表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/27

第二話 「ギルドと賢者」

(毎日更新では)ないです。

でも出来たのでとりあえず更新します。

 ちょっとしたハプニングから知り合ったベテランプレイヤーの『リューセン』と新人プレイヤーの『ファランクス』。

 二人はファランクスの案内の下、ファランクスのチュートリアルを終えるために冒険者ギルドを目指して歩いていた。


 リューセンとしては道案内をする事でちょっとした先輩アピールをしようとの考えだったが、実のところ道案内はあまり必要無かったりする。

 何せ、目指す冒険者ギルドの建物は大通りを道なりにまっすぐ進んだ先にある上、ファランクスはチュートリアルのナビゲーションで常に進むべき方向が判るのだから。


 とは言え、全く役に立たなかったと言う訳でも無い。

 ファランクスは大通りを歩いている間目につき気になったものに対して色々と質問し、その質問にリューセンは快く答えていた。

 その為ファランクスは楽しく観光をしながら街中を歩くことが出来、リューセンもまた頼もしい先輩っぽいムーヴが出来て大変機嫌が良かった。

 ―――そうして、談笑しながら歩いている内に二人は目的地に到着した。



「―――さ、着いたよ。ここが大王都の冒険者ギルドだ」

「おお、ここが!」



 大通りを歩くこと暫く、二人は冒険者ギルドの前へと辿り着いた。

 ギルドは五階建ての巨大な白い石造りの建物で、一見すると西洋風の神殿の様な印象を受けるほど荘厳で清潔感の感じられる建物だった。

 よくRPGに登場する様な酒場と一体化した木造建築をイメージしていたファランクスからすれば良い意味で予想を裏切られた形だ。

 この場所自体が観光スポットになる程立派な建物だとファランクスは感じていた。



「綺麗で立派な所ですね」

「何せ中央大陸における冒険者ギルドの総本部だからね。大きさこそ比べ物にならないが、王城にだって負けない建築美だよ。地方のちっちゃい町とか村の支部だとまた違うんだけど」

「そうなんですか?」

「まぁね。木造建築で酒場と一体化しているようなテンプレの所もあれば、その地域の特色が強く出た場所もある。各地のギルドを見て回るのも結構面白いもんだよ? 水晶の街のギルド何かは正にファンタジー建築って感じで特にお勧めだ」

「へぇ! 水晶ですか。綺麗な場所なんだろうなぁ」



 まだ見ぬファンタジー建造物に思いを馳せるファランクスを横目に、リューセンは冒険者ギルドと言う組織自体について考える。


 冒険者ギルドはアンティカルーナ世界に存在する五大陸全てに勢力圏を持つゲーム内最大の組織の一つだ。

 大王都の中央大陸総本部を含め五大陸それぞれの首都に総本部を持ち、そこを中心に大陸各地に大小様々な支部を持っており、末端の小さな村落にすら必ず存在するほどその影響圏は広い。

 どんなに辺鄙な場所であっても人里であれば必ず冒険者ギルドが存在し、利用出来るというのはプレイヤーにとってとてもありがたい事だ。

 また、この世界の住民であるNPCたちからすると冒険者ギルドはどのような辺境の過疎であろうと、モンスターの襲撃を始めとする緊急時には、必ず救援を派遣してくれる自分たちの守護者のような存在である。


 このように、冒険者ギルドはプレイヤーにとってもNPCにとっても非常に有用かつ重要な組織なのだが……。



(どうしても()の顔がちらつくんだよなぁ)



 前作やそれ以前の作品、そして今作を含めた『メモランダムシリーズ』の古参ファンであり、このゲームの裏設定に精通しているリューセンからすると冒険者ギルドは今一信頼しきれないイメージがある。

 いや、組織の健全性や能力自体は信用しているが、冒険者ギルドの創設者である『ある男(・・・)』自体が不安要素の塊なのだ。



(……今の所問題は起きて無いようだが、奴の場合必ず『周りが』何かやらかすって実績があるからな)



 シリーズファンから『善意で燃料を注ぎ、周囲の破滅を加速させる男』と呼ばれるあるキャラクター。

 本人に悪意は無いが、悉く周りが問題を起こし大事件へと発展させる運命を持つ男。

 溢れんばかりの才能と引き換えに、周囲にろくでなしを溢れさせる呪いを受けているとまで言われるその人物を思い、リューセンは溜息を付いた。



「ハァ……頼むから、良縁に恵まれててくれよ。『DIE(ダイ)賢者』」

「? リューセンさん、何か言いました?」

「いや、何でも無いよ。それより中に入ろうか、出入り口の真ん前に居ても邪魔だしね」



 ファランクスの質問に首を振ってそう返すリューセン。

 どこか疲れた様子に首を傾げつつも、ファランクスはリューセンに連れられてギルドの扉を潜った。

DIE(ダイ)賢者』


メモランダムシリーズ第一作である『デイライト・メモランダム』から登場するシリーズ皆勤賞のキャラクター。

全シリーズにおいて諸悪の根源と呼べる立場でありながら、同時に世界を救うために主人公側に全力で協力してくれる男。

善人であり、間違いなく心から人類を愛している断言出来るが、騙され易く無自覚にやらかす上にやらかしの規模がデカ過ぎる。

シリーズに登場する度にプレイヤー側から『毎度毎度どうしてお前は良縁を結ぶ(主人公と出会う)前に手遅れ一歩手前までガッツリ悪縁を結んで(ラスボスに利用されまくって)いるんだ!!』とツッコまれている。


今作では今のところ(表面上は)問題は起きて居ないようだが?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ