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モテる人。  作者: 静香
第一章 王道モテ!狙った獲物は撃ち落とす
2/2

第二話 女子校の王子様

今回のモテモテーマは女子校の王子様です!

イケメン女子にも、色々と悩みがある様です

フラッと立ち寄って読んでみてください!

それではお楽しみあれ〜






MVの撮影が終わり、矢郷(やごう)露杏(ろあん)を連れて行く

居酒屋の目星を付けていた。美味しくて静かで

気を遣わせず、警戒心を最大限低下させる場所…


「なぁ、女友達から彼女枠にしたい子を連れて行く

居酒屋って無い?…気を遣わせないけど美味くて

静かでくつろげるような感じのところ。」

「ねーよ、お前ばっかモテやがって…」


同じバンドメンバーの黒田(くろだ)が恨めしそうに俺を見るこいつは顔はいいが、全くモテない。

ウチのバンドはメンバーは5人いる。

全くモテないイケメンの黒田、こいつはボーカル。

短髪で色黒、筋肉質な体つきのガテン系

ギャルにばっかり声をかけられるが、好みは清楚。

清楚系ビッチにもよく引っかかっている。


次に信じられないくらいモテるベースの坂尾(さかお)

こいつはモテるけどずっと同じ女と付き合っている。

見た目はKPOPアイドルみたいな感じ。どうでもいい

けど、ずっと同じ女を大切にする人ってモテるよね。


次にモテないし女に興味ない色気全くないドラマーの

丹嬢(にじょう)。こいつはとりあえず女が嫌い。昔は死ぬほど

モテてたけど鬱陶しくなったらしく、今は女のいる

飲み会や遊びには一切参加しない。女嫌い。


そしてもう1人はキーボードの蒼時(あおと)。こいつの事は

誰もよくわからない。謎多き男。普段から喋らない。


「しかもあの露杏ちゃんと!!飯!!」

「俺飯の相手言ったっけ」


不思議そうな顔をする俺に黒田はじっとりした

視線を向ける。こいつは根っから露杏信者だからな


「お前がそこら辺の女と飯行くのにわざわざ店を

リサーチするわけ無いだろ!!同じ店で一回で

口説き落として終わりなんだから…でもそこまで

気を遣うって事は大切な"お友達"…露杏ちゃんだろ」

「すげぇな黒田、ご褒美にキスしてやろうか」

「いらん!!死ね!!」


黒田とわちゃわちゃしているとスマホが鳴った。

ディスプレイを見ると、露杏ちゃんからだった


「もしも『矢郷さん、見つけました!!!』


露杏ちゃんの声は、隣にいた黒田まで聞こえている。

ただでさえハイトーンボイス露杏ちゃんの興奮気味な

声で耳がつんざけるかと思った。


「露杏ちゃん、声デカ『"女子校の王子"です!!』


今回の飲み会も、楽しくなりそうだ

俺と露杏ちゃんはその日の夜、目黒にある居酒屋に

集まった。露杏ちゃんは先に来ていた。


「お疲れ様です」

「おつかれ…」


フワフワの白いニットにタイトなキャメルカラーの

短いレザースカート、ブランド物のショルダーバッグ

靴はスカートと同系色のブーツ。

長い髪は艶やかに纏まり、肌は毛穴ひとつ無い。

化粧はナチュラルに見えるが、

毛穴レスな肌に見せる透明感メイクだ。

爪はトップコートのみ。ケアを怠らない美しい指。

ネックレス、ピアス、時計はキチンとしたものだが

ノーブランド品だな。割とよくあるデザインだ。

高級品を使いすぎると卑しく見え、金持ちも普通の

男も寄ってこない。バックだけにする事で物持ちの

いい、お金のかかりすぎない子をアピールできる。

髪は恐らく両側にいる人で流す向きを変えている

無防備な首元や鎖骨がチラ見えすると男は自分に

心を許してると勘違いするから。相変わらず、完璧だ


「秋コーデ、美容室3日以内、香水変えた」

「全部正解!!さすがです!!」


この子は、モテに生きている

男の視線を釘付けにする抜群のプロポーションも

顔立ちの豊かさもないが、仕草ひとつで簡単に

男を落とす。この子はいわゆる、魔性の女だ。


「矢郷さんも、今日も素敵です」

「今日は適当、ごめんねこんな格好で」


適当、というのは適切に当たる、という格好を指す

柄シャツに、サングラス、黒のスキニー


「適当…ふふ、嘘つき」

「バレた?」

「当たり前です」


全部、超有名海外ブランドの新作だ。

今日露杏ちゃんに会うことを考えて卸してきた


「私の目は誤魔化せないですよ!」


不敵な笑みを浮かべて、見つめ合う

俺には本当に、この子が合ってると思う。


「すみません、遅れました」


そこに現れたのは、まるで若手俳優のようなイケメン

でもすぐに女だとわかる。簡単だ、腰の線が違う。

ただ、俺でも一瞬本当に男かと思うくらいの身長と

顔立ちだった。露杏ちゃんに先に聞いてなかったら

めちゃくちゃ態度悪くしてたかもしれんな、俺。


菅田朱音(すだあかね)です。」





「改めて紹介します。元女子校の王子であられた、

菅田朱音さんです。年齢は私の2個下の22です」

「よろしくお願いします」


切長の目、黒髪の短い髪、綺麗な肌、スラリと

伸びた身長、長い足…どこからどう見ても

イケメンな今風の男の子にしか見えない。


「矢郷雲雀です。よろしく」

「知ってます!bloodychainのギターですよね」

「お、嬉しいね。ありがとう」


ニコリと笑った顔に笑い皺が刻まれる

女の子はこの飾り気の無い笑顔にイチコロらしく

私は矢郷さんの笑顔を"ニッコリ沼落とし"と呼んでる


「お2人は、恋人同士ですか?」

「んーん、友達…いや、恐れ多いな。師匠!!」

「友達だよ。大事な友達」

「矢郷さん…!!」

「本当の事だよ。狙ってる子でも無い限り俺

友達でも無い女の子とサシで飲みとかできないし」

「私も矢郷さんの事とても大切です…!!」

「いいから、菅田さんはどこ繋がりで?」

「今日付で、入社してきたんです。このスペックで

女子校にいたって言うんで、聞いてみたら楽しい話が

聞ける聞ける…矢郷さんと、シェアせねばと!!」

「ふーん?俺も聞いていいの?」

「まぁ、過去の話で良ければ…」








case2 菅田朱音(すだあかね)BBSテレビ美術スタッフ





「ふぅ…」


17歳の私は、悩みを抱えていた。漠然とした、

どうする事もできない…大きな深い悩みを。

「ちょっと、あんたがため息吐くとお嬢様達が

馬鹿みたいにうるさいんだからやめてよね!!」


辛辣な言葉を吐く友達に反撃しようと、立ち上がる

いきなり立ち上がった私に、クラスの視線が集中する


「だって!!」

「キャー、かっこいい♡」

「どんなお話してるのかしらぁ?」


私は座って、机に頭を突っ伏した。

私は悩んでいた。山陰の人里離れた場所にある

お嬢様が通うカトリック系ミッションスクールでは、

自分の性のあり方すら決められないほど

窮屈な生活を送っていた。

毎日の礼拝、雑巾がけ、食前の祈り、重たい鞄

そして何より、お嬢様達の存在は厄介だった。


「見て、紅薔薇の君よ!」

「本当だ、今日も素敵…♡」


私達のグループは、私を含めみんな共学出身だった。

それもあり、自分のグループでは全くモテなかった

問題は、グループ以外のお嬢様達だった。

みんな中学から持ち上がりで女子校だったためか、

恋愛対象が女である事もしばしばあった。

そして更に、共学出身の子からもイケメンだ!と

モテはやされていた。


「キャー!!////」


体育の授業では、女の子達の注目の的だった。

放課後の部活や体育祭では写真を撮られまくり、

私の写真が高値で取引されることもしばしばあった。

ファンクラブなるものがあり、抜け駆け禁止で

お話したら正直に記録するというルールがあった。

私を題材にした少女漫画やら創作小説やらが出回り

体操服に着替える時あまりにも見られるので私は

三年間トイレで着替えをしていた。

文化祭では執事の格好をさせられ、調理実習が

どこかのクラスである度に机にお菓子が集まる。

バレンタインなんか、机も下駄箱も体操着入れや

鞄でさえチョコレートでパンパンに詰まっていた。

1番困ったのは登下校、偶然を装った女の子達が

家の近くまで着いてきてしまう事だった。

住所に手紙やらプレゼントやら贈られ、一度は

集団で押しかけてきた事もあった。

長期休みの前は告白の列ができ、連絡先は

勝手に高額で売られていた。

もちろん、そんな生活で彼氏どころか友達とも

思うように過ごすことができなかった。


「ウチらまで色々言われて…疲れる」


迷惑そうにして離れていった子もたくさんいる。

でも、閉鎖的な規則の厳しい学園で生活する

女の子達は、唯一の娯楽である私の気持ちなど

考えてくれるはずもなく、私の自己肯定感は

3年間の間に地の底まで落ちていった。

あの生活をした私がこれだけは胸を張って言える。







「女にモテても一つも嬉しくない!!!!!」


お酒の進んだ朱音ちゃんはビールの泡のついた

口元を拭いながら大きめの声で言った。


「性的にはやっぱり女の子だったの?」

「そう、昔からスポーツしてたから短髪で身長も

小学校卒業する頃には170cmを超えてたんです。

スポーツ特待を理由に女子校に入学したんですけど

本当失敗しました…私だって、カッコいい彼氏と

登下校とかしたかったのに!!」

「あー、それはそうだよねぇ」


矢郷さんは私の口元についたソースを拭う

キュンとくる仕草にムカついて仕返すと手を引かれ、

おしぼりで手を拭かれる。いきなり女性扱いされて

思わずキュンとしてしまう。手のひらで転がされる

私を無視して矢郷さんは会話を続ける。


「やっぱ女の子ってそういうのに憧れるんだ」

「そりゃそうですよ〜」

「露杏さんも高校生の時、彼氏とかと登下校とか

行事ごとではしゃいだりとかしましたか?」

「いや?中学の時はしたけど、高校ではもう大人の

男の人と付き合ってたからな〜」

「え〜!?どこで知り合った人ですか!?////」

「その人は友達のお兄ちゃんだったよ!!」

「ていうか、学生時代の露杏さん見たい〜!!」

「写真あるよ、見る?」

「うーわすっげぇ。学生時代の写真見せれるのって

マジで顔面に自信ある子だけだよね」

「余計なこと言い〜、意地悪!」


むくれる私の頬をつつき、悪戯っぽく笑う

顔が良い〜、許す!!


「いやマジそれっす…うーわ、可愛い〜…モテそ〜」


高校生の時とにかく大事なのは、ノリと肌。

白い肌と透けるような透明感が大切で

友達からの誘いには行くけど男の子が来る

誘いには基本行かない。5回に1回くらい行くと

彼氏と別れたと思い込まれてめちゃくちゃモテる。

成績は中の上、字が綺麗でシンプルな持ち物の

中にキャラ物の文房具をいくつか忍ばせる。

可愛い字と休み時間の連れションでは全力で

ナチュラルメイクを直し、髪はボブヘアー。


「高校生で大事なのはとにかく透明感と萌え袖よ」

「あー、萌え袖してる細身な女子は基本モテるよね」

「女子高生の敵は基本日焼けだからね」

「高校生の時の自分に聞かせてやりてぇ…」


朱音ちゃんは高校生の時の写真を見せてくれた

うわ、これはモテるの仕方ないわ。

切長の目、浅く焼けた肌、黒いジャージに身を包み

歯を見せて笑っている。なんて爽やかイケメンだろう

配達員だったら絶対にナンパするだろうなぁ〜


「可愛いね」


矢郷さんの言葉に朱音ちゃんの手が止まる

一瞬で顔を真っ赤にして、目をまん丸にする。

あーあ、本当この人手癖悪いんだから!


「か、可愛い…!?////」

「うん、可愛いよ。」


さすが矢郷さん。女性を褒めるタイミングが完璧だ。

朱音ちゃんはもう矢郷さんの次の言葉を待っている

関心の寄せ方が本当に上手だ。


「まず、普通の恋愛をしたいっていう希望が女の子

らしくて可愛いよね。肌も綺麗で髪もツヤがあって

モデル体型だし…あとシンプルに顔が可愛い」


ジッと目を逸らさず、ツラツラと褒める

そんなアプローチを受け慣れていない朱音ちゃんは

怒涛の褒め言葉に胸をときめかせる。

そしてフッと砕けた笑い方をして視線を逸らす


「俺があと10歳若ければな〜」


これ。矢郷さんの行く人と行かない人の違いはこれ。

これはつまり、あなたは恋愛対象じゃないですよ!

という事を暗喩しているのだ


「矢郷さん、朱音ちゃん相手に変なテク使うの

やめてくださいよ!見るからに純粋なんだから、

からかってるように見えますよ。」

「ああ、ごめんごめん、本当手癖でね。」

「いや、めっちゃドキドキしました…凄いですね、

やっぱり矢郷さんモテるんですか?」

「矢郷さんはね、モテるなんてもんじゃないよ」

「いやいや、露杏ちゃんに言われたくないよ」


矢郷さんはお手洗いに立つ。このタイミングで

お手洗い…私から、やんわり伝えろという流れか。


「ごめんね朱音ちゃん、ビックリしたでしょ。

矢郷さん本当に誰にでもあんな感じだから…」

「いえ、全然!…あの感じって、私は恋愛対象では

無いっていう事なんでしょうか?」


この子、本当に純粋だな。私は苦笑いして頷いた。


「うん、たぶんそうだと思う」

「そっかぁ、久しぶりにときめいたのになぁ////」

「ごめんね、本当」

「いえ…お友達って事は、露杏さんも前に同じ事を

言われたことがあるんですか?」


私は朱音ちゃんの何気ない質問に言葉を詰まらせた


「いや、私は…「お待たせ」


矢郷さんは相変わらず、本当にイケメンだ

100人ナンパしたら100人彼に引っかかるだろう

こんなかっこいい矢郷さんと、間違いを起こさない私


『露杏さんも前に同じ事を』


私は朱音ちゃんと笑い合う矢郷さんを見ながら

昔、矢郷さんに出会った時の事を思い出した。


『露杏ちゃんを彼女にする事は、俺の中では絶対に

あり得ないんだよねぇ。絶対絶対、あり得ないなぁ』

「露杏ちゃん?」


私は矢郷さんに呼ばれてハッとした。


「そろそろお開きにしましょうか!」

「?…そうだね、もうすぐ24時だし」


私は朱音ちゃんとタクシーに乗った

タクシー代をまた握らされ、勝手に車を出される

次の約束もないまま、私たちは明かりの灯る家に帰る

いつだって、壊れてしまえる儚い関係だった。


「矢郷さん、やっぱかっこいいなぁ。優しくて

余裕があってかっこよくて…周りにいないタイプ」

「…よければ、連絡先教えるよ」

「え?」

「そのままでも可愛いけど、プロデュースするから

次は矢郷さんの好きな感じの格好して、デートに

誘ってみたら?とりあえずデートするタイプだよ。」

「…あの…本当に矢郷さんとは何もないんですか?

私の目から見たお二人は、カップルみたいな距離感

にしか見えなかったですけど…」


私は曖昧な笑みを返した。でも、ちゃんと答える

べきだと思って喉を焼くような言葉を吐いた


「私、初対面でフラれてるから…本当、今日の

朱音ちゃんなんか比じゃないくらい、こっぴどく」

「そうなんですか…」

「うん」


矢郷さん、あの時どうして

私をわざと傷つけたんですか

矢郷さん、初めてあなたに会った時から

私はずっと


「今は矢郷さんが幸せになるなら、それでいいんだ」


あなたの隣に、私が立てたら

叶わないとわかってても

願わずには、いられないんですよ。


以上、今回のモテモテーマ『女子校の王子様』でした!

実在するんですよね〜、イケメン女子

ウチの学校にもいましたよ!

本当に腰の位置から違うんですよね笑

尚、この小説は実際のモテインタビューを

元にしているのでめちゃくちゃ期間が開きます

だから本当にぼんやりとしたペースで更新します☆

暇な時にどうぞ覗いてみてください〜

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