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これ狙っていません?

「また変なことを言い出してからに。男同士が好きって。あなたって昔から暇になると男同士の関係をそんな目で見始めますよね。あの男のどこに好きになる要因があるというのですか」


 と言いながらシオンはハイネを見ながら更に言った。


「ハイネは、そう思いませんよね?」


「あっ……その私は、そう思いません、いえ思います」


「どっちなんですか? まぁヘイム様もそんな下らないことなど考える必要はありませんよ。好きと言っても男同士なのですから友情どまりですって、進むはずがありません」


「ではその範囲内で話すとしようか。二人の馴れ初めはよう知らんがいつなのだ?」


「言い方がもう……さあ私は知りませんね。そもそもジーナは護衛の頃からの知り合いましたしそれ以前のは」


「以前ルーゲン師からお聞きしたのですが、シアフィル砦で解放戦線と合流してかららしいですね。解放戦線に砂漠の果てからのものがいると知りルーゲン師が興味を持って接触を図り、交流が始まったと」


「ルーゲンがナンパをしたわけか?」


「ですから言い方が。そこからはじまって講師となってジーナを龍の護衛に就ける努力をしたわけですね。こう見るとジーナにとって大恩ある人というわけですか。なら仲が良いのは別に普通ですよね、普通」


 シオンは変な方向に話が流れないように強調するがヘイムは手紙を取り上げ続きを口に出して読み出す。


「『敵から逃れ霧を抜け馬車は草原を疾走していきます。時間が無いとしか思えない状況なので限界まで馬を走らせますが速度のために馬車は揺れその度に隊員は体勢を崩し痛がっていますがルーゲン師だけは座ったままの姿勢を保っておりこれが修業の賜物かと感銘を受けました。


 夜になり睡眠をとることになった際にルーゲン師が一人離れて横になっていたのですが、不意に目が覚めると隣に誰かいると感じたら私の隣にルーゲン師がいました。私が声をかけようとするとその瞬間に目覚めたのかルーゲン師が静かにと唇に指を当てました。夜は冷えますので傍に来ましたと言いましたが、従者の傍ではと返すと、あのものは疲れているので休ませてあげたいしそういう姿を見せたくないともいいます。それで何故私なのですか? また返すとルーゲン師はニコリと笑ってこう言いました。


 別にあなたに弱みを見せても僕は気にならないしあなたも気にしませんよね? そういう仲ですし。だから僕はここに寄ったのですよ。言って目を閉じました寝息をたてました。ルーゲン師は意外とこういうことを言うのですね』と」


「ここまで受け入れているのならあやつがルーゲンと結婚すればいいのではないのか?」


「性別!」


 シオンが叫ぶとその隣でハイネが言った。


「これ狙っていません?」

「ハイネ!」



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