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第八話 「テロリスト盛り盛り その一」

正直難産、でも新しい事には積極的に挑戦して行きたい。

そんな気持ちで更新です。

 ―――――時は少し遡る。



 リューセンとファランクスがフレンド登録をする少し前、リューセンは爆破テロの犯人をクランメンバーである『ダンジョー』と言う人物だと話してしていた。

 確かにそれは事実であり、ダンジョーは大聖堂の爆破テロを計画、実行した犯人であるが実のところ単独犯と言う訳では無い。

 教会への襲撃犯はダンジョー以外にも複数いたのだ。







 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







 ドッガァーーーーーーーーーンッ!!!!!




「みぃーんなぁーーーッ! こんばんジョーーーッ!! 『禁呪工房アトリエ・キープアウト』所属、バーチャル配信者の『火薬庫(ひだねや)ダンジョー』だよーーー!!」




 落雷の様な轟音が響いた後、間髪入れずに姦しい声の自己紹介が響いた。

 声の主は、黄金色の耳と尻尾を持った少女だった。



:こんばんジョー!

:こんばんジョー!

:こんばんジョー!

:安定の開幕爆破w

:禁呪工房をV企業みたいに言うなw



 彼女が可視状態に設定しているシステム画面に流れる様に短文のメッセージ―――『コメント』が流れて行く。

 先程の自己紹介通り、彼女は『バーチャル配信者』と呼ばれる存在の一人であった。






 『バーチャル配信者』


 動画投稿サイトなどで動画の実況配信をする者の中でも、自らの分身である二次元のキャラクターを通して動画配信を行う者たちの総称だ。

 このバーチャル配信者と言うものは二次元の分身を通して動画配信を行う性質上、自分好みのアバターを作成しその姿でゲームの世界を冒険するVRMMORPGとは非常に相性が良く、現時点でも数多くのバーチャル配信者がこのエタニティ・メモランダムの世界で活動している。

 『火薬庫ダンジョー』もそんなバーチャル配信者の一人であった。



「はーい、それじゃあいつもの開幕爆破をキメた所で、今日は告知した通りコラボをやってくよ~!」



:待ってました!

:サムネの時点でお茶吹いたわw

:イカれたメンバーを紹介するぜ!

:所で毎回教会爆破から始める必要はあるんですか?

:ある(鋼の意思)



 高速でコメントが流れて行く間にも爆破された大聖堂の中や大聖堂の周辺からわらわらと人が集まって来る。

 大聖堂の屋根に立つダンジョーの姿を見付け、集まってきた人々が指を指して騒ぎ、大聖堂から出て来た全身に磨き抜かれた騎士甲冑を身に纏う『教会騎士』たちが抜き放った剣先を向けて怒声を浴びせるが、ダンジョーは一切気にせず配信を続ける。



 『火薬庫ダンジョー』というプレイヤーは『人間の父と妖狐の母の間に生まれたハーフであり、父方の実家が花火職人であったため現在はその後を継いで妖怪世界の花火職人として生計を立てる傍ら趣味で動画配信を始めた』という設定を持つバーチャル配信者だ。

 その設定を踏襲し、アバターは法被と浴衣を合わせたような特殊な和服を纏い、右腕側だけ袖を通さずさらしを巻いただけの上半身を露出させている黄金色の狐耳と尻尾を持つ幼女、と言った格好をしている。

 また花火職人という設定以上に、視聴者からは『火薬狂い』と揶揄されるほどの火薬武装の愛好者であり、注連縄のようなデザインの帯を巻いた腰の後ろにはメイン武器である打ち上げ花火用のデカい大筒が装備されている。


 総じて、色々ぶっ飛んだ危険人物としか言いようの無い彼女だったが、突き抜け射ているからこそコアな人気を持つバーチャル配信者であった。




「それでは、本日のコラボメンバーのご紹介! ……まぁいつものメンツだから皆慣れてるだろうけど、温かい拍手で迎えてあげる様に! まずはこの方、建築勢配信者の『マカロンクリームコロッケ』さん!!」

「どうも、本日も呼ばれて飛び出てダッシュで来ました。マカロンクリームコロッケです、建築とかやってまーす」



 ダンジョーに紹介されて現れたのは白のシャツに黒のズボンと、リアルの街中でも見かけそうなほど普通の格好をした冴えない顔の成人男性だった。

 彼の登場と共にコメント欄が盛り上がる。



:ゲス栗ィ!

:ゲスクリームコロッケさん!!

:建築の外道コロッケさん!

:誰もちゃんと呼んでなくて草!

:ゲス栗だもん、しょうがないね



 コメント欄で『ゲス栗』と呼ばれる彼の名は『マカロンクリームコロッケ』。

 本日のコラボ相手その一であった。



「はーい、今日も安定のゲス栗コメントで溢れてますねぇ~」

「いやぁなんででしょう? 全く心当たりが無いですねぇ」

「えぇー、ホントに~?」

「勿論! 清く正しく生きてますから!」



:ダウト

:ダウト

:ダウトー!

:この面の皮の厚さよw

:どうせ今日もファニ虐して来てんだろw



 コメント欄に『ファニ虐』なる単語が溢れかえる。

 指摘されたマカロンクリームコロッケはと言うと、素知らぬ顔で口笛を吹いていた。



「いやぁ視聴者にはバレてますねぇ! 所で今日はファニおじはどうしたんですか?」

「あー、あいつとは今日一緒に遊ぶ予定でしたけど、ダンジョーちゃんに呼ばれたんで黙ってすっぽかして来ました!」



:だと思ったw

:安定のファニ虐w

:毎回黙ってすっぽかされるファニおじ可哀想w

:まぁ「黄金のメンヘラ厄介おじさん」と「火薬狂いのお狐幼女」だったら誰だって幼女を選ぶわなw

:それ、どっちも地獄では?



「はーい、ダンジョーちゃんを地獄扱いする悪い子は打ち上げ花火にしちゃいますよ~?」

「物理的に汚ぇ花火にされるのか……」

「何か言いましたかぁ~?」

「いいえ、何も!」



 腰の大筒に手を賭けながら笑顔で凄むダンジョーに顔を蒼くしてブンブンと顔を振るマカロン。

 力関係は明白だった。



:怖えw

:幼女の圧つっよ!

:実際人間花火にされたプレイヤーも大勢いるから仕方ないね

:その人間花火にされたプレイヤーにゲス栗も含まれるんだよなぁ

:禁呪工房って狂人多いよねぇ



「はいそこー、禁呪工房ディスらないでねぇ~、ダンジョーちゃんもどうなるか判らないから……」

「いや、怖いよダンジョーちゃん。救いは無いんですか?」

「リュー先生の所に出頭すればワンチャン腹パンで許してくれるよ!」

「それ、腹パンで胴体貫通する未来しか見えないんですが?」



:判るw

:容易に想像出来るのが草

:見た目聖職者なのにフィジカルつよつよだからね、リュー先生

:禁呪工房三強の名は伊達じゃないw

:バトルスイッチにはいつもお世話になってます



 程よい盛り上がりを見せるコメント欄。

 それを確認したダンジョーはもう一人のコラボ相手の紹介を始めた。



「よーし、場も温まった所でコラボメンバーのもう一方も紹介しちゃうよー!」

「一部視聴者の肝は冷えただろうけどね」

「バランスが取れて丁度良いね!」

「丁度良いかなぁ?」






 混沌の生配信は、まだ始まったばかりだ。

最近流行りのVtuberモノに挑戦してみましたが、上手く表現出来たかどうか。

ちなみに『禁呪工房アトリエ・キープアウト』はリューセンやダンジョーの所属するクランの名前です。詳しくは追々。

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