」


 何故こいつは私の邪魔をしようとする。私は一人で、いいというのに……ジーナはそう思うとノイスと目が合った。


 ノイスは無言であったがその視線に非難の色を感じジーナは後ずさりをする。


「ブリアンの強がりはともかく僕とノイスは後続としてついて行きます。僕は旗持ちですからこの場合は特に役には立たないでしょうが」


 アルの言葉を聞き頷いたルーゲンは三度目の鈴を鳴らし隊員達は動き出した。


 それは再びの出発の合図であり走ることが不可能なため一同は歩きだす。場に相応しくないぐらいにゆったりとのんびりと。


 事前の説明で間取りは聞いていたももの暗さのために更に広さを感じ、また歩きのためにどこまでも広大なものと感じさせた。


「……まるで龍が歩けるようになっているような広さだな」


「それはそうですよ。龍となったものが住む場所なのですから」


 独り言をつぶやいたのにあまりにも静かすぎるために隣のルーゲンに聞かれジーナは恥ずかしさを覚えた。


「なんとも間抜けなことを言ってしまい失礼。静かにしないと」


「いえいえいいのです。こんなに重っ苦しい雰囲気なのですから気を紛らわすために話ができるのならした方が良いのです。あちらのほうはこちらの侵入を既に把握しているでしょうし隠しても仕方ありません」


 その声も小さいはずなのに静寂さから跳ね返されたように大きな音として耳の中に入ってきた。


 まるで音に餓えた耳が全ての音を拾っているかのように貪り食らいつく。


「しかしそういったジーナ君の感想は新鮮ですね。我々にとって自明なことを言うので驚きと発見がありまして……ああそうだ君ですから説明しませんでしたが、この先に武器を携帯している戦士がただ一人だけいます」


 重大すぎることだというのにその声と言葉はあまりにも軽く些事であるかのようでありジーナは言葉を失った。


「龍の騎士ですよ。何故龍の騎士というものがいるかといえば、これは常識なので誰も敢えて言いませんが、龍を護衛するためです。だからこそただ一人武器を持つことが許されている」


 龍の騎士と聞いてジーナはシオンを想像し、あの日の長廊下での寸止めの衝撃が胸によみがえった。あの時の言葉とはこの掟のことであり、だから常に帯刀しているのかと。


「あの、それは言い忘れてはならないことなのでは?」


「どうでもいいと思いまして」


「そんなわけないでしょうに!」


 一体どうしたのだこの人は! とジーナはルーゲンを凝視するとあちらは振り返って笑った。


「フフフッ申し訳ない。言い忘れてはいません。わざとですよ。龍の間に入ってから話そうと思っていました。龍の騎士といいましても、偽龍のようにそれもまた龍の偽騎士です。シオン嬢の足元にも及びません。シオン嬢にとっては不肖の兄で、ご両親からは放蕩息子、それが彼です。ジーナ君はシオン嬢から兄の話をお聞きしたことは?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ