表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/27

第二十五話 「サウロンの行方」

遅くなりましたが更新です。


最近は遊戯王最新ストラクの新規カード『烙印融合』を使った先攻ワンキルの方法を考えています。

烙印融合一枚から四千バーン与えられるのは正直可能性しか感じられませんのでね。

どうにかもう四千削る方法はないものか……

「―――つー訳で、魔力切れで意識を失っている間にウン十年経っててな。腐れドブ勇者もとっくにおっ()んで清々したのは良いとして、『石の棺の守り(ストーン・コフィン)』の上から天使の封印も掛けられてたから脱出のタイミングを窺って過ごしてたって訳だ」



 おかげで気付けば千年も経っちまってたがなぁ。と、手をヒラヒラ振りながら軽い調子で締めくくったグレイス。

 が、語られた内容の壮絶さにプレイヤーたちの空気が死んでいた。

 ダンジョーが表示させているコメント欄の方も完全にお通夜ムードで、しばらく前からコメントの書き込みが止まっていた。

 嫌な沈黙が続く中、最初に口火を切ったのは血を吐くように憤りを露わにしたファランクスだった。



「……なんだよ、それ。そんなのってあるかよッ!」



 ガンッ、とファランクスがカウンターテーブルを叩く。

 ファランクスは悔しさや怒り、悲しみや憐れみに心配と様々な感情が()()ぜとなった複雑な視線をグレイスに向け、何か口にしようとするが結局それは言葉にならなかった。

 判っていたのだ。結局自分は当事者で無く、怒りも悲しみも、グレイス本人にしか抱く権利が無い事を。

 行き場の無い感情を抱えたまま、だがその感情を飲み込んだ上で何かグレイスの力になりたいファランクスは心から思った。


 一方で、ファランクスとは違い自身の感情に一切のブレーキが存在しない者もその場には居た。



「うぉぁ嗚呼ああああァァンンンッッッ!! ク゛レ゛イ゛ス゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!」

「うのぁっ!? い、いきなりなんだよっ!!」

「き゛み゛は゛、き゛み゛は゛そ゛ん゛な゛ひ゛と゛い゛め゛に゛……ッ゛!!!」

「何言ってんのか聞き取れねぇよ!? 取り敢えず鼻かめ!!」



 やたら濁点の多い涙声で涙と鼻水を盛大に流しながらグレイスに近づいて彼女の手を握ったのは、驚く事にファニーであった。

 本来であればマカロン以外の全ての他者に対して人見知りを発揮するのがファニーであったが、『姉弟(兄弟)同然に育った幼馴染と離れ離れになった』という点で共感し、もし自分が同じ様な目に合ったらと想像した結果盛大に同情して大号泣するに至ってしまった。

 手を握られたグレイスはと言うと、涙と鼻水でボロボロになった良い歳した男に手を握られて正直蹴散らしたいという思いもあったが、子供の様に真っ直ぐにただ自分に同情して涙と鼻水まで流すような相手を無下にする事も出来ず、握られた左手とは逆の右手で自身のアイテムボックスから布切れを取り出しファニーの顔に押し付けた。



「ほら、さっさと鼻かめよ」

「ヂーン!! うぅ、ありがとう……」

「ったく、何なんだよ」

「ああ、悪いね。こいつ、君の話に感化されちゃったみたいで」

「マカロォ~~ン……」

「ああはいはい、とりあえず向こうで大人しくしてろって」

「うぅ……グレイス~、私は君の力になるからなぁ~!!」

「お、おう。判ったぜ、その内な」



 マカロンに引き摺られて端のテーブルへと連れて行かれるファニー。

 人外級の美貌とはあまりにもかけ離れたその姿に若干引き気味のグレイス。

 幸い自身の話に共感した上での姿だった為、グレイスのファニーに対する評価は『癖は強いが悪い奴じゃない』と言った所に落ち着いていた。


 一方で、ダンジョー、スト天、エレインの三名はグレイスから一つ二つ離れたテーブルで集まって何やら話し合っていた。



「……いやぁ、今更だけで動画のタイトルから脱線しまくってとんでもない所まで来ちゃったね」

「本当に今更だメー。けど、それこそダンジョーちゃんも今更途中離脱するつもりは無いでしょ?」

「勿論! ここまで話を聞いた以上、最後までグレイスちゃんに協力するよ! ストさんもそのつもりでしょ?」

「メー、当然だメー!」

「エレくんは?」

「ボクは配信者でも無いし偶々流れでここに居るだけだけど、あんな話聞かされて黙ってられないよ! ボクもグレイスちゃんに全面的に協力する!」

「リスナーの皆も力を貸してくれる!?」




:もちろん!

:喜んで!

:援護は任せろー!

:バリバリー!

:これから毎日教会を焼こうぜ!

:今宵の我がミスリルソードは血に飢えておるわ!

:そこはオリハルコン担いで来いよ




 スト天、エレイン、そしてコメント欄の視聴者たちの意思を確認して大きく頷くダンジョー。

 続けて三人はコメント欄も交えて今後の活動方針を話し合う。



「やっぱさ、あんな話を聞かされちゃぁ今までの生温いテロ行為は駄目だと思うんだよね」

「おう、テロなんて言わず本格的に教会を叩き潰す必要があるメー」

「後、王国自体も(へこ)ます必要あるよねぇ。国王とか教皇とかの要人の何名か、ボクがスナイプしようか?」

「その辺はやり過ぎるとなんにも知らない一般市民が苦労しそうだよねぇ」

「なら、手始めにスキャンダルをばら撒いて王国と教会の信用を落とすかメー?」

「グレイスちゃんの話を広めるのも有効かな?」

「情報戦略は鉄板だけど、その辺の情報規制や改竄は王国と教会のお手の物だからなぁ……あぁ、もう! プレイヤー有志で新聞社とか作っとけば良かった!」




:新聞社はしゃーない、好き好んでやる奴が居なかったんだから

:ネットのある現代ならいざ知らず、権力者が好きに情報握り潰せるからなぁ

:なんか他に使えないかな、吟遊詩人とか

:NPCは頼んでも誰もやらんだろ

:少なくとも中央大陸では無理だね、上から睨まれるどころか最悪消される

:やっぱり焼き討ちしかないのでは?

:武装蜂起しよう! 暴力は全てを解決する!!

:それやっちゃうと、最悪中央大陸全土がヒャッハー世紀末になるからなぁ

:誰か教えてくれよ、教会と王国の権力と信用って奴を破壊する方法を




 コメント欄含め、全員が王国と教会を潰す策を真面目に話し合っていた。

 ゲームの実況配信でやるような内容では無いが、誰も疑問を持たずツッコミは入らない。

 彼ら彼女らは勢いと雰囲気を主体に行動しているのだ。


 そして最後、グレイスの話を聞き終えてから何かを思い出しメニュー画面のメモ欄を開いて何かを確認していたリューセンは、目的の記述を見付けて読み終えるとグレイスに質問をした。



「――グレイス。確認したいんだが、君の目的はそのサウロン君や大賢者ジェリーに会う事で間違い無いかい?」

「おう、そうだぜ」

「え!? でも……」



 グレイスの返答にリューセンでは無く隣のファランクスが反応する。

 言い淀んだ言葉の続きは『二人共千年前の人物なんじゃ』と言った所だろうか。

 ファランクスの言いたい事を理解したグレイスは、リューセンの様にメニュー画面を表示させるといくつかの操作をしてからそれをファランクスへと見せた。



「ファランクス、言いたい事は判るが心配無用だぜ? 二人とも生きてるんだからな。ほれ見て見ろ」

「えっと、『フレンドリスト』?」

「ああ、光の消えてる名前ばっかだけどサウロンと師匠の名前は点灯してんだろ? これが二人が生きてる証拠だ」



 グレイスが見せたメニュー画面に表示されているのは『フレンドリスト』、フレンド登録を行ったプレイヤーまたはNPCの名前の一覧である。

 フレンドリストに登録された名前はプレイヤーであればログイン中は点灯し、ログアウト中はグレーアウトする。

 これがNPCの場合は生存していれば名前が点灯し、死亡して居れば名前がグレーアウトするのだ。



「目覚めた後は殆どの名前から光が消えてたけどさ、サウロンと師匠の名前だけはずっと光ったままだから今日まで石像のままでも耐えられたんだよ。今もこうして、離れてても生きているって判るからな。二人共、どこに居ようと必ず見つけ出して迎えに行ってやらなきゃな」



 そう言ってグレイスはフレンドリストに表示される二つの名前を愛おしそうに指先で撫でた。

 今のグレイスにとって、この無機質に点灯する二つの名前こそが大切な人たちのつながりの証であるのだ。

 その姿を見て、ファランクスは少しだけ救われたような気分になった。

 そしてリューセンはと言うと……吉報を伝えられそうだと微笑んだ。



「なら、一人は直ぐに迎えに行けそうだね。大賢者の方は判らないが、サウロン君の方は心当たりがあるよ」

「! ほんとかっ!?」

「ああ、本当だとも」



 サウロンの行方に心当たりがあるというリューセンの言葉に身を乗り出すグレイス。

 カウンター越しに詰め寄るグレイスに対し、リューセンは勿体ぶる事も無く自身の知る情報を公開した。



「時代的にも一致するし、千年前から今も生きている以上間違いないと思うよ。彼は大王都のずっと北にある『アルヴァレス山聖殿』に封印されている筈だ」

「封印? そうか、あいつもこの千年間動けない状態だったのか。シスター連中の噂話でもあいつの話題が出ない訳だな」

「封印って、どうしてそんな事になってるんだよリューセン」



 サウロンが封印されているのだと知り、噂話でもサウロンに関する情報が千年間一切入らなかった長年の疑問が氷解するグレイス。

 一方でファランクスは純粋に、何故サウロンが千年間も何処かに封印されるような憂き目に遭っているのかが気になった。



「ふむ、北方大陸では有名な話なんだけどね。どうも傷付き弱っていたところを天使たちによって封印されたらしいよ。逆に言うと、当時天使たちですら弱っている所を封印するのが精一杯だったんだけどね」

「天使だと!? また奴らか!! ……いや待て、封印するのが精いっぱいって、サウロンの奴そんなに強くなってるのか……?」

「強くなってるどころか、北方大陸の魔族たちの国『ヴェノヴェルグ魔王国』の伝説の英雄だよ。覇王ローランド・ソーヴァルと相打ちとなり、瀕死の所を天使たちに封印された魔王国史上最強最高の英雄、『初代魔王サウロン』。建国王とも呼ばれているね」

「……はぁっ!?」



 いつも自分(グレイス)の後ろを着いて来ていた弟分のサウロン。

 そのイメージとはかけ離れた経歴や異名を聞かされて、グレイスは目を丸くして驚く。

 心底から驚いているその顔を見て、その顔を正面から見せられたリューセンは思わず噴き出した。

『初代魔王サウロン』



千年前に難民となった魔族の同胞を率いて中央大陸から北方大陸へと渡り、その後史上初の魔族国家『ヴェノヴェルグ魔王国』を建国した伝説の英雄。

当時中央大陸へと遠征した際に『覇王ローランド』と遭遇し、ほぼ相打ちの状態で瀕死となった所を天使たちに襲撃され、大立ち回りの末に封印された。

千年経った現在でもその武勇や活躍は北方大陸に住む魔族たちの間に伝わっており、伝説の英雄に肖って生まれた男児に『サウロン』と名付ける親は多い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ