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同じく不信仰者であったら、どうします?

 異論はあるにはあったがここでそれを言うことはできなかった。形式はなんでもよくただ前線に居られるのならば


「私はそれで構いません。どうか上にはそう言って貰えれば」


「頭を下げることは無いですよ。これぐらいなんでもないことです。僕としましては君が変わらず最前線で戦ってくれることに感謝したいです。ありがとうございます」


「いや、そんな感謝などされても恐縮ですからやめてください」


 本当やめてもらい貰いたいと止めるとルーゲンはすぐに顔をあげた。


「謙遜ではなく君が本気でそう言っているのが僕にはいつも不思議です。そうです、君は心の底から感謝はいらないと思っている。不思議ですよね、信仰心がないというのに。あそこまで誰よりも戦えるだなんて」


 そう言うとルーゲンは暫くジーナを眺めだし目を細めた。


 左右の大きさの違うルーゲンの瞳はその時は同じ大きさになるも、そこにジーナは何か不安がよぎりだした時にルーゲンは口を開かずに尋ね出した。


「君は、そう君は、もしも僕に龍の信仰が無いとしたら、どう思いますか?」


「そんなはずはないです」


「どうして?」


 どうしてもこうしても、とジーナは焦った声が出た。


「だってあなたは龍のためにあれほどまでの苦労して」


「それは君も同じですよ。いやむしろ君よりも苦労はしていないと思いますけれど」


 この人は冗談を言っているはずだとジーナはルーゲンの細目を凝視するもそこに嘘の色が無いことに恐怖する。


「いや苦労といいますが祈りをあれほど捧げて」


「跪いて掌を合わせたり組むことなど形だけなら耐えれば誰でもできます。僕はその時に心の中で舌を出しているかもしれませんよ」


「そんなことはない!」


 ジーナが叫ぶとルーゲンの瞳は大きく見開かれた同じであってはならない、そうであってはならない。私達は、同じものであってはならないんだ、とジーナは心の中で祈った。


「私にはルーゲン師がそのような人には到底見えません」


「僕にはジーナ君がそのような人には到底見えない」


 ジーナは衝撃とともに言葉を失いルーゲンは立ち上がった。


「ではここで失礼するよ。前線の件は僕に任せていいから安心して。まぁ大丈夫だよジーナ君。僕は君の望みを全面的に後援しますから」


 そう言いながらルーゲンはジーナの右手をとり持ち上げ、立たせた。


「僕は龍身様にとっては龍を導くものであり君にとってはそうだな……龍のもとへと導くものとなろう。だから共に行こうジーナ君……中央の龍のもとにね」


 その言葉に対してジーナはただ一度頷いた。

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