表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/62

第23話 四天王、舌打ちをする

 リーリエルとミーナは教会を出て、一度宿へと戻ってきた。

 リーリエルの来ていたゴスロリ様の服を置いてくるためである。


「あぁあぁ。かわいかったのになぁ。癒しがなくなっちゃうなぁ」


 ミーナはブツブツ言いながら、部屋の隅に服をかける。


「まだ言うかその口は。

 文句があるなら、貴様が着ればいいだろう」


「いやー、私にはちょっとハードル高いからさー。

 だって目立つじゃない? この服って」


「……貴様はその目立つ服を、四天王であるこの俺に着ろと言うのか?」


「うん! ふぁぐっ!? いったーい!?」




 ◇ ◇ ◇




「で、なんでまたギルドに戻ってこなければならんのだ?

 いい加減理由を話せ」


「もうすぐわかるよー……あ、いたいた。おーい!」

 

 ギルドに併設された食堂内を見渡し、ミーナが手を振る。

 その先では、同じように手を振る人物がいた。


「お待たせ。うわっ、随分頼んだねー」


 ミーナは迷いなく席につくと、テーブルいっぱいに並べられた料理に圧倒された。


「ここ数日、まともなもの食べられなかったからさ。

 昨日もいっぱい食べたんだけど、さっき起きたらお腹ペコペコで。ちょっと待っててね」


 にぃっと笑って、銀髪の少女は並べられた料理を、見る間に平らげていく。

 右耳の上で縛った髪が、食べる動きに合わせて揺れていた。

 ふえーっと驚くミーナの横で、リーリエルは苦虫をかみつぶしたような顔をする。

 

「……貴様、どういうつもりだ?」


「うん?」 


「今更こいつに、なんの用があるというんだ?」


「リーくんは、ないの?」


「当たり前だ。こいつと俺は何の関係もない」


 リーリエルは、食事に夢中になっている銀髪の少女、ガヴリーを忌々しそうに睨みつけた。


「そっかー。リーくんにはないんだー」


「なんだその含んだ言い方は?」


「別に何も含んでないよー。

 ただ、この後ガヴちゃんと一緒にお仕事するだけだよ。

 昨日、街に帰ってくる途中、いろいろと二人で話したの」


「仕事だと? ギルドの依頼か?

 別にこいつを連れて行く必要は……」


「と・こ・ろ・で。リーくん、約束は忘れてないよねー?

 今日は一日、私の言うこと聞いてくれるんだよね? 朝そう言ったよね?

 まさか魔王四天王ともあろう方が、ちょっと気に入らないことがあるからって、一度決めたことを簡単に反故にしたりなんかしないよねー?」


「勝手に誤解するな。気に入らんとは言っていない。

 俺はただ、何でだと理由を聞いているだけだ」


「……リーくん。今にも机叩き割りそうな雰囲気で、そんなこと言われても説得力全然ないよ」


 苦笑するミーナの言葉に、リーリエルは目を逸らして舌打ちした。

 

「わかった。勝手にしろ」


「うん、そーする」


 吐き捨てるようなリーリエルの言葉に、ミーナは気にした様子もなく答える。

 リーリエルは、ますます顔をしかめた。


「それでね、今日は昨日のお城に行くんだよ。

 コル……コルテット城だっけ?」


「ゴルディート城だ。

 なぜまたあそこへ行く? あの城に巣くっていた吸血鬼ヴァンパイアは殺したぞ?」


「そうだね。でも、ガヴちゃんは、まだ解決してないって言うんだ」


「解決?」


「ガヴちゃんがギルドから受けた、村人の失踪事件の調査依頼」


「あの城の吸血鬼ヴァンパイアが攫っていたのではないのか?

 吸血鬼ヴァンパイアは人間の生き血を好むのだから……」


 言いながら、リーリエルは違和感を覚える。


(……待て。吸血鬼ヴァンパイアは確かに人間の生き血が好物だ。

 だがそれは、確か……)


 考え込むリーリエルの横から声がした。


吸血鬼ヴァンパイアは人間の生き血を好むけど、より嗜好に合うのは若い人間のものに限られる。

 失踪事件の原因が吸血鬼ヴァンパイアなのだとしたら、村人たちが老若男女問わず姿を消したのは、腑に落ちない話ね」


「イレーヌさん?」


「こんにちは、ミーナちゃん、リーリエルさん。

 そっちの子は、はじめましてね」


 イレーヌは人当たりのいい笑みを浮かべる。


「さっそくだけど今の話、私とベルグも一枚かませてもらえない?」

 

「え? 私はいいけど……」

 

 ミーナは、イレーヌとベルグを交互に見てから、リーリエルに顔を向けた。


「リーくん、どうしよ?」


「好きにしろ。まともな戦力が増える分には、困ることはない」

 

「そっか。そうだよね。

 ねぇ、ガヴちゃんはどうかな? 二人とも、信頼できる人たち、なんだ、けど……」


「ぷはーっ!! 食べた食べた!! お腹いっぱいだぁ!!! も~、満足満足ぅ!!!

 ……ん? だれ、この人たち?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ